塾生限定講座 岐阜ツアー(2日目)
5月10日、岐阜ツアー2日目は「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の現場見学を行いました。この建物は、岐阜市中心市街地に位置する岐阜大学医学部跡地において事業展開している「つかさのまち夢プロジェクト」の第1期として、「知の拠点」の役割を担う図書館、「絆の拠点」の役割を担う市民活動交流センター、「文化の拠点」の役割を担う展示ギャラリー等からなる複合施設として設計・建設されています。昨年の夏に建設工事に着手し、現場では1、2階の躯体を確認できるまで工事が進んでいます。
現場に到着後、まずは伊東塾長、伊東建築設計事務所の庵原さん、矢吹さん、南さん、構造設計を担当しているArupの金田充弘さん、建設工事を担う戸田建設の方々から説明を受けました。
説明を受けた後、前日に完成したという木造格子屋根のモックアップを間近で見ることができました。この屋根は、薄い木材を層状に重ねて編むことで、ファブリックのように軽やかな架構をつくりだします。屋根架構にはグローブに対応した起状があり、格子に粗密のグラデーションをつくります。
力の分散を考えて木材をバランスよく配置すること、木材の膨張の対策、施工の工夫などを考え抜いてつくられており、設計・施工の方々の並々ならぬ努力を感じました。木材は岐阜県産のヒノキ材で、施設の完成後、しばらくはヒノキの香りを感じることができるそうです。
次に、施設内を見学しました。建物内部は、1階に市民活動交流センターと展示ギャラリーと本の蔵、2階に図書館があります。図書館では所蔵可能資料数が約90万冊、座席数が約910席が設けられるとのこと、その規模に驚きました。
続いて、図書館に置かれる本棚のモックアップを見ながら、家具デザイナーの藤江和子さんから説明を受けました。この本棚は、防火対策としてコンクリートでつくられており、筑波の研究所で実験を行い、耐火性能が検証されたそうです。この実験の映像を現場の方が携帯の動画として持っておられ、楽しそうに話をしてくださったことが印象的でした。
最後に、せせらぎの並木道を歩きました。このスペースは、様々なイベント会場として利用できる広場であり、先行してオープンした並木道では、それを祝うイベントが行われたそうです。この並木道に流れるせせらぎの水は、長良川の伏流水を汲み上げて流しており、その水温は一年を通して安定しているそうです。これを用いて、施設内の居住域だけを効率よく空調し、省エネルギーでかつ快適な環境としているとの話を聞きました。
今回の見学を終えて、設計・施工の方々の力、そして現場の力を感じることができました。「みんなの森 ぎふメディアコスモス」の完成が待ち遠しいです。
以上で1泊2日の岐阜ツアーは無事に終了となりました。この2日間、非常に貴重な時間を過ごすことができた、充実したツアーとなりました。
塾生 須永杏
(写真=中村 絵)