夏休み子ども建築ワークショップ「わくわくハウスをつくろう!」
7月30日、夏休み子ども建築ワークショップ「わくわくハウスをつくろう!」が今治市伊東豊雄建築ミュージアムのシルバーハットで行われました。Photo:Manami Takahashi
当日は快晴。今治市内の小学校に配られたチラシや、webを見て、小学4-6年生19名が集まってくれました。ミュージアムのある大三島や、今治市内の子どもが多く参加するなか、市外、県外から参加してくれた子どももいました。
講師の伊東豊雄先生、赤松佳珠子先生(この日のために7月28日から伊東建築塾講座Bの夏期合宿にも参加してくださいました!)、ミュージアムスタッフ・伊東豊雄建築設計事務所スタッフの皆さん、今治市職員の皆さん、そして広島大学から千代章一郎先生と学生TAの皆さん、広島工業大学の学生TAの皆さんも加わり、賑やかな雰囲気の中、ワークショップの始めに、みんなで自己紹介を行いました。
自己紹介が終わると、伊東先生、赤松先生からワークショップの趣旨説明が行われました。
「いえ」って何だろう?かっこいい「いえ」をつくるためには?
東京の子ども達がつくった「いえ」の模型写真を見ながら、みんなで想像を膨らませていきます。
この日ワークショップが行われたシルバーハットは、ミュージアムに移設される前は東京にあり、伊東先生の「いえ」でした。特徴的なヴォールト屋根の下には、中庭があり、部屋があり、そこには生活があったことを、伊東先生はお話しされました。子ども達は「へえ~」と感心しながら、自作の「いえ」を通した伊東先生のメッセージを受け取ったようでした。
さて、趣旨説明の後はいよいよ制作の時間です。まずは材料選びから始めました。
子ども達は、予め自宅に送られてきた段ボールに、それぞれ使いたい材料を入れて持ってくることになっていました。木片、ビー玉、お気に入りの包装紙、レゴブロック・・・それぞれの個性が光ります。さらに、当日準備された材料をみんなで分けながら、自由に選んで自分の材料に足していきました。
制作は4つのグループに分かれ、4つの大きな机の上で作業しました。
始めはみんな「いえ」の基本となる形や素材を模索していましたが、同じ机を囲むと、だんだん作業内容も似てくるようです。段ボールで大きな形をつくって窓を開けるグループ、庭や自然をつくるグループ、ディテールから組み立てて行くグループ、等々。
午前中1時間ほどの作業が終わると、お昼にはピクニックが開かれました。シルバーハットの中で、子ども達、TAやスタッフ、そして保護者の皆さんも一緒に、座ってお弁当を食べました。
食べ終わると、ミュージアムの中や周辺の探検が始まりました。作業に集中した疲れを発散するように、太陽をいっぱいに浴びながら走る子ども達の周りに、緑があって、風が吹いて、建築がある。周辺環境もワークショップの重要な要素であることが実感されました。
Photo:Manami Takahashi
午後は再びシルバーハットに集合し、制作も佳境に入りました。残された1時間余りの中で、子ども達の作業ペースはぐんぐん上がり、「いえ」の内部、外部、そこにいる自分や家族などが表現されていきました。
Photo:Manami Takahashi
お昼のピクニックの影響か、外に出て草花や小石を集め、材料に加える子どももいました。
大きな窓を一つ開けて、「これでは風が通らないね」ともう一つの窓を開ける子どももいました。
シルバーハットの中を気持ちよい瀬戸内海の風が通り抜け、日光の当たる絶好の場所で作業していた子どもは、まるでその気持ちよい周辺環境を投影するように鮮やかな庭を完成させました。
このワークショップの2日前に今治地域地場産業センターで行われたスペシャルトークイベント「音楽と建築」では、「建築の側から自然に近付いていくのではなく、自然が近付いてくる家をつくる」という伊東先生の締めくくりの言葉がありましたが、子ども達はそれを体得していたのか、この日の気候やシルバーハットを取り巻く環境が影響したのか、まさにその言葉が受け継がれたような作業光景でした。
さて、ワークショップの最後には、子ども達がグループごとに完成した「いえ」を発表しました。家族のための小さな「いえ」、動物と一緒に暮らす「いえ」、岩の中のひんやりした「いえ」、庭をゆったりと眺める「いえ」等々、力作ばかりです。伊東先生、赤松先生、子ども達、TAやスタッフの皆さんから積極的なコメントが飛び交い、一日でみんなが打ち解けたこともあって、賑やかな発表会となりました。
Photo:Manami Takahashi
発表会終了後は、全員で集合写真を撮って、解散しました。
子ども達は、制作した「いえ」の模型を持ち帰ることができます。夏休みの宿題にも、使えるかな?何より、一日の想い出を持ち帰って、今後より一層建築に触れることが好きになってもらえれば、ワークショップは大成功です。お疲れさまでした!
Photo:Manami Takahashi
東京大学生産技術研究所村松研究室
博士課程 田口純子