子ども建築塾 前期第9回目
皆様、こんにちは。東京大学生産技術研究所、村松研究室博士課程の田口純子です。
9月15日、子ども建築塾前期第9回目の授業が行われました。
今回は前期発表会前の、最後の授業です。子どもたちは、「自分の住みたいいえver. 2」の発表に向けて、プレゼンテーションの準備を行いました。
プレゼンテーションボードの制作に挑戦!
昨年度の塾生が後期授業「まち」の発表会に向けて制作したプレゼンテーションボードを参考にして、
ひとりひとりに配られた大きな画用紙の上に、タイトル、スケッチ、模型写真、ポイントとなる説明文などを配置していきました。
TAのお兄さん・お姉さんと相談しながら、アイキャッチとなるスケッチを選んでスケッチブックからコピーしたり、
前回の授業でつくり上げたいえの模型を持ち出して早速模型写真を撮ったりと、前期授業で蓄積した制作物をうまく取り入れる光景もあれば、
慎重にレイアウトを下書きしたり、画用紙に新しいスケッチを描き始めたりと、第9回までに色々と練り上げてきた「自分の住みたいいえver. 2」について、
一枚の画用紙の中でどのように伝えるか、という、新しい表現に挑戦する光景も見られました。
昨年度の後期授業を見たところ、さすがに1年の集大成ともなるとプレゼンテーションボードの構成や内容が充実して、
3分間でよく考えられた口頭発表が行われたものでしたが(全員、驚きの仕上がりでした!)、昨年度の前期授業は模型と口頭発表のみであった、とのことでした。
今年度は、前期授業からプレゼンテーションボードの制作に挑戦です。
この難題に、子ども達がどう取り組むか、少々心配しながら見守っていましたが、昨年度の見本に刺激されてか、
前期授業で身に付けた‘筋力’のようなものが発揮されているのか、授業の後半にはどの子の紙面にも、色とりどりのスケッチや写真、文字が並べられていました。
前期の‘筋力’
前期授業で身に付けた‘筋力’とは、例えば、「自分の住みたいいえver. 1 / ver. 2」、「食べる、寝る、遊ぶ、集まる」の4つのアクティビティ、
House NAのお気に入りの場所などについてスケッチを重ねてきたことで、子どもたちは自分のイメージした空間を絵にすることにあまり苦労を感じていないようです。
足りないシーンがあれば描き足し、紙のサイズに収まりきらなければ紙を広げてのびのびと描きます。
ただ、スケッチのイメージを三次元の模型にするとなると、子どもたちには苦労も多々あったようです。
描いたイメージをどうやって形にしたらいいのか。
くっつけたり、曲げたり、色々な材料を使ったり、時には重力に負けない工夫(構造)を考えなければいけません。
そこは、TAの腕の見せ所です。そして、模型写真の撮り方、効果的な見せ方も、まだまだ工夫の余地がありそうです。
そして、「自分の住みたいいえver. 2」のタイトルや、端的に魅力を言い表せるキャッチフレーズを考えたり、
伝えたいことを短い文章でまとめたりと、言葉による表現も、のびてきているように感じられます。
それは、身近なTAのお兄さん・お姉さんとの会話、車座になっての発表や先生とのディスカッション、
もしかしたら「子ども建築塾」のことに関する家族との会話も含め、それらを通して、
文字で見えない空間や風景を言葉にすることに慣れてきているのかもしれません。
また、言葉や文章による説明をどのように順序立てるか、その順序に従ってプレゼンテーションボードのレイアウトを
どのように工夫するかなどは、後期のレクチャーに大いに期待したいと思います。
最後に、一番大切な‘筋力’は、「何かをデザインすること」に発揮されるものではないかと思っています。
それは、造形やそれらの配置、構造、植樹、採光、通風、といったことだけではなく、
もっと自分に近いことで、「いえ」を通してどんな夢を実現したかったか、ということです。
自分ひとりの夢や憧れでもいいし、家族の暮らし方でもいい。自然と私、動物と私、友達と私、といった関係でもいい。
その‘筋力’が少しでも垣間見えたら、「学ぶ」の一歩先、「つくる」塾で、半年間よくがんばりましたね、と言ってあげられるような気がします。
さて、次回はいよいよ、前期授業の集大成、「自分の住みたいいえver. 2」の発表会です。
子どもたちひとりひとりが何をデザインしたのか、今から楽しみです。