子ども建築塾 前期10回「動物と一緒にくらすいえ」の発表会

2016年02月15日

みなさま、こんにちは。
10月3日、「動物たちと一緒にくらすいえ」の合同発表会として、子ども建築塾の最終発表と子ども建築塾+(プラス)の中間発表が行われました。秋晴れの中、恵比寿スタジオを埋め尽くすように模型と椅子が並べられました。
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先生やお友達の前で、どんないえを考えたのか、ちゃんと発表できるかな。ドキドキとわくわくが子どもたちの表情から伝わってきます。
授業のはじめに、伊東先生からは「動物との生活を考えるという楽しい課題なんだから、楽しくのびのびと発表してください。」アストリッド先生から「動物との生活を考えることで新しい住まい方が発見できることを期待しています。」とエールをもらい、29名の発表が始まりました。

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まずは入塾2年目以降の子どもたちが参加する子ども建築塾+の中間発表です。

Aグループ
大海はなちゃんは鹿のいえとなる、大きな屋根に覆われた空間をスタディしてきました。本日は残念ながらお休みということで弟の明くんが代わりに発表してくれました。空間が自然と一体化している様子が魅力的で、人と鹿の共同生活をどう提案していくのか楽しみです。
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徹底した生態調査をしてきてくれた兼清悠祐太くん。ムササビと始祖鳥のために宙へと浮かびあがったおうちは、世の中から距離を置いた空間です。ここからは動物の特徴を合成したようなハイブリット住宅になることを期待します。
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コツメカワウソのおうちを考えてくれたのは村橋こはるちゃん。自然よりも快適ないえを目指して、自然体験の心地よさと人工物の利便性を兼ね備えたいえを模索中です。コツメカワウソの気持ちになったような提案が細部に光ります。
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Bグループ
重枝梨乃ちゃんはワニとカメレオンが共生するいえを考えました。収束するように高く伸びるスロープが交流の場となります。爬虫類のイメージを払拭するような、爽やかな提案が期待できる模型表現となっています。
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田原陸人くんの鳥とコウモリとヘビのおうちは、立派な大木の展望台を中心に天敵同士が仲良くなれる工夫でいっぱいです。動物の特性を取り入れ、活動する時間帯の違いに着目した提案は、これからもっと面白くなりそうです。
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梟とカメレオンのおうちは守島怜くんの作品。斜面に対して素直に架かる大屋根が自然に馴染むように広がっています。ここから動物の気持ちになって様々な工夫が生まれるとさらに良い作品に仕上がるような気がします。
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Cグループ
大海明くんはヒトデのためのいえを考えました。動きの少ないヒトデとは対照的に、海底を転がるように移動します。転がることでおうちの中での生活がどのように変化するのか楽しみです。
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最近声変わりをして大人っぽくなった佐口幸太郎くんは、厳島神社を彷彿とさせる鳥居を中心とした河童の住まいの提案。河童という生き物の神聖さを、滝や湖や洞窟といった空間で上手に表現していました。
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コウモリの生活を考えてきたのは江口和李ちゃん。カラフルな外観と暗い内部のギャップが面白く対比されています。コウモリと人を仲良くさせる新たな隔て方が提案されるとさらに良くなるかもしれません。
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続いて、子ども建築塾の前期最終発表です。これまでの10回の授業を通して、最終的に動物たちとのどんな共同生活を提案してくれるのでしょうか。

