子ども建築塾 後期第4回中間発表会「アイデアをみんなに伝えよう!」
こんにちは。東京でも厳しい寒さが続く中、多くの子どもたちが元気にスタジオに集まってきました。昨年12月9日に子ども建築塾後期第4回目の授業が行われました。今回は早くも後期の中間発表でした。
子どもたちがスタディ模型をつくり始めてから、初めて他のグループの敷地模型を繋げてみたのですが、とても急な坂道であることを改めて実感しました。敷地模型は子どもたちの作品のおかげで、とてもにぎやかになっていました。
まずは、Bグループの発表です。テーマは「音楽を聴く」です。Bグループの子どもたちは偶然にも全員楽器の演奏経験者です。道の曲がり角に面する小さな広場があることが敷地の特徴です。子どもたちは音楽ステージや音が鳴る建築などを提案してくれました。スケッチがとても上手い子どももいました。先生方は「作品が道に対してどのような影響を及ぼせるかを大事にしてほしい」とおっしゃっていました。
次にAグループの発表です。テーマは「知らせる」です。全てのグループの情報発信の役割を担います。一番高い位置にあることが敷地の特徴です。3D映像を利用したインフォメーションセンターや時を伝えるための大きな日時計を提案してくれる子どもがいました。伊東先生が「AグループからEグループまで水を流してみよう」と提案されました。その際、「曲水流觴(きょくすいりゅうしょう)」から着想を得た「曲水流思」という、2017年に伊東先生自身が上海で開催した展覧会の例を紹介してくださいました。アストリッド先生からはイギリスにある「ダイアナ・メモリアル・ファウンテン」を具体例として挙げていただきました。
休憩を挟んで、Cグループの発表です。テーマは「つくる」です。自由度が高いテーマなので、「どういったものから」や「どういった人に」ということを強く意識しているそうです。ブーケのような建物や、植物を屋根にたれかけたレストラン、ハチミツ工場など自然を取り込んだ提案が多い印象でした。伊東先生から「4人で1つの建築にできないか」との提案がありました。
次にDグループの発表です。テーマは「本を読む」です。敷地の中心となる道とは別の人通りが多い道に面しているので、そこから人を引き込むことができ、古民家と桜の木があることが敷地の特徴です。古民家の中のカフェやスロープでの読書スペースの提案をしてくれる子どもがいました。本の物々交換の案も出たところ、海外の図書館ではそのような事例があると先生方から紹介していただきました。ポップアップカードのようなものをスケッチブック上でつくり、発表してくれる子どももいました。
最後にEグループの発表です。テーマは「休む、くつろぐ」です。後ろに自然公園があり、他のグループと違って坂が無くフラットなところが敷地の特徴です。U型を利用したくつろぐスペースや、トンネルを使った案などがありました。1人で3つの提案をしてくれる子どももいました。Eグループの中心地となる板を使った建築は、今回の中間発表で一番盛り上がりました。伊東先生からの意見に対しても自分の案にこだわりを持って議論する子どもの姿を見て、将来大物になる予感がしました。
Eグル-プの発表が終わった後は先生方による全体講評でした。アストリッド先生からは「敷地全体に広がらなくてもいいので、道を面白くしよう」というアドバイスをもらいました。太田先生は「2階建ても積極的につくって欲しい。ただし、階段ではなく坂を利用するように」とおっしゃっていました。柴田先生からは「周りの人がふらっと立ち寄れるようなものをつくってほしい」とのことでした。伊東先生からは「水を流してみよう。道に沿ったところをどうするかグループで話し合って、道から建築を広げていこう。自分が住んでいたらどんなものがほしいか、どんな風に建物を使うか意識するように。TAは子どもたちに1つのチームとしての意識を持たせるように」という意見をいただきました。
現段階では個々の作品という印象が強いですが、来週の授業からは「まち」全体を子どもたちにもっと意識してもらえるように取り組んでいきたいと思います。
東京理科大学4年 佐野 航