子ども建築塾 前期第8回「模型を完成させよう!」

2016年09月29日

素材にはそれぞれ特徴があります。そして、その特徴によって物のかたちは導かれていくのではないでしょうか。今期の「自分の好きな素材でいえをつくろう!」というテーマでは、私も子どもたちと一緒に「かたちの背景」のようなものを考えることができました。

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今回で前期の授業は8回目となりますが、子どもたちは、自分の好きな素材を見つけ、その特徴を活かしたいえを考えてきました。2種類の素材を上手に組み合わせて、新たな特徴を生み出したり、それぞれの弱点を補えるようにしたりと、大人顔負けの発見をする子もいます。

9月4日に行われた授業は模型制作の最終日。学校が始まり、夏の疲れが出てくる頃ですが、子どもたちは残暑にも負けず、完成に向けて一生懸命作業をしていました。アストリッド先生は、子どもたち一人ひとりを見て回り、子どもたちからどんないえなのかを聞き、アドバイスをしてくださいました。

中には「今ある模型のなかで一番好きなのはどこ?そうでないところは壊そう!我慢して使うのは良くない。好きなものでつくろう!」というご意見もありました。模型制作最終日だったので、そのアドバイスにも驚いてしまったのですが、それをすぐに受け止め、壊し、つくり直した子どもたちの様子にさらに驚かされました。中には「いつものこと」と笑いながら作業を進める子どももいて、とても頼もしく感じました。

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模型を自分の考えを立体化するツールとして使うだけでなく、模型がかたちになっていく過程で、好きな部分、面白い部分に気付き、自分がどんないえをつくりたいのかをはっきりさせる、「つくりながら考え、自分の気持ちから逸れたものは壊す」ということを繰り返し、完成させていく子どもたちの姿勢には毎回感心させられます。

外観部分が完成したら、いえの中をどんな空間にするか具体的に考えていきました。いえに住む人を自分とその家族と設定している子が多かったのですが、「弟は普段○○だから…」「お母さんから私が何をしているのか見えるように…」など、自分だけでなく家族の立場に立って、その人になりきって空間を考えていました。

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授業の最後に、アストリッド先生から「人の添景を作ろう!1日に1人つくれれば、次回までに6人ができるね。」と宿題が出されました。意外にも人を描くのが苦手という子どもが多いようで、授業中にも「もっとしっかりと顔を描いて、カラフルな服を着た人を作って!」というアドバイスが多く見受けられました。

模型は家具や人を入れることでスケール感が生まれ、相手にどんな空間か分かりやすく伝えられるようになります。また、模型は様々な角度から見ることができます。いろいろな場所に作ってきた人を配置し、模型を通して自分の考えを伝えられるといいですね。

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次回は、発表会に向けたプレゼンボードづくりです。私は大学でプレゼンボードはラブレターだと教わりました(笑)。自分の考えを正しく、はっきりと伝えることが大切です。模型で表しきれないところは、内観写真の上から絵を描き足したり、スケッチや図面を描いたりしましょう。

また、発表では言葉の力も大切です。文章だけでも上手に伝えられるよう、一番言いたいことをきちんと言えるように、子どもたちと一緒に頭の中にあるイメージを整理していきたいと思います。「模型」、「スケッチ」、「言葉」、すべてのツールを使いこなし、自分の想いを最大限相手に伝えられるように、発表会に向けて頑張りましょう!

日本女子大学住居学科3年 下田 彩加