子ども建築塾 2018年度 前期第2回「動物と一緒にくらす様子」を考えよう!

2018年08月01日

みなさん、こんにちは。2018年4月28日に行われた子ども建築塾前期第2回の授業についてお伝えします。

今期は「動物と一緒にくらすいえ」が課題として出題されています。
子ども達は、宿題として「動物の特徴を調べる」ことと「動物と一緒にくらす様子のスケッチ」を描いてきました。
人間と動物たちのいろいろと異なる生態を調べた上で、一体どのような場所や出来事を、人間と動物たちが共有できるのでしょうか。今回の授業では、宿題で調べてきた動物の生態やスケッチをグループ内で共有したり、新たに模型をつくりながら、考えていきました。

僕のグループでは人間とペンギンがくらすいえについて考えています。
まずは、みんなで持ち寄った動物の情報を発表し、共有しました。みんなとてもペンギンに興味を持って調べてくれたので、もう少し時間が欲しいと思ってしまうほど発表は盛り上がりました。

野生のペンギンは動物園のペンギンと違い、周りを警戒するため立ったまま寝ることや、魚だけでなくイカやタコを食べることが分かりました。太田先生からは、ペンギンの足の骨格が不思議だという話もありました。
また、フンボルトペンギンは土の穴に住むとか、アデリーペンギンは自分で小石を集めて家をつくるとか、ペンギンの中でも種類によって異なる生態を持っていることも知りました。
これらの中でも僕が1番面白いと思ったのが、ペンギンの中に「クレイシ」という人間で言うところの、親が子どもを預けて迎えに来る保育園のようなコミュニティがあるということでした。

生態についてみんなで話した上で、今度は人間とペンギンが共有できるような出来事や場についてのスケッチを見せ合いました。今の段階では、「一緒に泳ぐ」、「一緒に魚をとる」、「氷の上を滑る」など、比較的身体を大きく動かすような、アトラクション的な要素が多く連想されました。今後、案を深めていく上では、たくさん調べてきてくれた生態の情報と自分のくらしを結びつけながら、もう少し「いえ」という場所に合わせながら深く考えられると良いと思います。

続いて、動物と一緒にくらすいえについて考えるための練習模型をつくり始めました。前回つくった、僕たち人間、そしてペンギンの点景を使いながら考えました。
制作に入ると、小さな出来事の連想から始まり、いえというより部屋のような断片的な模型からつくり始める子、あるいはイワトビペンギンの住む岩場から連想して、それをそのまま一気に大きないえに仕立て上げ、全体からつくり始めるといったように、部分から考えるか、全体から考えるか、大きく分けて二通りの子がいました。子どもたちの進め方の違いが見えて面白かったのですが、全体と部分のどちらからつくるか、ということよりは、今後進めていく上では両方を行き来できることがより大切なように思います。

模型がかたちになってきたら、伊東建築塾のスタジオの1/20スケールの模型と比べながら、前回に引き続きスケール感を確認し、捉えていきました。

何はともあれ、授業が終わるとみんな1つずつ模型ができており、子どもたちの手の早さに驚きました。
模型をつくることは、単にいえのかたちだけでなく、何か出来事の発見にもつながるはずなので、引き続きこのペースで考えながら手を動かせたら良いと思います。
当然のことですが、私たちが最終的に提案するのは、建築です。それぞれの子どもたちが調べてきたペンギンの種類、また種類ごとの生態や、人間と共有できそうな出来事は、子どもの興味や好みによって異なりますが、それらの要素は最終的に立ち上がるいえのかたちや素材、ルールのようなものになると思います。特にペンギンは種類も多く、その分生態も多様なので、子どもによって異なる種類のペンギンを選ぶことで、提案に個性や広がりが出て面白いかもしれません。

最後に、今回の授業を振り返ると、みんな多くの情報を集めてきてくれて、制作にも意欲的で、集中した密度のある時間を過ごせました。しかし、今後何か制作に詰まるようなことがあれば、他のグループの人と作品や考えについて話したいと思います。 動物の生態は違えど、人と動物の共有できることの捉え方などは必ずお互い刺激を受けるはずです。

今回の授業後のTA反省会で、「僕たちがラクダに乗って、運んでもらうというイメージから抜け出すのがなかなか難しい」という、ラクダのグループの話を聞きました。動物と「一緒に〇〇をする」ということについて、一体どのような関係であれば「一緒に」と呼ぶことができるのでしょうか。これについては、いえという話には留まらない広がりがあるはずです。
子どもたち、そして僕たちTAが、動物と「一緒に」ということについて、何か答えを見つけられたとき、人間と動物という異なる生き物の世界から、見たことのないようないえが建ち上がるのだと思います。今からもう、発表が楽しみになりますね。

東洋大学4年 岡安 優