子ども建築塾 後期第5回

2012年02月13日

2月4日土曜日、約1ヶ月ぶりの子ども建築塾が行われました。
この日は休みの間にみんながそれぞれにテーマにあわせて作ってきた1/100の模型のお披露目です。休みの間にみんな一生懸命考えてきた模型は、前期からさらに飛躍して、一人一人の個性や特徴が表れていました。

模型の作り方が前期に比べてみんな自由になっていった一方、敷地の形や大きさが明確に決められていたがために、その制約に拘束されてしまった子もいたようでした。
特に目立ったのは、敷地の形にあわせて建物の形態を決めているというパターン。敷地とは、土地の所有者の領土を規定するものにすぎず、それによって建築が規定されるというのは、都市そのものの面白さを半減してしまうものです。土地という概念をより明確にし、それについて学ぶことは確かに必要ですが、そこからさらに一歩進んだ建築を提案してもらいたかったというのが正直なところです。

敷地と建物の平面を同形にするというのは、ある意味で土地のコンテクストを読み解いているともいえます。しかしそれは、その建築が周囲にとってどのような意味をなすかということに自覚的になっている場合にのみ、成立します。
そこでこの日は1/500サイズの模型を新たに制作し、それを敷地模型の上に並べることによって、他の子達と自分の建物との関係性について考えてみるという試みを行いました。
すでに作ってきた1/100の模型を参考に、1/500へと縮尺をおとしていきます。この模型の縮小化、つまりは単純化というプロセスは非常におもしろく、ある意味ではその建物のダイアグラムを制作しているとも言えます。1/500ということは、だいたいの子がわずか4cm四方の範囲の内側に模型をつくることになります。それだけ作り込める規模は小さくなるわけですから、その建物の形態的なシンボルがよりあらわになるわけです。それを自覚してかどうかはわかりませんが、みんな自分の建物の形態的な特徴をよく把握しているようでした。

途中で伊東さんと太田さんが子ども達の模型や提案について重要なことを言っていました。それはもっと機能について考えること、そして周辺環境について考えること。建築をつくるということは、やっぱり多くの人たちにとって、まだまだ形態を作ることにすぎません。しかし、本来はその内側で何が行われるかという機能的側面を計画するのも、その周辺環境を建築によって変革させるのも、全て建築家の役目です。今回1/500模型をつくって、他の子達の建物と自分の建物が意外に近いことや、それぞれがゆるやかに関係し合っていることに気がついて、伊東さん太田さんの言葉にもさらなる深みがましたのではないでしょうか。

来週からはいよいよプレゼンボード作りに取りかかります。
文章をあつかって、自分の案を説明したり、その案をより魅力的に他人に伝達するために、いろいろなことを考えていかなければいけません。そうなってくると必然的に形のことだけではすまなくなります。そのとき、彼等がどのように自分達の提案を説明するのか、今から楽しみです。