子ども建築塾 秋合宿(1日目)
みなさま、こんにちは。東京大学大学院修士2年の神谷彬大です。
今回は、9月14〜15日に瀬戸内海の大三島で行われた「子ども建築塾 秋合宿」についてレポートします。
9月14日、午前11時半。子どもたちと保護者のみなさんが広島県の福山駅に集合しました。本来ならば8月に「夏合宿」として行われる予定が、台風のため延期されてしまったこの合宿。心待ちにしていた子も多かったようで、東京からの長距離移動に疲れた様子もなく、元気な姿を見せてくれました。
大三島は、福山駅からバスで1時間ほどです。出発後しばらくして海峡を結ぶ橋に差し掛かると、穏やかな海に島や船がひしめく美しい風景が見えました。子どもたちも歓声を上げていましたが、私自身も瀬戸内海を渡るのははじめてで、とてもわくわくしてきました。
大三島に到着すると、まずは大山祇神社のお祭りを見学しました。鳥居の前でパフォーマンスをする獅子舞やおみこしのパワーに押されながら、神社の境内へと入ります。
「むこうに面白い木があるよ」という声に連れられ、みんなで神社を抜けて奥に進んでいくと、樹齢3000年ともいわれる大木がありました。「生樹の御門」と呼ばれ、一本の木がトンネルのようにうねっています。子どもたちは、東京では出会えない大三島の自然をたくさん見つけながら、神社の周辺を探検していきました。
さて、次は宿泊場所である「大三島ふるさと憩の家」に向かいます。ここは、廃校となった小学校を宿泊施設として再生したもので、映画のロケ地にもなったことがあります。
この小学校の運動場だった敷地に建てられたのが、伊東豊雄先生設計の「岩田健母と子のミュージアム」。中庭に点在する彫刻家・岩田健さんの作品を囲む建築です。
ふつうの美術館とは違って閉じた展示室はなく、あるのは環境に溶け込む半屋外空間だけ。建築によって周辺の風景が青空とともに美しく切り取られています。「延期して正解だったな」と誰もが思うほど天気も素晴らしく、彫刻と建築が一層映えていました。
大人であればその景色に感動して終わるところですが、さすがは子どもたち。庭の彫刻のまねをしたり、中庭の丸いベンチでじゃんけんゲームを始めたりと、その場にあるものをすべて遊び道具に変えて大盛り上がり。そのエネルギーに圧倒されてしまいました。
少し遊び疲れたところで、温浴施設「マーレ・グラッシア」で温泉に入ります。子どもたちはここでも元気いっぱいでしたが、大人はゆっくりと疲れを癒すことができました。
そろそろおなかも減ったので、宿に戻ってバーベキュー。子どもたちは肉を取り合っていたかと思えば、花火を見つけるやいなや花火大会にうつり、花火が終われば星空を見に行き…といそがしく走り回っていました。消灯時間の21時をまわっても「まくら投げするぞ!」と意気込んでいたものの…どうやら部屋に帰るとすぐ寝てしまったようです。
子どもたちのエネルギーと、塾生同士の仲の良さを改めて感じました。
1日目は大三島を全身で体感した子どもたち。もちろんメインは明日のワークショップですが、今日ここで走り回ったことも、後々まで子どもたちの心に印象深く残り続けることでしょう。
明日のワークショップでは、どんな作品が生まれるのでしょうか?とても楽しみです!