子ども建築塾 2025年度 後期第2回 イメージをふくらませる“路地”とは

2025年11月25日

11月8日、第2回授業が実施されました。前回、谷中でのまち見学を通じて路地の多様な魅力を体験した子どもたちは、その体験を具体的な提案に結びつけるための“路地の魅力”の整理を行いました。

【授業の流れ】
・太田先生からの課題説明
・グループワーク:担当店決定

■ 太田先生からの課題説
まず、太田先生から今回の課題の説明がありました。後期授業では、グループで協力して一つの「まち」を作り上げるため、グループ制作においてメンバー同士 の協力と、それぞれのアイデアを尊重し合う姿勢が大切であると強調されました。

また、課題の核となる「路地」について、まちにとって「道」は最も重要な要素であり、建築が道とどのように関係するかを考えることが重要であると説明されました。今回は「幅4m以下の道」を路地として捉え、この路地から、人間にとって心地良いスケ ール感を持つまち(ヒューマンスケール)を考えることが目標とされました。

ヒューマンスケールとは、人が居心地良く感じる空間であり、その居心地の良さを考える際には、方角や日の光の当たり方といった、環境的な要素も細かく配慮する必要 があるという説明がありました。

授業の中では、路地が持つイメージについて、伊東先生やアストリッド先生から子どもたちへの問いかけがありました。

伊東先生が「路地とはどんな場所だと思うか」と問うと、子どもたちからは「猫やねずみがいそう」「隠れられる場所」「チェーン店ではない、面白いお店がありそう」といった、路地が持つ独特の雰囲気に関する意見が出ました。

アストリッド先生は、「家から出なくても向かい側の家と対話できるくらいの近い距離感」が路地の特徴の一つであるというお話をされ、子どもたちに対して、友達が隣に住んでいるような親密な距離感を想定してまちを設計するヒントをいただきました。

■ グループワーク:担当店決定
路地のまちの重要な要素となるお店について、各グループの担当が決定されました。 グループの人数に合わせて、それぞれが担当するお店を割り振ります。このうち2つのお店はくじ引きで決定し、残りの1〜2つは子どもたちが自分たちのアイデアで自由に考えることになりました。

【各グループのくじ引きで決定した担当店】

A:パン屋、床屋
B:豆腐屋、立ち食い蕎麦
C:本屋、塾
D:和菓子屋、喫茶店
E:コインランドリー、駄菓子屋

F:コインランドリー、本屋
G:塾、豆腐屋
H:立ち食い蕎麦、喫茶店
I:駄菓子屋、床屋
J:パン屋、美容室

お店を考えるにあたり、太田先生からは「お店の実用性も大切ですが、外から見たときの魅力、つまり道に面していて思わず入ってみたくなるような楽しそうな雰囲気も重要である」というアドバイスがありました。光の反射や店の佇まいなど、通行人の興味を引く工夫を考えるよう促されました。

■ TA として感じたことと
今回の授業を通じて、路地というテーマを建築として実現するための具体的なステップが見えてきました。

伊東先生からは、TA に対して「谷中は良いまちだと評価されるのに、なぜ実際にはそのようなまちが減っているのか」という問いが投げかけられました。この問いは、路地が持つ価値を現代の都市環境の中でどう活かすかという、この課題の根本的な意義を改めて深く考えるきっかけとなりました。

子どもたちにも、次回に向けて「まちを歩いていて、どんなお店に入りたいと思ったか、楽しそうだと感じたかを観察しよう」という宿題が出されました。子どもたちが持ち帰る現実のまちの観察が、今後のアイデアを豊かにすることを楽しみにしています。

TA 平田里帆