子ども建築塾2019年度 前期第2回「リサーチ発表」

2019年11月15日

皆さまこんにちは。子ども建築塾TAの菊地ゆかりです。

4月27日に行われた前期第2回授業の様子をお伝えします。

始めにみんなに調べてきてもらった5つの環境(崖、砂漠、水、氷、都会の高層ビル)について、それぞれグループ内で発表し合いました。みんなどんなことを調べてきてくれたのでしょうか。

崖グループの中では、崖地で暮らすヤギについて調べてきてくれた子がいました。ヤギのひずめは真ん中が開いていて、急な斜面や崖地でも岩肌の凹凸をしっかりつかめるかたちになっているのだそうです。狼などの天敵もやってこれないような場所で暮らすヤギにはひずめに秘密が隠されていたのですね。このように、ある環境を考えるとき、まずそこで暮らしている動物たちに注目してみることも、環境に合わせて生活していくためのヒントになりそうです。

砂漠グループの中では、ひとえに砂漠といっても場所や国によって砂の色が違うことに気付いた子がいました。砂を粒レベルの写真で見てみると、少し赤っぽかったり茶色っぽかったり、微妙に色が違っていてとても面白いです。
また、砂漠というと暑そうなイメージがありますが、昼と夜とでは70度もの温度差があるようで、砂漠の夜は意外にも寒いことも分かりました。
昼と夜の比較で言えば、都会も昼夜で表情を変えることに注目した子もいました。昼間はみんな仕事をしていて建物の中にいますが、夜になるとその人たちが家路につくためにまちに溢れ出し、駅や道は混雑し始めます。都会の高層ビルの中でもこうした小さな変化が独自のリズムをもって生まれていると思うと、なんだか身体的な感じがして面白いですね。

これらの環境リサーチから空とぶいえを考えていきますが、その前に今日はスケッチのレクチャーをしていただきました。
伊東先生もご自身の設計を進めていく中ではスケッチをとても大事にされているそうです。
自分の考えていることを誰かに伝えるときの表現方法はいろいろありますが、スケッチは言葉などに比べてイメージが瞬時に伝わりやすい手段だと思います。
その分ごまかしがきかないものでもあるようで、私の経験上では、絵にするときには頭の中に強くイメージをする必要があるように感じます。
頭の中ではいろいろ楽しそうなことが起こっていそうなのに、絵にしたときに意外とつまらなかったり、イメージと違うものが表れてしまったり、そんな経験も多々あります。
自分の思い描くものをスケッチに起こすのはなかなか難しい作業だと思います。頭に描くことを手で描いていくわけですから、最初は思うような絵にならないかもしれません。しかし、何度も描いていくうちにだんだんと頭の中のイメージと近づいていくような感じでしょうか。
とにかくスケッチはたくさん描いて練習するしかないため、みんなにも絵の上手い下手には関係なくどんどんスケッチを描いて考えていってほしいです。
(恐れ多いですが…)伊東先生のスケッチの中にも決して上手とはいえない絵がちらほらあったのではないでしょうか(笑) みんな少しホッとしたかな?(笑) スケッチは上手じゃなくていいのです!伊東先生も言われているようにコミュニケーションのひとつの方法として、スケッチがあるのですね。
私もこれからみんなと空とぶいえを考えていく上で、スケッチを描きながら一緒に考えていけたらいいなと思います。

授業終盤では、それぞれ調べてきてくれた環境リサーチからどんな空とぶいえが考えられるかグループ内で話し合いました。
プニプニしていて崖地にペタっとひっつくようないえや、高層ビル群の上を磁力の反発で浮遊したりくっついたりするカプセル型のいえ、あるいはハンカチがヒラヒラと舞う様子からヒントを得て、外からの刺激によってかたちを変えていくようないえを考えてくれている子もいます。
早くもいろいろなアイデアが出てきていて今後がますます楽しみです!

今回の課題では『空とぶいえ』を考えていきますが、アストリッド先生が言われているように、飛んでいるときと着陸しているときの両方を考えていくことも今後はポイントになってきそうです。”飛ぶ”ということとそれが”着陸する環境”がどんな様子なのかによっても色々なかたちが考えられると思います。あるいは素材感を考えていくことも必要になっていきそうです。

これからどんな『空とぶいえ』ができていくのでしょうか。楽しみです!

日本女子大学修士2年
菊地ゆかり