子ども建築塾 前期第3回
皆様こんにちは。千葉工業大学大学院、橋本都子研究室 修士2年の野坂京子です。
子ども建築塾第3回目の6月16日は、「いえのまわりには何がある?」をテーマに、
子ども達が描いてきた住みたい「いえ」の外側について考えました。
はじめに、前回の宿題である「いえ」の内側について発表し、その後に太田浩史先生から
「いえ」と環境についてのレクチャーを受けた後、TAのみなさんの指導のもと「いえ」の外側の絵を描きます。
「いえ」の中はどうなっている?
前回の宿題として、住みたい「いえ」の中でおこなう「食べる、寝る、遊ぶ、集まる」という4つのアクティビティについて考えてきた絵を発表します。
従来とは異なった、新しい提案も含めて描かなければなりません。
大人顔負けの難しい宿題ですが、子供たちは各々新しいライフスタイルを想像してきました。
特に「遊ぶ」という行為は、子どもたちの本領が発揮された提案でした。
例えばクローゼットの上に『いっぱい遊んでも大人に怒られない部屋』がある点などは、
鋭い視点をもっていなければ、空間のどこがみつかりにくいか考えられないでしょう。
子ども達は無意識の内に空間と行為の相性を見つけているようです。
太田先生のレクチャー「みんなの家はどこにある?」
私たちが普段住んでいる「いえ」のまわりには、人や建物などの「まち」の要素や、光や熱(温度)・風などの自然の要素があります。
住みたい「いえ」のまわりを描く前に、さまざまな環境と「いえ」の関係性について事例を交えながら勉強します。
まず、自然とかかわる「いえ」の事例として、パプアニューギニアの集落を紹介しました。
太田浩史先生が20年前に調査に行った時の写真を見ながら、川や山にある「いえ」の形について
『なぜこうなっているのかな?』と問いかけながらレクチャーを進めます。
同じ写真を見ていても、子ども達は『これはトイレじゃないかな?』『食べ物の貯蔵庫かも!』『キッチンだよ!』とさまざまな回答を考えだします。
電気やガスのない自然の暮らしに子供たちも釘付けになっていました。
最後は光や風、熱と「いえ」の関係について、さまざまな建築家が建てた「いえ」の事例を紹介します。
伊東先生のシルバーハットは海風が気持ちよさそうです。
太田浩史先生のレクチャーを受け、子ども達は改めて「いえ」のまわりの大切さに気づき、環境について興味を持ち始めた様子でした。
子ども達の住みたい「いえ」は、どんな場所に建っているのでしょうか?
「いえ」のまわりにはなにがある?
レクチャーの影響により、「いえ」のまわりの自然に注目しながら絵を描く子が増えました。
そのなかでも、孤島や森などの自然の中に「いえ」をおくタイプと、「いえ」の中に木や芝生などの自然を取り入れる2つのタイプに分かれます。
両者に共通していたのが、自給自足を目標としていることでした。
孤島のまんなかに「いえ」を描き、季節の野菜を食べられる提案をする子ども、
「いえ」のなかに実のなる木が生えており、ジャムをつくる提案をする子どもなど、
自然によりそう色々なライフスタイルが提案されました。
今回、子ども達の住みたい「いえ」の内側と外側を見て、子ども達の「いえ」には家族のライフスタイルが強く影響していることに気づきました。
例えばリビングは『お父さんが帰った時にあったかい食事をだしてあげること』ができ、
ダイニングは『おばあちゃんが立ちやすいダイニングチェア』が置いてあることが提案されています。
子ども達が普段から家族の様子をよく見ていることが伺えます。
彼らの考える『住みやすさ』はいったいどんな形であらわれるのでしょうか。
次回は、今度見学会に行く住まいの図面をなぞります。
実際の図面を見て、子ども達がどんな反応を示すのかとても楽しみです。