子ども建築塾2024年度 後期第2回 イメージをふくらます「最高のロケーション」
2024年11月9日(土)に行われた後期第2回授業の様子をお伝えします。
子どもたちがスタジオに入ると、前回授業でグループ毎に決めたしまなみ海道の島々(向島、因島、生口島、伯方島、大島)の1/50の敷地模型が机いっぱいにできていました。今回の敷地は、4家族が住むとても小さな島です。恵比寿スタジオの模型や先生方の点景を置いて、島の大きさを確認します。
港には、何がある?という太田先生の問いかけに子どもたちは、
船、桟橋、コンテナ、倉庫、魚を入れる所、クレーン、船を止める所,船を係留する所(岸壁or浜)、船乗り場(人=旅客、物流)、加工施設(すり身、かまぼこ)、魚市場、灯台、アクセス(道)等を挙げていきました。
とはいえ、“港“のある暮らしはどのようなものか、なかなかピンと来ない子どもたち。島には欠かせない港についてイメージを膨らませられるよう、先生方が港の事例を写真付きで紹介してくださいました。
式地先生・・・島根県鵜鷺地区 昔鉱山だった山があり、物流の拠点で栄えた町。小さな倉庫や建物が並んでおり、密集した路地から海がすぐ見える。
柴田先生・・・和歌山県那智勝浦 紀伊半島の一番下辺りにある本当に小さな島。とても静かな遠浅の海で、満ち潮、引き潮で海水の高さが変わる。広い平地がないため、浅瀬を利用して野球もする。
太田先生・・・ベトナムのロンシュエン 米づくりが盛んなメコン川沿いの賑やかな町。水上住居がある。小さな木造船+近くにマーケットができている、港では手で荷物を積み下ろしている。
アストリッド先生・・・京都府伊根町 家の下に船が駐車場のように入る「舟屋」が並ぶ。
レクチャー後は早速、島のマスタープラン作りを始めました。グループ内でアイデアを出し合い、ゾーニング案を付箋に書いて貼ったり、スケッチブックにアイデアを描いたりして、話し合いました。グループごとにそれぞれ違う島のかたちをとらえ、「この入り江を港にできるよ」「この作物は日が当たる南側で育てないと」など、いろいろな意見が出てきました。
その後、敷地にボール紙でつくったボリューム模型を置いてスタディをしました。だんだん島の風景が見えてきて、足りないもの、多すぎるもの、スケールが適切でないものが見えてきました。
次回に向け、先生方からいくつかアドバイスがありました。自分のアイデア、意見をスケッチに描いてみること、敷地模型上につくった模型を置いてスケールを確認すること、さらに模型をコミュニケーションツールの一つとして使いながらグループの他の人の意見を聞くこと、です。
伊東塾長もよく、グループ課題で大切なことは①議論すること、②特定の人だけでない、皆が意見すること、と話されています。意見したうえで、結果的に自分の意見が採用されなくても悲しむ必要はありません。その意見が周りへのスパイスになります。また、言葉で表せないことは、絵に描いてみましょう。グループ内の皆で共感できるよう意見を共有する。それが、前回授業で太田先生がおっしゃっていた、オーケストラとして設計する、ということです。
次回の第3回授業では、再度自分たちの島を冷静に見てみましょう。
改めて、自分が何を大切にしているか全体像をスケッチして持ち寄り、どんな「いただきます島」にしたいか、グループの仲間と考えていきましょう。
早稲田大学芸術学校2年 星野泉