塾生講座 開講式

2016年05月12日

こんにちは。今年の春からスタッフとして勤めることになりました、ジョイス・ラムと申します。初めて伊東建築塾のブログを書かせていただきます。

昨年度の塾生講座の集大成として、3月中旬に大三島ふるさと憩の家で公開発表会が行われましたが、その興奮さめやらぬ中、2016年度の講座が始まりました。2016年4月16日に行われた塾生講座の開講式の様子をお届けします。

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当日は講師と塾生を合わせて50人近くの方々が恵比寿スタジオに集まり、最初にみなさん一人ずつ自己紹介をしました。講師陣は建築家から構造エンジニア、家具デザイナー、グラフィックデザイナー、ランドスケープデザイナー、無農薬野菜農家など、昨年度と比べてさらにさまざまな分野で活躍している方々がいらっしゃいます。新しくメンバーに加わった、さまざまなバックグラウンドを持つ個性的な塾生のほか、今年度も継続したいという昨年度の塾生も来てくださいました。

伊東建築塾が始まって6年目になりますが、このように大三島を元気にしたいという目標を共有する仲間が集まってくることが嬉しく思います。これから1年間、みなさんと一緒に大三島のことを考えたり、手を動かしてつくったりすることを楽しみにしております。

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自己紹介のあと、伊東塾長がこの5年間の活動を振り返りながら、伊東建築塾を立ち上げた経緯や理念、東日本大震災が発生した直後に始めた「みんなの家」プロジェクト、そしてこれからの建築のビジョンについて、「大三島から明日の日本を考える」というテーマでレクチャーを行いました。

その中で、東日本大震災のときに、「せんだいメディアテーク」にいたカメラマンが撮影した映像を見せました。私はそれほど大きな地震を経験したことがありませんが、映像を見るだけでも心が震えました。ご存知の通り、東日本大震災の経験は、伊東塾長が建築について考え直した一つのきっかけにもなりましたが、伊東塾長は「地方には経済の豊かさでは得られない、もう一つの豊かさがある」と主張し、これからのライフスタイルを考えるときに、都会に住みつくと忘れてしまいそうな価値を見直さないといけないと述べました。

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©Kai Nakamura

次に、大三島の紹介に移りました。夕日が非常にきれいな瀬戸内海は、島が波のようにつながっていく景色から、尾道と今治がつながっている道を「しまなみ海道」と名付けたそうです。また、大三島に移住した塾生を例にして、人間は自然に開かれた場所で暮らしたほうが心身とも元気になるではないかと言います。しかし、地方の人だけでも、都会の人だけでも、島と都市をむすびつけるような関係性を構築することができません。伊東建築塾の活動が、その間の人々の交流するきっかけとなれれば、東京を拠点に活動している意味があると語ります。

去年の塾生講座で「農業を中心とした暮らしの提案」「これからのシェアハウスの提案」「大山祇神社参道活性化の提案」という3つのテーマに取り組んだ経験を踏まえ、今年の塾生講座では提案だけに留まらず、以下の8つの明確なテーマを設けて、実践していくことを目指します。

A. 島の農業を元気にする
①農産物のネット販売を企画・実行する
②農業スクールを開講する

B. 島をデザインする
③島の食べ物などをブランディングする
④島のユニークなガイドブックをつくる

C. 参道を元気にする
⑤大三島公民館+図書館を改修する
⑥大山祇神社参道に屋台をデザインする

D. ワイナリーとオーベルジュ(レストラン+宿泊施設)をつくる
⑦ワイナリーのブドウ畑の休憩小屋をデザインしてつくる
⑧醸造所+オーベルジュをデザインする

レクチャーの最後に伊東塾長は、「笑えるくらし・酔えるくらし・おいしいくらし・そして美しいくらし」の大三島を目指すと意思表明し、レクチャーを締めくくりました。

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私も昨年度の塾生として一年間参道活性化のチームで公民館の改修案に取り組んできましたが、そのときは私たちの提案は始まりにすぎないと感じました。これからは違うかたちで塾の活動をサポートし、元気な大三島を実現していきたいと思います。

ジョイス・ラム