KAERUコラム「東松島のこどものみんなの家 -被災地の子どもたちに笑顔を」

2013年04月24日

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宮城県東松島市に建つ「こどものみんなの家」は、株式会社Tポイント・ジャパンが運営するTポイントによる募金で、大勢の方から建設費用を募り、建設されました。
(詳細は、T-SITE をご覧ください。)

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プロセス
600世帯近くが暮らす、東松島市内最大の仮設住宅地の中に敷地が設定され、昨年の夏頃から住民の方との話し合いが始まりました。

ファーストスケッチ1

今回は、伊東豊雄が若手建築家の大西麻貴さんに声をかけ、一緒に設計を行いました。当初は、車輪のついた“動く家”のイメージがありましたが、最終的には3つの小さな部屋に分かれたプランになりました。

平面スケッチ

それから急ピッチで設計・施工が進められ、今年の1月26日に無事、竣工を迎えました。竣工式には、東松島市長や関係者の他、住民の方や子どもたちが100人以上参加し、餅まきや、東松島市大曲地区に古くから伝承されている獅子舞も登場したそうです。

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3つの小さな家
3つの部屋のうち、一つ目は“テーブルの家”。みんなで囲む大きなテーブルは掘りごたつになっていて、映画を観たり、話をすることができます。

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二つ目は“あたたかい家”。塔のようなかたちをした建物の中に薪ストーブがあり、ほっと一息つくことができます。

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三つ目は、アルミ製の“お話と演劇の家”。車輪がついているので、動かして、別の場所で使うこともできます。(写真は、住民の方と一緒に開催したクリスマスイベントの様子です。)

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竣工を迎えて
竣工式を終えた後、「こどものみんなの家」はさっそく子どもたちの遊び場になっているようで、3つの建物をつなぐ縁側を自由に駆けまわる姿が印象的でした。

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「みんなの家」は、建つ場所によって建物のかたちも雰囲気も異なりますが、この「こどものみんなの家」は、こどものためということもあり、窓や扉のスケール感が少し小さめにつくられているのが特徴的です。子どもたちが大きくなるまで、この場所で元気に遊び、笑顔で育ってくれれば、設計者冥利に尽きるのではないかと思います。

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(文責:伊東建築塾 古川きくみ)