子ども建築クラブ/ LIXILメムメドウズプロジェクト2017「地場の素材で家具をつくる」ワークショップ (5日目)

2017年12月04日

皆様こんにちは。「地場の素材で家具をつくる」ワークショップもいよいよ最終日を迎えました。この日はあいにくの曇り空から1日が始まりました。4日間の作業を終えた子どもたちには多少疲れの色も見えますが、「ここに住みたい」「もっと泊まりたい」という声もちらほら。子どもたちからみても、メムメドウズはとても魅力的だったようです。朝食を食べ、荷造りをした後、家具を設置しに向かいます。

今回制作した5つの家具のうち、大樹高校2年生の髙田脩統くんが制作した「行き当たりばったり」は大樹高校に、大海はなさん、松崎柚さんの「さるの腰掛け」・大海明くん、山田隼太郎くんの「カケルイス」は道の駅へ、江口和李さんの「憩いのBAR」・辰巳悠真くんの「森の動物」はスタジオメムに設置することになりました。「どこに置いたらどんな風に使われるかなあ」と、色々とイメージを膨らませながら、それぞれの考えた場所に家具を設置していきます。去年制作した家具と並べてみると、自然のままの木を使った今年の家具の特徴がより引き立って見えました。また大樹町のみなさんに使っていただけることを願います。

続いて伊東先生、藤江先生の講演会が行われました。今回は「建築×家具×人 —交流を生み出す空間について考えるー」というテーマで、建築に合わせた家具をデザインする際のプロセスや製作の方法など、図面や動画を交えながらお話しいただきました。普段はなかなか聞くことのできない二人のお話とあって、多くの方にご来場いただき、皆さん熱心に耳を傾けました。藤江先生は途中「伊東さんの建築に合わせて家具をデザインするといつも曲線的なデザインになってしまう。建築がそうさせているんだろうね」とおっしゃっており、それを聞いた子どもたちからは「私たちは今回木を見て自由にデザインを考えて家具をつくったけれど、建築に合わせて家具をデザインするのはすごく大変なんだろうなと思いました」というコメントも飛び出していました。

講演会が終わり、合宿の日程はほぼ終了、残すは観光のみとなりました。メムメドウズを後にし、中札内美術村に向かいました。ここにあるポロシリというレストランで昼食をとりました。シュウマイや豆ご飯、野菜コロッケなど、地元の旬野菜をたっぷり使ったお料理を美味しくいただき、食事を終えた子どもたちはすぐさま外へ。美術村の敷地内には複数の美術館や展示物があり、見所がたくさんありました。残念ながら全てを見る時間はありませんでしたが、子どもたちは満足した様子でした。

続いて幸福駅に向かいました。この駅は廃線になった旧帯広線の駅なのですが、縁起が良い駅名として現在は観光地になっています。特に「愛国から幸福ゆき」の切符が有名であり、この日も結婚式が行われるなど、幸せムード満点でした。子どもたちも切符を手に入れ、空港へ向かいました。

空港ではみんなお土産をたくさん買い込み、そんなことをしている間にすぐに搭乗時間になりました。伊東先生、藤江先生とは帯広空港でごあいさつし、一路東京へ。途中、気流によりひどい揺れに見舞われましたが、無事羽田空港に到着し、解散となりました。

今回のワークショップでは、地場の木材をテーマに物質を知るところから、家具のデザイン、制作までを行いました。初めは製材されていない木材を目の前に、子どもたちが戸惑ってしまうのではと心配していたのですが、その心配をよそに、独創的で素敵な家具をデザインしてくれました。特に物を見てからの発想の速さや柔軟さはさすがで、子ども建築塾で学んだことが十分に発揮されていたように思います。さらに今回は家具という小さなスケールの物に対してのデザインの仕方や、実際に人が使う強度を出すために必要となる構造を学べたのではないでしょうか。作業の面では工具を使った作業がなかなか自分でできなかったことに不満が残る子もいたようですが、藤江先生、宮本先生は家具のプロ、またお手伝いいただいたくるみの会の方々も木工歴十数年のベテランばかり。そのような方々の作業や、手法を見て学ぶことも1つの勉強だと思います。なので、子ども建築塾で楽しかった経験があるように、今回自分たちがデザインした家具が完成したときのうれしさを忘れず、楽しかった記憶として残ってくれることを願います。そしてまた子ども建築クラブや家具ワークショップに参加して欲しいです。