4年目の活動に向けて

3.11東日本大震災の直後にスタートした伊東建築塾も、3年間の活動を終え、4年目を迎えることになります。昨年6月には恵比寿に新しいスタジオも完成し、以前より一層「私塾」の性格を色濃く打ち出せるようになりました。前庭に開かれたスタジオの気楽な雰囲気を、子ども達も存分に楽しんでくれているように思います。
4年目の今年は、「建築をつくることの真の楽しさ、面白さ」を伝えたいと考えております。本来、建築を実践することは、具体的かつ発見的で、身の回りの生活に直結しているはずです。しかし残念ながら、現在の建築教育は「もの」から離れ、概念に偏重しています。難しく抽象的に建築を考えすぎていて、つくる楽しさや魅力を忘れてしまっているのです。
建築を考えることの楽しさを取り戻すためには、科学的な思考ではなく、「野生の思考」とも言うべき、具体的、発見的思考の方法を確立しなければならないと思います。私達は、こうした新しい建築の思考方法を、塾の実践を通じて確立したいと考えます。
また、瀬戸内海の美しい大三島に誕生した今治市伊東豊雄建築ミュージアムも、今年4年目を迎えようとしております。私達は今夏スタートするミュージアムでの展覧会に伴って、島の将来像を描きながら、塾での実践活動と地域のあるべき姿を結びつけて提示したいとも考えております。
どうか私共の活動の趣旨を御理解いただき、会員への御登録、あるいは御協賛を賜りたく、御願い申し上げる次第です。
平成26年2月

NPOこれからの建築を考える
理事長  伊東 豊雄

2013K712.002伊東建築塾 恵比寿スタジオ © Kai Nakamura