HIROSAKI DESIGN WEEK「こども・まちづくり塾」第3回目

2016年11月25日

みなさま、こんにちは。
HIROSAKI DESIGN WEEK「こども・まちづくり塾」第3回目の様子をお伝えします。あいにくの雨で寒い1日でしたが、子どもたちのまちに対する熱意によって会場内は暖かく感じました。この日は、模型制作、プレゼンテーションボードの完成、明日の発表会に向けての練習と、3つもやらなければいけないことがあり、私は全て終わらせられるのか少し不安になりました。しかし、子どもたちの弘前に対する思いはどんどんかたちになっていき、模型やプレゼンテーションボードから溢れんばかりの思いを発表しきれるかという不安に変わりました。

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私たちのAグループでは中央弘前駅を中心とした敷地を対象に、駅の改修と弘前城まで続く枡形の道路の見直しから生まれた緑地の計画を行いました。まず始めに、先週まで子どもたちが取り組んできたことを、グループ内でディスカッションしました。先週までは恥ずかしげにそれぞれが取り組んでいたことを話していたのに対し、今日は違いました。それぞれがつくっているものを共通認識にしようという動きが見られ、グループで一つのものをつくっているという一体感が生まれたのです。さらに驚いたことに、駅のデザインと道路のデザインの方向性が少し離れてしまった子どもたちは、お互いに同じ煉瓦という素材を使って解決するという、中高生が協力する様子が見られたのです。中高生という今後の弘前を背負って立つ子どもたちが、10年後の弘前を考える上で、世代や地域を越えて協力するのはとても大切なことです。

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少しばかり、グループ内でのディスカッションが長引いてしまい、早く模型をつくりたくてウズウズしている様子の子どもたち。緑地を担当していた子どもが、駅の屋根が見える展望台をつくるなど、子どもたちは担当する範囲だけではく、周辺との関係を考えるようになり始めたのです。どんどん自分のアイデアをかたちにしてみたいと感じているようでした。

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午前中の模型づくりが一段落したところで、全グループ合同で進捗状況の説明と今後グループ間の関わり合いをどうつくるかというディスカッションが行われました。講師の大西麻貴さんからは「Cグループのラベンダーのドームから駅へつなぐのはどう?」、川を中心としたBグループからは「駅からのアクセスが欲しいから、Aグループの敷地に川をモチーフにしたスロープをつくってもいいですか?」など、グループ間の未解決の問題がいくつかあることに子どもたちは気づいた様子でした。

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お昼の休憩時には、私のグループの子どもが言った言葉が印象的でした。「私、お昼の休憩はここまでにして、さっき指摘された模型の続きを考えてみますね!」どんどん主体的に取り組んでいく子どもたちの姿を見て、私は少し涙が出そうになりました。

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午後の始めにはプレゼンテーションボードについてのレクチャーがありました。大西麻貴さんが大学時代に制作したプレゼンテーションボードでは、一番見せたいところを大きく見せること、文章のバランスを考えること、シャーペンなどは使わずに濃く太いペンを使うということを教わり、初めてプレゼンテーションボードをつくる子どもたちにとって大きなガイドとなったようです。

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私たちのグループではプレゼンテーションボードを後回しにして、模型づくりの続きを行いました。緑地にどんな建物を建ててよいのか悩んでいる生徒がいたので、「弘前らしいことってどんなことかな?」と聞くと「ねぷたですかね、あとりんごも!!」。私は“ねぷた”という表現に「ねぷた?ねぶたじゃなくて?」と聞くと「青森のねぶたは立体的だけども、弘前のねぷたは絵に描いたように平面なんです」と自慢げに答えてくれました。私は“ねぷた”が扇のような形に絵を描いたようなものだと教わり、自分なりに「こういうのかな?」と聞くと、「なんですかこれ、山盛りのごはんじゃないですか、ホタテ貝にも似てますね」と言われて少し気落ちしましたが、自分たちの地域のものにイマジネーションを働かせて新しい解釈にするのは大切なことだと思いました。このような少しユーモアも含んだ会話をしながら、彼は緑地に“ねぷた”の形をした光が映し出されるストリートファニチャーで、ドライブスルーもできる簡易的な飲み物を買う場所をつくりました。

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後回しにしたプレゼンテーションボード制作では、時間が足りなかったこともあり、発表の練習をしながら考えていきました。まずタイトルとキャッチフレーズを決めることに頭を悩ませました。私たちのグループは、江戸時代から続く枡形の道路を現代に生きる中高生が改めて考え直したので、軽弁で“私たち”を意味する“わんだい”という言葉を使い、『わんだいの枡形』という地域性のあるタイトルにしました。キャッチフレーズなどの文章も難しく、それぞれが考えた断片的な思いをどのようにつなげるか苦労しました。

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発表会では、どんなに饒舌に話すかということよりも、10年後の弘前がこんなまちになっていてほしいという熱意を伝えることが大切だと考えています。子どもたちにはその熱意があります。私は明日の発表会で、その熱意を伝えられることを期待しています。

日本大学理工学部建築学科 白尾仁知