子ども建築塾 前期2回「模型をつくって考えよう!①」

2015年05月13日

みなさま、こんにちは。5月9日、恵比寿スタジオで行われた、前期2回目の授業の様子をお伝えします。前回のブログで予告があったとおり、今回の授業から練習模型をつくり始めました。
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練習模型って何だろう?
はじめに、伊東先生から練習模型(スタディ模型)と本番模型(本番模型)の違いや、つくる目的についてレクチャーしていただきました。子どもたちがスタジオに来たときからずっと気になっていた、テーブルに並べられたたくさんの模型は、2012年に完成した「陸前高田みんなの家」の練習模型と本番模型です。完成した建物とすごく似ているものもあれば、全く違う建物に見えるものもあり、子どもたちはひとつの建物のためにつくられた模型だと信じられない様子。とにかく興味津々でした。
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練習模型は、本番模型と違い、きれいにつくる必要はありません。自分が描いたスケッチや、頭の中のイメージが膨らむように、いろいろな素材を試して、たくさんつくってみることが大切です。「陸前高田みんなの家」は、伊東先生だけではなく、建築家の乾久美子さん、平田晃久さん、藤本壮介さんと協力し、一緒に考えながらつくりました。一人だけで考えるのではなく、友達と一緒に考え、TAや先生に相談しながらどんどん手を動かすと、良いものができるとアドバイスをいただきました。
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つくり始める、その前に!
では、つくり始めようか。とその前に、まずは準備運動が必要です。模型をつくるときに使う道具には、扱い方を間違えると危険な道具がいくつもあります。子ども建築塾では、特にカッターを使って、紙やスチレンボードを切ることが多いので、注意しなければ手を切ってしまいかねません。子どもに一対一でTAが付き添い、直線や曲線が印刷された厚紙をカッターで切る練習をします。けがすることなく切り終えたら、準備完了といったところでしょうか。
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練習模型をつくろう!
カッターの練習を終えたら、いよいよ練習模型をつくり始めます。まずは、宿題で描いてきてもらったスケッチをもとに、同じグループの子やTAと相談してイメージに合うような材料を選び、大きさ(縮尺等)を決めます。ただ、ここで大切なことは、スケッチにとらわれすぎないことです。本番模型であれば、自分が考えたことを他の人に伝えるために、詳細まできれいにつくります。ですが、練習模型は、そうではありません。自分がイメージしたものを模型にするとき、考え過ぎて手を止めるより、まずはつくり始めることが大切です。つくるうちに発見することもあれば、手に取った材料からイメージが突然膨らんでいくことがあるからです。
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スケッチに描いた「動物たちがくらすいえ」は、模型になるとその不思議さが改めて分かってくる気がしています。つくってみて初めて、「ここでご飯を食べたら気持ちが良さそうだ」とか、「ここで寝たらぐっすり眠れそうだ」と。模型に気づかされることがたくさんあるのではないでしょうか。大切なコツは、模型をのぞき込み、その中に自分がいる様子を想像しながら、つくっていくことです。
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先生に相談してみよう−エスキースを受けよう−
とてもよく集中して、どんどん模型づくりが進んでいくので、伊東先生もアスクリッド先生もみんなの話が聞きたくなった様子。予定にはありませんでしたが、Aグループから順番にまわり、練習模型のエスキースを始めました。自分の中ではっきりしていなかったことも、模型の説明のために言葉にすることで分かることもあります。先生からは、それを気づかせてくれる、助けてくれるような質問があり、もっと良くなるアドバイスをたくさんしてくださいました。
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まだまだ2回目の授業なので緊張している子もいますが、近くで先生と話すことで、どこか緊張もほぐれたような気がします。今回は時間が足りず、Bグループまでで終わってしまいましたが、来週もCグループからエスキースを再開する予定です。
最後に、伊東先生は「たとえば宙に浮いているようなものをつくりたかったとしても、必ず柱や吊るための構造とか、そういうものが必要になってくる。そこを考えることが建築で大切な部分だから。」と話し、アスクリッド先生からは「とにかく楽しみながらやってみて!いっぱい発見してみることが大切だよ。」とアドバイスをいただきました。

今年度前期のカリキュラムは、昨年度の前期カリキュラムから模型をつくる授業が1回増え、手を動かし、つくりながら考える時間が長くなりました。模型をつくることと、スケッチを描くことを反復しながら進めていくと良いと思いますが、次回の5月30日も模型をつくる授業です。今回の授業でつくった模型と先生からのアドバイスをもとに、子どもたちがお家でどんなことを考えたり、スケッチを描いたりしてくれるかとても楽しみです。では、また月末に会いましょう。

明治大学大学院修士1年 門間翔大