設立主旨

「特定非営利活動法人これからの建築を考える」は、東京の建築塾と愛媛県の今治市伊東豊雄建築ミュージアムを結ぶ新しい建築教育の場です。このふたつの機関を管理運営するために法人を立ち上げました。

「特定非営利活動法人これからの建築を考える」の最大の目的は、これからの時代や社会に要請される若く優れた建築家を育成することです。
現代建築は依然として20世紀の機能主義の原理に基づいてつくられていますが、この原理ではエネルギー問題や環境問題に技術論的にしか対応できません。こうした問題に根底から対処するためには、建築や人が自然の部分であるような、建築・人・自然を包括的に捉え直す思想に基づいた建築教育が行われなくてはならないと思います。
私たちは日常の設計活動や大学での設計スタジオ等を通じて、若い建築家の育成に努めてきましたが、思想から設計への一貫した教育をより徹底して実践するためには、少数精鋭による特別な建築家育成講座が不可欠であると考えます。また同時に一般の人びとを対象としてこのような建築思想を浸透させる講座も開催したいと考えます。

第二の目的は、今治のような地方都市におけるまちづくりに関わることです。
「伊東建築塾」では春夏等大学の休暇期間を利用して、まちの人々と建築学生とのワークショップを通じて、まちの将来像を話し合い、ヴィジョンを描きたいと考えます。今治市伊東豊雄建築ミュージアムの建つ大三島は、古代以来の歴史の跡を残し、また緑豊かな島です。この島には廃校となった校舎を利用した宿泊施設や工房があり、学生達が一定期間滞在してまちや島の人びとと議論する機会をつくることはまちの活性化にも大きな役割を果たすと考えます。

第三の目的は、子どもの建築塾を実現することです。
絵画や音楽のジャンルでは小学生の子どもたちへのスクールはごく日常的に行われていますが、建築のスクールはほとんど例がありません。しかし欧米では小学校のカリキュラムにも「建築」が組み込まれていることも珍しくありません。
私たちはこれまで数年にわたって小学生とまちづくりやドームなどの建築をつくるワークショップを実践してきました。こうした経験を踏まえて、定常的に建築スクールを開催し、小学校の子どもたちに建築への関心を高めてもらおうと考えています。それは彼らの家族や友人を通じて一般の人びとにも建築の理解を深めることにつながっていくと考えています。