塾生限定講座 台湾ツアー(1日目)
昨年12月13日から15日までの3日間、台湾にて伊東豊雄建築設計事務所が設計した3つの建築を訪ねる、伊東建築塾初の海外ツアーが行われました。
初日の朝8:45、定刻通りに羽田空港を出発し、お昼過ぎに台北・松山空港に到着しました。最初の見学先となった松山煙草工場跡地文化園区は、松山空港からバスで10分程度のところにありました。
松山煙草工場跡地文化園区は、1930年代、日本統治時代に建設された煙草工場の跡地における再開発計画です。敷地内には広場や生態池もあり、中心部とはいえ、緑豊かな場所です。また、かつての外観のまま保存されている元工場の建物も残っており、現在は内部を改装し、ギャラリーやショップとして使われています。これらと新しい建物の間を文化広場として整備し、このエリアの人々が自由に使える公園を設けて、古い建物と新しい建築を一体とした開発計画です。
新たに建設したメインの建物の外周は、3つの異なった円弧で構成されており、この円弧の先がそれぞれの異なるエリアへと繋がっています。文化広場側の円弧は上層階にいくにつれて変化し、地上の緑と屋上テラスを結んでいて、地上から上空に向かって風が通り抜けるような気持ち良さが感じられました。さらに、この円弧によって広場に広がりを持たせることで、台湾の暑い太陽の光が遮られています。
新しいものと古いものを結び、共存させる。とても難しいことですが、松山煙草工場跡地はその好例として実現していました。見学当日も、このエリアの住民や多くの観光客が訪れ、建物の内外はとてもにぎわっており、台湾の人々に愛される場所となっていました。また、この日はコンサートホールでデザインのイベントが行われており、伊東塾長は突撃取材を受けていました。突然の申し入れにもかかわらず、快く取材に応じていた伊東塾長。この国での人気の高さを感じました。
©KAI NAKAMURA
見学終了後、再びバスで台北高速鉄道駅まで移動し、日本の新幹線のような鉄道に乗車。およそ1時間で台中に着きました。その後、ホテルにチェックインし、今晩の夕食の場所である大旺角という台湾料理のレストランまで歩いて行きました。
レストランでは、現地に常駐している台中オペラハウス担当の伊東豊雄建築設計事務所のスタッフ、協力会社の方々が出迎えてくださり、台湾での設計活動や生活のことなど、さまざまなお話が聞くことができました。伊東事務所の方々も、東京から頻繁に通っていたり、現地に住んでいたりと、慣れない生活の中、ご苦労も多いのではと思いましたが、皆さんとても明るく、楽しいひとときを過ごすことができました。
また、このレストランでは次から次へと大皿のお料理が出され、大変満足のいくものでした。特に烏骨鶏の薬膳スープが美味しかったです。すばらしい建物を見学した後、皆で一緒にとるお食事とお酒はとても美味しかったです。
塾生 中村鈴子