子ども建築塾 後期10回「まちの建築のアイデアをまとめよう!」

2014年03月24日

皆様、こんにちは。東京大学大学院修士1年の向井です。

2月22日は、2013年度子ども建築塾の最後の制作日でした。大雪の影響で、前回、前々回ともに正規授業ではなく、急遽スタジオ開放日として開催されたため、子どもたちにとっては少し慌ただしい段取りとなってしまいましたが、発表会に向けて模型とプレゼンテーションボードの完成を目指しました。

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授業の始めには、伊東先生から「プレゼンテーションとは?」の講義があり、宮城県気仙沼市に建てられた「K-port」のプレゼンテーションボードを見せていただきました。プレゼンテーションボードとは、アイデアを誰かに分かりやすく伝えるためにまとめたものです。模型写真や、何を考えてつくったのかを書き込み、作品の魅力がよく伝わるように考えてつくってほしいとのお話に、塾生の子どもたちも真剣な様子でうなずいていました。

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また、次回の発表会に向けてのお話では、発表するときには、あらかじめ紙に書かれた文章を読むのではなく、相手の顔を見ながら、「こんな建築をつくりたい」「ここでこんなことがしたい」のかを話せばいいよ、とのこと。これは前期の「いえ」の発表のときにも、伊東先生が繰り返し仰っていたプレゼンテーションの極意です。「練習なんてしなくていいから、自分の言葉で話せるように」とのアドバイスに、塾生の子どもたちは肩の力が少し抜けた様子です。

レクチャー後の各自の制作時間には、模型の仕上げを行い、でき上がった子から模型写真の撮影を行いました。これまで時間をかけて練り上げたアイデアのつまった自慢の模型です。スクリーンの色や、光の入り方までこだわってカメラを向けます。「俯瞰して撮るより、中に入っているような高さから撮った方が素敵に見えるよ」と教えてくれる子もいて、自分の作品を魅力的に見せるためによく考えている様子が伝わってきました。

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模型やプレゼンボードづくりにいそしむ子どもたちの様子を見て回っていた村松先生から、新たな指令も下されました。
「みんな、タイトルにひねりがなくてつまらない!もっと面白いのをつけてください!」

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先生の言葉を受けて頭を抱える子もいましたが、がんばってつくってきた作品にぴったりの名前をつけようと、みんなやる気を出して考えていました。自分の足でまちを歩き、何を建てるか考え、敷地を選び、たくさん時間をかけて育てた愛情たっぷりの建物たちです。名前もオリジナリティーのあるものがつくと素敵ですね。塾生のみんながどんなタイトルに決めたのか、今度の発表会が楽しみです。

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2013年度後期の作品を見渡しての個人的な感想ですが、まち探検をして敷地を決めた後に、敷地模型をつくる時間をたくさん取ったので、建物の周辺環境についても配慮できている子が多いように感じました。恵比寿のまちを初めてじっくり歩いた子も、よく知っている子も、まちがどうしたらより素敵になるのかを深く考えています。カリキュラムの順番にそって「まずまちがある→そこに建物がある」という思考プロセスに、自然に誘導されたのが良かったように思います。

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「まち」の模型も、前期の「いえ」の模型づくりでコツを掴んだのか、とても大きかったり、変わった素材を使っていたり、それこそTAたちにはなかなか思いつかないような、大作に挑んでいる子がたくさんいます。みんなが自由な発想で建物を考えていくのを側で聞いていると、こちらが持つ建築への概念もほぐされていくようで、わくわくします!

次回はとうとう、東京大学生産技術研究所での発表会です。今回の授業では、模型とパネルすべてを完成させられない子も多かったのですが、みんな本番までには素敵に仕上げてきてくれるに違いありません!果たして今年の伊東賞は、誰の手に渡るのでしょうか?

東京大学大学院 向井天音

(写真撮影=石川拓也)