子ども建築塾 前期第4回「練習模型をつくってみよう!」

2017年07月08日

みなさん、こんにちは。日本大学理工学部建築学科3年の佐村航です。
5月27日に行われた前期4回目の授業についてお伝えしたいと思います。

今回の授業では、宿題で描いてきたスケッチをもとに、次回の授業の中間発表会に向けて、練習模型の制作を進めていきました。

授業の始めに、講師のアストリッド先生から「今回の敷地周辺は約2メートルの高低差があるよね?普通のフラットな敷地ではつくれない、レイヤーを重ねるような空間をイメージしてみよう!」というアドバイスがありました。

「計画されている敷地の中だけでなく、前後の坂道や擁壁を含めてもっと広くデザインしてみよう!」このアドバイスは、後々重要なキーワードとなります。

その後、アストリッド先生が見守る中、まずは宿題となっていたスケッチの発表を各グループ内で行いました。運動会シーズンということで出席していた子どもの人数は少なかったのですが、その分一人ひとりのスケッチについてじっくりとみんなで意見を述べることができました。中には、敷地の三角のかたちから船の甲板をイメージする子や、足湯によってコミュニティをつくりたいと思っている子、鏡を使って採光を調整し明暗で空間を表現したい子もいました。コンセプトは見つかっているものの、空間としてまだ形づくられていない子どもたちの案に、アストリッド先生からアドバイスが与えられ、自分の案についてより客観的・具体的に考えるようになった子どもたちの表情が印象的でした。

スケッチを発表した後は各自で練習模型の制作に取りかかりました。やりたいことを頭の中でイメージしつつ、材料の検討や模型のつくり方をTAのお兄さんお姉さんたちと一緒に検討しながら進めていきます。模型づくりに慣れてきたのか、はたまた、やりたいことが明確になってきたのか、第2回授業のときと比べて制作する手がよく動いていました。

今回は、授業の途中でもう一度、グループ内で中間報告をしました。前回までつくっていた模型と大幅に変わっている子も多く、より大胆に、よりコンセプトが明快に表れた模型となっていてTAの僕も少し驚きました。子どもたちも自信をもって中間報告をしていたように思います。

さらに模型制作を進め、授業終了の時間が来ました。次回の授業が中間発表ということで、材料を持って帰って模型制作を続けたい子もいたようで、意欲が伝わってきました。宿題として、模型の中に置く人型の添景(サイズは1/50)を一人10個つくってくるように伝えられました。少し大胆すぎてスケールオーバーしていた模型が多かったので、人間の大きさを模型上で確かめながら模型をつくっていくようにするためです。

今回の授業は、とても中身が濃く、今課題においてターニングポイントとなったのではないかと思います。アストリッド先生からのアドバイスで、子どもたちの頭の中で変化が起きました。前々回の授業までは、課題のテーマである“みんなの家”の「みんな」って誰のことを指しているのだろう、こんな狭い敷地で「いえ」ってどうやって建てるのだろう、と文字と頭の中のイメージがあまり合わなかった子どもたちが多かったと思います。しかし、住宅見学とアストリッド先生の言葉を踏まえて、子どもたちの頭の中には「床の高さを変えるだけで、小さな空間でも様々な活動が生まれるかもしれない」「坂道や擁壁など周辺環境をうまく使えば、いろんな人のための空間がつくれるかもしれない」といった“みんなの家”に対する大きなイメージが確立されつつあるように感じました。

次回の授業はスタジオ内での中間発表会です。まだまだかたちになっている子は少ないですが、今回参加した子の案が先生方や他の子の目にどう映るのか非常に楽しみです。また、今回参加できなかった子どもたちは、全体の案の変わりように少し戸惑うかもしれません。しかし、良い刺激を受けてくれるのではないかとポジティブに捉えております。僕自身も学校では「設計はチームワークだ」とよく言われ、他人に刺激される機会が多々あります。子どもたちにとって、次回の中間発表会がそのような場になると良いですね。

日本大学理工学部建築学科3年 佐村 航