講座B 開講式

2012年05月15日

 

 いよいよ、今週末から2012年度の伊東塾講座Bが始まることとなり、神谷スタジオにて開講式が催されました。

 ゴールデンウィークから引き続き大気が不安定で、外はあいにくの悪天候となってしまいましたが、集合時刻の30分以上前から参加者が続々と集まり始め、予定開始時刻の19時にはほぼ全員の方が揃い、開講式がスタートました。

 伊東豊雄先生が挨拶をした後で、まずは会場に集まった塾生と賛助会員による自己紹介が行われました。建築家や建築学科の学生だけでなく、土木、都市計画、さらにはジャーナリストや弁護士の方まで、本当に幅広い分野の方々がいらしたことに驚かされました。また、3.11をきっかけに建築について考え、今回の受講を決めたという受講生が多かったことも印象的でした。

 

 つづいて、伊東塾長より講座Bの趣旨とスケジュールに関して説明がありました。当講座は一年制で、授業は全18回( 基本隔週、月2回開催)で、その内容は大きく分けて3つのテーマから編成されています。

 ひとつめは、「建築はどのようにつくられるか」。授業では、伊東豊雄建築設計事務所設計の作品を具体的に取り上げ、アイディア段階から竣工に至るまでの設計過程や施工過程、その他構造や設備、ランドスケープも含めて講義するととともに、実際に建築や建設現場に訪れることにより、建築に対する理解を深めます。

 ふたつめは、「江戸から昭和にかけての東京を知る」です。日々慣れ親しんだ場所も、よくよく観察すると、様々な時代の断片を読み取ることができます。講座では、歴史に詳しい専門家とともに実際に庭園や下町を訪れて、東京の近世から今日に至るまでの歴史を学びます。

 最後は、昨年度の若手建築家養成講座において正面から取り組んだテーマである、「大震災から未来のまちを考える」です。震災から約一年を経て、被災地では復興事業が具体的に動き出しています。今年度は、実際に現場で尽力している市長や住民を招いてお話を伺い、今後のまちについて議論します。

 これら3つのテーマを通じて建築や都市について考えるにあたり、塾生同士のコミュニケーションが非常に重要です。伊東塾長は、講座Bでは少人数だからこそ気軽に互いの意見を交わすことができる、「文化的サロン」のような集まりにしたい、とおっしゃりました。

 

 今年度の講座Bの概要がわかったところで、昨年の若手建築家養成講座がどういった内容であったか、具体的な説明がありました。昨年は開講前に起きた3.11を受けて、まずは6月に被災地である釜石でのワークショップを行い、住民の人々の声を聞きながら塾生同士で話し合い、今後どうしてゆくべきかを議論しました。秋以降は、実際に「みんなの家」の設計に取り組みました。「みんなの家」は被災地の人々が気軽に集まるための場所であり、住民や様々な企業の協賛を得て、現在も竣工に向け着々と工事を進められています。今年度の講座Bは講義と見学会がメインですが、もし塾生から積極的に行動を起こしたいと要望があれば、昨年のように被災地と関わったり、何か情報を発信していく可能性もあると伊東塾長からの言葉もありました。

 一通りの説明が終わると、質疑応答の時間です。初めはやや緊張した雰囲気だったのですが、途中でお酒が入ると会場内は一気に打ち解けて、被災地の状況や「みんなの家」、子供塾などに関して様々な疑問が寄せられ、伊東塾長を囲んでみなで議論しました。その後は、料理とお酒を片手にそのまま懇親会の流れとなりました。年齢も分野も幅広い方々が集まっていたこともあり、会場内では様々なテーマが話題にのぼり、多いに盛り上がりました。こうして、あっという間に時間が過ぎ、講座B最初の顔合わせは和気藹々とした雰囲気のなかで解散となりました。

 いよいよ13日から初回の授業が始まります。伊東塾長のいう「文化的なサロン」を目指し、これから一年間、講座Bの雰囲気づくりを大切にしてゆきたいと思いました。1年間の講座を通じて、塾生で多いに議論して、建築に対する考えがどのように変化してゆくのか、今からとても楽しみです。