子ども建築塾 前期6回「動物と一緒にくらすいえを考えよう!」
みなさま、こんにちは。子ども建築塾TAの宍戸優太です。7月11日に恵比寿スタジオで行われた、前期第6回の授業の様子をお伝えします。
前回の授業がアストリッド先生が設計した建築の見学会だったため、スタジオでの授業は中間発表会以来です。子どもたちはスタジオに来るなり、見学の際に撮った写真を見せ合っていました。
今回の授業から「人も動物と一緒に住む」という新たなテーマが加わりました。中間発表まで、子どもたちがそれぞれ動物を決め、その動物たちの暮らしを考え、いえを設計してきました。今週からは今まで考えてきた動物たちのいえをベースに、「ここに人が住んだらどうなるんだろう?」と動物たちと人との新しい関係性を考え、「動物と人がくらすいえ」をつくることになります。
最初にアストリッド先生から、「今まで考えてきたいえを人が住めるようにただ改造するのではなく、その動物と人が一緒にいるからこそ考えれる、楽しいくらし方を反映したいえにしてほしい。動物の大きさは自分で想像し、変えても構いません」というアドバイスをいただきました。
授業はまず、今まで自分が考えてきた動物、そしていえに対して人がどれくらいの大きさになるのか、というところからスタートしました。ドラゴンのような超巨大生物から、ビーバーのような小さな動物まで、人によって様々です。それに対して人の大きさが決まり、「スケール」が出てくると、これまで考えてきたいえが、たちまち一つの「建築」になっていくでしょう。
「動物と人がくらすいえ」を考えるとき、最初の入り口になるのは「その動物と人の日常の共有」です。ワニと人はどうやって一緒にご飯を食べるのでしょう。立ったまま睡眠をとるフラミンゴと人はどうやって一緒に寝るのでしょう。僕たちが普段当たり前だと思っている日常動作に動物が登場すると、人にとっての当たり前が当たり前ではなくなります。それは子どもたちも一緒です。しかしながら、こういったことを考えることによって「動物と人との新しいくらし」が発見されるのです。
そしてもう一つ大切なことは、「動物と人の気持ちを考える」ということです。動物も人と同じように感情があります。大勢でわいわいしたいと思うときや、ちょっと一人になりたいと思う瞬間も動物にもあるでしょう。ただ図式的にご飯を食べる場所、寝る場所をつくるのではなく、「サルとどのように、どのくらい広い場所で、何が見えるところでご飯を食べるのが楽しいだろう」というふうに、より身体的に気持ちを理解することが大切です。そして、それぞれの場所が魅力的になってくると、それらをつなぐ部分もとても素敵な空間になるでしょう。
前期の発表会まで残りの授業も少なくなってきました。夏休み中は大三島の合宿や、スタジオ開放日が予定されています。それぞれの機会で色んなことを体験し、最後まで模型をのぞきながら、「動物と人がくらすいえ」を考えてほしいと思います。
横浜国立大学 理工学部 建築都市・環境系学科 建築EP4年 宍戸優太