「釜石商店街のみんなの家」現場レポート vol.11 内装工事完了
こんにちは。伊東豊雄建築設計事務所の高池さんからの現場レポートを元に「釜石商店街のみんなの家」の現場の様子をお知らせします。
おかげさまでいよいよオープニングまであと10日を切りました。
内装工事がほぼ完了しました。
残された外構工事や器具の取付などが終わると竣工となります。
●ボランティア塗装作業
7日から8日までボランティアのメンバーで内壁と木部の塗装作業を行いました。
当初9日までの予定でしたが,たくさんの方が参加してくださったお陰で,2日で終えることができました。
東京から来た伊東塾の8名,神戸から来た神戸芸工大の学生さん1名と共に釜石の住民の方5名が参加してくださりました。
職人さんにご指導いただきながら,通常は2~3回塗りのところを4度重ね塗りをして,非常にきれいに仕上がったと思います。
塗装の手順としては以下の通りです。
(1) 養生
塗装する部分以外をマスキングテープで覆います。
(2)下地調整
合板の継ぎ目の部分とタッカー跡のへこみのある部分をパテ埋めして,
塗装面の下地を平らに整えます。
(3)下塗り
コンセントの開口部廻りや幅木など細かい部分ははけで,
その他の大きな面の部分はローラーで塗ります。
(4)やすりがけ
乾いた面にやすりをかけて,表面をなめらかにします。
(5)上塗り
(3)から(4)の手順を壁全体のむらがなくなるまで何度か繰り返します。
(6)養生外し
塗装が終わり次第すぐに養生を外します。
●花壇作り
7日に増田さん(昨年度伊東塾スタッフ)が千葉から8時間かけてお花を運んできてくださりました。
到着された時,車の中は花で一杯でした。
旬のアジサイやローズマリーなどのハーブ系の草,アイビーなどのつる植物,
繊細な茶花など,見ているだけで元気になるようなたくさんのお花をみんなで植えました。
ボランティアのご協力をいただいた皆さんありがとうございます。大変お疲れ様でした。
●ベンチ取付,照明器具・キッチン取付
12日に家具監修のイノウエインダストリィズの井上さんがベンチの取付をしてくださりました。
塗装を終えた直後は真っ白壁に囲まれた少し静かな印象だったのですが,ラワン合板の
ベンチと手作り家具が入ると楽しい雰囲気が出てきたと思います。
照明器具やキッチンも取り付きました。
●釜石からドイツへ送られたガレキのメッセージ
伊東事務所では,6/9~9/16までドイツのカッセルで行われている「ドクメンタ」http://d13.documenta.de/
というアートの展覧会に,震災復興とみんなの家をテーマにした作品を出展しております。
@リアスなど釜石市民の皆さんにご協力いただいて,「釜石商店街のみんなの家」に
あったガレキに復興への思いをかいていただきました。
無事にそのガレキがドイツに送られ,ブースの角に展示されました。
これはとても反響があったそうで,照明設備の都合上実現しなかったのですが,
展示会場の真ん中に置きたいという声もあったそうです。
この展示はドイツでの展示の後,韓国にも巡回する予定です。
以上長文失礼しました。
ここまでこれたのは本当に皆さんの暖かいご支援とご協力のお陰です。
通常の建築においては,設計・施工監理という立場上,私からの現場レポートは今回で最後ということになります。
しかし,「みんなの家」はできてからが始まりの建築です。
今後も実際に使われている様子などを皆さんと共有したいと思い,引き続きこの勝手なレポートを続けさせていただきます!
23日のオープニングには,ぜひお誘い合わせの上,お越しいただければ幸いです。
皆様にお会いできるのを楽しみにしております。
伊東豊雄建築設計事務所
高池 葉子