子ども建築塾 後期6回「佐原のまち探検に行こう!」
こんにちは。早稲田大学1年、子ども建築塾TAの江頭樹です。
1月10日の授業は、いつもとちょっと違う雰囲気。冷たい風が吹く中、みんなはわくわくした気持ちを抱えて、はるばる千葉県の佐原までやってきました。ちょっと遠かったかな。でもみんな元気いっぱいです!
駅から少し歩いて川沿いまで行くと、いつもと雰囲気が違うまちであることにより一層気づかされます。「ここから川に降りられるよ!」「舟が通っている!」「建物も古い時代に建てられたみたいだね」と、たくさん発見したことを教えてくれました。今期の課題敷地である千駄ヶ谷のまちや、スタジオがある恵比寿とは違った発見がまだまだありそうです。
佐原町並み交流館までたどり着き、太田先生から今日のまち探検のポイントについてのお話がありました。
・ 十字型に町並みが残っていることを把握すること
・ 川と道と建築の関わり方に注目してみること
・ 昔の地図を作った伊能忠敬のことを知ること
の三つです。佐原は利根川の近くにあり、水運のまちとして栄えた場所です。川沿いには小江戸と呼ばれる古くからの町並みが残っているので、特に「水」チームは、水とまちの関係に注目すると、自分たちの建築に活かせる部分があるかもしれません。
また、お店の前にはたくさんの工夫があります。ベンチがあったり、植物があったり、千駄ヶ谷では見ない窓の形もあります。「人」チームや「まちなみ・建物」チームは、そこから何か発見があるかもしれませんね。
また、佐原は日本で初めて精密な日本地図を作ったと言われる伊能忠敬が生活していた地です。彼の自邸や、地図についての記念館もあります。伊能忠敬旧邸の前にある橋では、30分に一度何かが起こるらしいのですが……。
それでは、チームに分かれて、いざまち探検へ出発です!
いきなり飛び出していくチームあり、どこへ行くか計画を練ってから出発するチームありと個性豊かですね。
「水」チームは、まず商店にいたおじさんにインタビュー。「このまちのよいところはどこですか?どこから見に行くのがよいですか?」と聞いたところ、「もう少し先へ行くと、伊能忠敬の家や博物館があるよ」と教えてくださいました。
伊能忠敬旧邸は中に入ることができます。子どもたちは好奇心のままに、カメラを片手にずんずんと中へ。
敷地の中にある大きな蔵や水路を写真に収めていると、家の前から他のチームの声が聞こえてきました。そろそろ、あの30分に1度の時間のようです。
伊能忠敬旧邸をあとにして、樋橋、通称「ジャージャー橋」に行くと、橋の下から水が流れていました。まるでカーテンのようですね。
「水」チームは、これによってどのようなよいことがあるのか、これは何なのか、気になって乗船場にいる方に尋ねてみました。すると、「もともとは畑に水を引くために使っていた橋で、伊能邸の中の水路に雨の水をためて、それを流していたんだよ」とのお答えが。先程、伊能邸の中で見ていた水路はここにつながっていたんですね!
水が落ちる音を聞きながら、橋の上のベンチでしばし休憩。
橋の上から見た景色はとても落ち着くらしく、こんなまちに住んでみたいなあと口々に言っていました。そんな感想も作品に反映されていくとよいですね。
休憩を終え、向かった先は「伊能忠敬記念館」。伊能忠敬が地図を作るために使った道具や実際に作成した地図など、地図に関わるたくさんのものを展示している博物館です。子どもたちは興味津々!館内にあるクイズを一つずつ解きながら理解を深めていました。大きな地図に細かく書き込まれた地名や目印も、単眼鏡でのぞくとよく見えます。いかに詳細に調査されたかが分かり、「本当にすごいね」と感嘆していました。みんな夢中で地図を食い入るように見ていると、なんとここでハプニング発生!残り時間が15分!伊能忠敬記念館を楽しみすぎてしまいました!まだまだまちには見に行きたい場所が残っています。大慌てで外へ出ました。
残り時間は少なくても、さすが建築塾の子どもたちはまちの観察を怠りません。先生からのポイント、川と道と建築のつながりに注目しながらまちを歩くと、蔵に入れるお店を見つけました。建物の上から川や道を見ると、どんな風に見えるのか気になりますね。蔵の二階に上がると、窓の分厚さにびっくり。そういえば、どこの蔵の窓もこのようになっていましたね。
早足で蔵をあとにすると、川沿いに工事中のお店を発見。「新しい建物も古い建物と同じかたちで建てられているよ!」と目ざとく見つけて、教えてくれました。まちの景観を保つために、新築の建物のデザインも周囲と合わせているのですね。これも建築とまちのつながりのヒントになりそうです。おっと、そろそろタイムアップということで、はじめに先生からお話のあった町並み交流館へ戻ります。
まだまだまち探検が足りず、名残惜しそうなみんなの背中を見ながら、その好奇心にTAの私たちも刺激をもらいました。
次回の授業は、恵比寿のスタジオでいよいよ模型づくりに入ります。今回のまち探検での発見も活かしながら、最終的な案を決め、先生からエスキースを受けます。みんなの考えたまちが立ち上がっていくと思うと、わくわくしますね。