Aグループ
今回欠席の穴井蒼一郎くんに代わって、TAの関野くんが、都会のビルの間に住まうカラスのいえを発表しました。カラフルなビルが目印となり、黒いカラスの生活を彩ります。その隙間を縫うチューブひとつひとつに生活空間が与えられ、カラスの多彩な生活が表現されています。
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カラフルでダイナミックな模型を作ってきたのは及川美友斗くん。コモドオオトカゲとの生活を洞窟の中につくりました。中はオリジナルの家具で溢れており、生活を想像するとわくわくする模型になっています。
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サルとの生活を考えてきたのは落合真悠ちゃんです。サルのことを考えてつくったアスレチックが盛りだくさんの模型は、まさにサルのためにつくられたいえのようです。サルと人が楽しく遊びまわる風景が伝わってきます。
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松崎柚ちゃんは架空の生き物であるドラゴンとくらすいえを提案しました。空を飛ぶドラゴンのいえは、床が宙に浮いています。ひとつひとつの床でドラゴンがどのようにして過ごすのか想像を掻き立てるような素敵な模型です。
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Bグループ
石原令大くんはビーバーとくらすいえを考えました。木材が集積した本来のビーバーの住まいのように、様々な面白いかたちの隙間から風や木漏れ日が溢れる、心地よさそうな空間がたくさんつくり出されていました。
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いつも天真爛漫な勝方正宗くんの提案は、サソリとの共同生活です。砂漠地帯の地表と地底湖の隙間に幾重にも重なる床が、不均一で魅力的な空間をつくり上げていました。場所ごとの生活風景が想像できるようなプレゼンも素晴らしかったです。
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杉保名美ちゃんの作品は、スズメなどの小鳥が集まるおうちです。大きな巣のようなおうちは自然を取り込み、森の中で偶然見つけた楽園のようでとても魅力的な場がつくられています。
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久枝ミアンちゃんがつくったカモノハシとくらすいえは、地上と水中という上下の関係が人とカモノハシの生活空間を緩やかに隔てつつ繋げています。模型の水中表現がきれいで印象的です。
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Cグループ
インパラとの生活を考えた新谷優太くんは、大草原の中で外部環境と共存するようないえを発表しました。9mもジャンプするインパラが自由に駆ける様子が模型の広大さから伝わってきます。
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尾形太緒くんはカエルのおうちを提案しました。卵とおたまじゃくしとカエルといった成長過程を上手に空間に配置していました。遊園地のように素敵な場所が点在していて、とても楽しそうです。
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今回欠席の川上祐依ちゃんに代わって、TAの門間くんが発表してくれました。大きなキノコ型のハキリアリのいえは、アリがキノコを育てて食べてつくりあげます。アリとともにキノコも成長し、変化するという着眼点はとてもユニークです。
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笹目美煕くんが考えたのは。深海を漂うダイオウイカとくらすいえは。ダイナミックな模型からは近未来を思わせるかっこよさを感じました。球体ひとつひとつに生活空間が与えられ、具体的な生活が想像できる作品です。
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Dグループ
縦横無尽にスロープが伸びる辰巳悠真くんの作品は、チーターとくらすいえです。自由に走り回る中でも小川を横切ったり、自然を縫うように進んだり高台へ続いていたりと、変化に富んだ素敵な情景が伝わってきます。
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中浜瑛理香ちゃんは浅瀬の河川にあるフラミンゴとのくらしを考えました。アーチが何重にも重なって入り組み、多様な空間がつくり出されていました。フラミンゴとアーチと水のきらめきとが生みだす空間体験はきっと美しいことでしょう。
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森悠くんはワニとくらすいえを提案しました。長くなだらかなスロープが廻り、地面から生活が浮き上がります。こだわりの寝室では、眺望の良さと達成感とで最高の寝心地が得られることが想像できます。
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迫力のある素敵な木の模型は、山本杏菜ちゃんの作品です。テングザルと人と自然が仲良く生活できる工夫がたくさん盛り込まれていました。空へと開かれたいえは、ひみつ基地のようなわくわくした空間を連想させます。
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Eグループ
オオサンショウウオとのおうちは杉田幸穂ちゃん。カラフルなチューブを通って地上と水中を行き来します。生きた化石と云われるオオサンショウウオから学んだり、交流パーティをしたりと、新鮮な体験がいっぱい詰まった作品です。
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水の表現が美しい模型は鈴木海翔くんの作品。竜との生活を川の下に考えてきました。竜の形状を考慮してつくられた家具は自由にうねり、全体が躍動感あふれる素敵な模型となっています。
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平本大智くんはホワイトタイガーとくらすいえをつくりました。ホワイトタイガーの保護色となる縞模様のいえは、草原の背の低い草のようにホワイトタイガーの姿を隠します。内部と外部が交差するように計画されたスロープが魅力的です。
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リスとくらすいえを考えたのは松坂麻央ちゃんです。素材を編み込んで作った建物のすきまから風や光が通りとても快適です。飛び込み台からベッドへジャンプするなど、室内なのにアスレチックのようでもある楽しい提案です。
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以上で、3時間を超える発表が終わりました。みんなよくがんばりました!

発表会後は模型と椅子を片付けて、ジュースとお菓子を片手にお楽しみ会を行いました。子どもも大人も、多少の疲れと大きな達成感で満ちた満面の笑みを浮かべ、合同発表会の余韻を楽しみました。
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さて、後期からは「渋谷川と仲良くしよう!」をテーマに、恵比寿を流れる渋谷川を舞台にまちの建築を提案します。前期に動物の生活や特徴に寄り添った建築を考えたように、川辺にはその土地ならではのさまざまな生活や特徴が一緒になってくらしています。後期のまち探検でも、目で見て手で触れて耳で聞いて、体全体を使ってまちを感じながら、楽しい提案がたくさんつくれると良いですね。

芝浦工業大学4年 佐藤駿