子ども建築塾 前期5回「大きさについて考えよう!」
6月22日、梅雨の晴れ間となった青空の下、子ども建築塾前期5回目の授業が行われました。
前回の授業は大西麻貴さん設計の「二重螺旋の家」の見学会だったので、スタジオでの授業はおよそ1か月ぶりです。子どもたちは見学会で何を感じ、どこを気に入り、どんなスケッチを描いたのでしょうか。今回はその発表を行います。
この日は恵比寿に出来たばかりの新しいスタジオで、移転後初めての授業とあって、到着した子どもたちは2階に上がったりキッチンを覗いたり、興味深そうに探検していました。伊東先生の愛犬・モモちゃんも一緒に参加し、楽しげな雰囲気でのスタートとなりました。
二重螺旋の家の模型をつくろう!
まずは、前回見学した「二重螺旋の家」の1/10スケールの模型を作りました。班ごとに家のどの部分を作るかを決め、制作開始です。
あらかじめ切り分けられた部材の開口を切り抜き、板張りの仕上げを表現するテクスチャーを貼り付け、組み立ててゆきます。
難しい取りあいの部分も、説明図を見ながらみんな楽しそうに作っていました。私が一緒に作業しているE班の子どもたちは「難しいところをつくりたい!」と、複雑なパーツに積極的に挑んでいて、とても頼もしかったです。
各班あっという間に完成させ、皆で協力して合体させていくと、スタジオの中心に大きな模型が出来上がりました。
そのあと、模型や空間のスケールを学ぶために、模型と同じ1/10スケールの人型を入れていきます。見学で自分の気に入った所や、開口部や外壁にまで(!)カラフルに塗られた人や動物が飾られ、模型が一気ににぎやかになりました。準備ができたら、いよいよ見学会の感想を発表です。
見学会で気に入った所を発表しよう!
模型を囲んで輪になり、見学会で感じたことを、お気に入りの場所のスケッチと合わせて伊東先生と太田先生に発表します。
「屋上に続く廊下の出窓の所が、2つのスペースが見渡せるので気に入った」「廊下のカーペットがフワフワで気持ち良かった」「リビングにあるデイベットが、光がたくさん入って人が集まりそう」など、注目したところや感じたことは子どもたち一人ひとり違っていて、「なるほど」と頷くような意見がたくさん出ていました。
「屋上のテラスの、木材を並べたような隙間のある屋根が面白かった」という子には、伊東先生も「家の中のような外のような、不思議な空間だったね」と、これからの設計のヒントとなるような感想をおっしゃっていました。
スケッチも、見学当日は描く時間が短く苦戦する子が多かったようですが、家に帰ってから色を塗ってきてくれた子もいて、自分の気に入った所を上手に表現できていたと思います。
最後に伊東先生からも、「二重螺旋の家」の“内と外が連なり、つながっていく楽しさ”や廊下に見られたような“機能にとらわられない空間の面白さ”といったお話しを聞かせて頂きました。
見学会を経て、今回の授業を終えた子どもたちが、建築に対する新しい視点をどんどん手に入れているのを感じました。
「二重螺旋の家」は、一連の居室の間にはっきりとした明暗があり、以前の窓に関する授業で学んだことを、実際に体感できる素敵な空間がたくさんあったと思います。
次週からは「自然のようないえ」の設計作業を再開しますが、今までの授業が子どもたちの中でどんな風につながっていくのか、期待が高まります。
東京大学大学院修士1年 向井天音