子ども建築塾 後期第3回「敷地を選ぼう」

2012年11月30日

皆様、こんにちは。九州大学大学院 人間環境学府空間システム専攻 修士2年の陳内千弘です。今回、修士論文の研究調査のために上京していた際に、子ども建築塾後期第3回目の授業に見学として、参加させていただきました。

11月17日に行われた、まち探検『敷地を選ぼう』では、前半に敷地探し、後半は伊東先生の事務所の見学に行ってきました。

はじめに、敷地探しでは、後期授業第1回目のまち探検、第2回目の意見交換やレクチャーを踏まえて、これから子どもたちが「まちの建築」を提案する場所を探しに、再び渋谷のまちを探検しました。
まずは、集合場所に集まって、本日の授業の説明を聞きます。

その後に、自分が歩いた時の幅(歩幅)をはかります。歩幅をはかる事で、敷地の大きさを道具を使わずにはかる事が出来ます。

はかり終わったらいざ出発!!
しかし、お天気は、あいにくの雨模様。
それでも、雨の日だからこそ見えてくるまちへの気付きもあるかもしれません。いろいろな発見が出来る事を期待しながら、まち探検スタートです。

グループごとに分かれて、敷地探し

私は、「みんなの集まる場所」をテーマとしたCグループのみなさんと一緒に渋谷のまちを探検しました。はじめに、隠田神社までグループのみんなで行った後に、それぞれの行きたい場所へ、TAの学生と一緒に出かけていきます。

どうやらこの2人は、たくさんの人が利用しやすい場所を敷地に考えているようです。

途中雨がひどくなり、雨宿りをする事にしました。その間にも、つくりたい“まちの建築”がどんな場所にあったらいいか、どんな工夫があれば使いたいと思うかなどを、TAの学生と話しながら敷地のイメージを膨らませていきます。

雨が弱くなって来たので、再スタート。自分が考える敷地を目指して、どんどん進んで行きます。

進んでいく道には、小さな道がたくさんあるにも関わらず、『こっちかな?』といって探検を進める姿は、私達が課題に取り組む時と全く同じだと感じました。

敷地発見!敷地の情報を記録する

しばらく歩き続けていると、どうやら、気になる場所を発見したようです。ぐるぐると何回か周囲を歩いた後、敷地となる場所を決めました。
場所を決めたあとは敷地の情報を記録に残します。開始前にはかった歩幅で、敷地の大きさをはかります。

敷地の縦と横の大きさをはかり終えると、記録をメモに残します。

そして、周りの建物の使われ方や場所の様子を観察し終わり、敷地選びを無事に終えました。イメージしていた敷地を見つける事ができ、満足げな表情を見ることが出来ました。
グループの他のみんなと合流し、話を聞いてみると、どの子ども達も納得の行く場所を見付ける事ができたようで、こちらから質問すると、次々に考えている事を教えてくれました。
これから、この探検で見つけた場所に、みんなのアイデアがたくさんつまった“まちの建築”がどんな風に出来上がるのか、とても楽しみです。 

伊東事務所の見学に出発

そして、はじめの集合場所に戻った後は、いよいよ伊東事務所の見学です。ここでは、実際の建築ができるまでの進め方、はじめのアイデアが実際につくられる建物になるまでの道のりを見学します。
まずは、伊東事務所の中で、伊東先生とお客様が打ち合わせをする部屋に案内してもらいました。これから、どんなものを見たり聞いたりできるのか、子どもたちもTAの学生もドキドキしながら待ちます。

そして、いよいよ、伊東事務所のスタッフの岡野道子さんによる説明が始まりました。はじめに、この部屋に置いてあるものについて説明していただきました。

まずは、設計をはじめる時に作成するコンセプト模型(建築のイメージを形にしたもの)をいくつか見せていただきました。模型に、ストッキングなどの変わった素材が使われていて、説明を受けている私達は、興味津々。他にも、建築以外の作品を含め、伊東事務所で手掛けているたくさん作品の話を聞く事が出来ました。

次に、多くのスタッフさんが毎日働いている2・3階を案内していただきました。この日は、事務所がお休みだったので、スタッフさんはほとんどいらっしゃいませんでしたが、実際はここで働くスタッフさんが、図面を書いたり、模型をつくったり、資料を作ったりする事で、伊東事務所の多くの作品が生まれているのです。

実際のプレゼンテーションに使われる大きな模型を囲んで、説明を聞きます。

伊東事務所の岡野さんの説明の中で、周りの環境への配慮や工夫によって、ユニークなかたちをした作品が生まれているのだという印象を受けました。
建築をつくる時に考える事は、建築を使う人の思い、その土地の歴史や風土、周りの様子、そして風や光を建築の中に取り入れる方法など、驚く程たくさんの事を考えなければなりません。
難しい事ではありますが、岡野さんが模型を見せながら説明されているのを見ると、とても楽しそうに話されているように感じました。そして、聞いている私達もワクワクするようなアイデアが1つの建築の中にたくさん詰まっていることが分かりました。

伊東事務所の見学終了後、次回の宿題についての連絡があり、第3回目の授業は全て終わりました。

これから、“まち”と“建築”がどんなふうに繋がっていくのかを考えていく事になると思いますが、自分だけではなく、いろんな“人”や“もの”の気持ちになって建築を考えてみるといいのかなと感じました。また、今回の見学の中で、これから考えていく“まちの建築”について、条件やアイデアを新しく取り入れたり、TAのアドバイスに対しても、1つ1つ真剣に考えている姿を目にしました。これからの授業で、みなさんの進化していくアイデアが、最終的にどのような作品になるのか、今からとても楽しみです。