子ども建築塾 2018年度 前期第5回 「動物と一緒にくらすいえ」 中間発表

2018年11月08日

みなさん、こんにちは。

6月16日に行った子ども建築塾前期第5回目の授業「動物と一緒にくらすいえ」の中間発表をお伝えします。

徐々に気温も高くなってきて、本格的に夏に突入という時期に入りました。今日は少し緊張しながら塾の中に入ってくる子どもが多かったのが印象的でした。それでもTAと話しているうちに緊張が解けてくる子や、初めから自信たっぷりで元気な子もおり、発表会独特の明るいながらも少し緊張感のある雰囲気でした。保護者の方も多く見学され、塾の中は様々な方で大変にぎわっていました。
子ども建築塾では、講師の方々に子どもたちが現時点で考えているアイデアを講評していただく中間発表を必ず行います。今回は伊東先生、アストリッド先生、太田先生、柴田先生を中心に講評していただきました。

中間発表では、「いえのかたち」を提案するのではなく、「動物とどんなすごし方をしたいのか」を子どもたちにしっかり考えてもらうことが目的です。前回までに考えた、たくさんの断片的なアイデアを子どもたちからプレゼンテーションしてもらいました。例年の前期の課題と比べると、今回の課題はいえのかたちより出来事、すごし方がしっかりしていることが重要でした。
子どもたちは空間の魅力を伝えるだけでなく、動物たちとどのような関係性を築けたら幸せか、どのような生活の距離感がよいのかなど、自分が思う哲学をしっかりプレゼンできている子が多く、建築を考えていくプロセスとしてとても良い基礎を築けている印象でした。

プレゼンテーションの方法もそれぞれ個性があったのが印象的で、例年は模型の内容を主にプレゼンしていたのに対して、今年は模型より言葉でしっかりストーリーを説明する子やスケッチを描いてプレゼンしている子が多く、自分が考えていることを効率よく伝えるための手段まで考えられていました。伊東先生も「模型だけでなくもっとスケッチをたくさん見せて欲しい」とをおっていました。これを機に子どもたちのプレゼンテーションの幅がより広がっていくことを期待しています。

発表はAグループから始まりEグループが最後という順番で行われました。大勢の人を目の前にして緊張感の漂う中でも、子どもたちはしっかり大きな声で発表していました。今回の課題には空間と出来事や行為、そしてそれをつなげるアイデアという様々な要素が含まれているので、子どもたちが建築のどの部分に興味が湧いているのか、顕著に表れているのも特徴的でした。
例えばEグループの4年生、櫛引慶介くんの案はフラミンゴと仲良くするために「水のテーブルを食卓にする」という具体的な美しいアイデアがしっかり考えられていて、アイデアを出すことに積極的な気持ちが伝わってきました。それに対して同じくEグループの鈴木一朗太くんや野中蓮ちゃんのプレゼンからは、建築に対する関心が強く実際の空間性に対する興味が伝わってきて、同じ課題を取り組んでいながらもそれぞれ何が好きなのか建築のどのような部分の興味が強いのかはっきり見えたことも、中間発表の面白い点でした。もちろん哲学やアイデア、実際の空間どれもしっかりプレゼンできている子も少なからず見受けられて、今年の塾生は全体的にとてもレベルが高いように感じました。

 

もう一つ、具体的な環境を設定している子がいることも例年の課題との大きな変化だと思いました。例えばBグループはペンギンと仲良くするのがテーマなので、ある子は南極にいえを建築する状況を想定していたり、ラクダと仲良くするCグループはラクダが生息できそうな環境と人が住む環境とのバランスを考えている子が多かったり、環境の設定まで考えている子が多いのが印象的でした。人が動物の住む環境に合わせるのか、それとも人が住む環境の中に動物が住むことができる環境をつくってあげるのが良いのか、子どもたちはそれぞれの哲学を持っていて、それをしっかり先生方にプレゼンしていました。

次回からは中間発表までに出した一つ一つのアイデアを組み合わせていき、一つのいえとして完成させることを目指します。子どもたちにさらに良いアイデアが生まれ、それらが一つの魅力的ないえとして結集する姿がとても楽しみです。今後も先生やTAとのコミュニケーションを通して、また新たな発見や課題が見つかるのではないかと思います。今回の講評で先生方が仰ったことを糧に、より密度の高い作品につなげていき、9月の最終発表会のときには、アイデアだけでない魅力的な空間性を兼ね備えた作品と、一段階成長した子どもたちのプレゼンテーションが見られることを期待しています。TA一同も子どもたちのさらなる成長に向けて精進して参ります。

ご拝読ありがとうございました。

 

東洋大学 竹内一輝