子ども建築塾 後期第7回「みんなのまちの本番模型をつくろう!」
こんにちは。1月13日は、子ども建築塾2017年度後期第7回の授業がありました。
中間発表を終えてから第5,6回の授業ではまち全体を「みんなのまち」として考えてきました。スタジオ開放日で集中的に模型づくりを進め、どのグループも「まち」らしい模型ができてきました。
この日の授業ポイントは、模型制作の中盤となるこの授業で、本当にこれで良いのか、先生の意見をしっかり聞いて軌道修正も含めて考えていくことでした。
そこで、授業の始めに全グループの敷地をつなげて、グループごとに進捗状況を先生や他の子どもへ発表する時間が取られました。
各グループのTAがざっくり説明を行った後、先生から子どもへ質問が投げかけられました。
最初に、Bグループから発表が始まりました。Bグループのテーマは、「音楽を聴く」です。子ども達はアーチでつながり、広場に音楽を広げていく提案をしました。シンボルタワーがあり、アーチが連続する道を通るとタワーが見えてくるなどの工夫があり、アーチでグループのみんなをつなぐという役割があります。もっと一緒にみんなで建築をつくれないかという提案が先生からありました。みんなのつくった空間をこのアーチでどうつないで1つのまちにしていくかがポイントになりそうです。
続いて、Aグループです。Aグループのテーマは「知らせる」です。映像インフォメーション、ハチミツを使った屋台、畑野菜レストラン、本棚の壁、日時計水源などが子ども達のアイデアとして挙げられました。Aグループはみんなのまちの入り口ですが、道で作品が右と左に分かれてしまっていることが指摘され、「模型が大きすぎないかな?もっと低く、小さく。スケールを考えて。」と先生方からアドバイスいただきました。
Cグループのテーマは「つくる」です。花のブーケのかたちをした建物で楽しさを伝え、他にもカフェ、レストラン、野菜をつくる畑などがあります。伊東先生からは「道に対して建築はどこにある?」との質問が投げかけられ、ブーケはどの方向に向いているのがきれいなのか、カフェとの融合は考えられないかなどをもう1回敷地や自分の建築の周囲のことについて考えるきっかけとなりました。
Dグループのテーマは、「本を読む」です。どのような空間で本を読んだら良いかや本棚がどうあればいいのかを考え、路地のような空間や自然とふれあいながら本が読める空間を提案しました。小さい四角の本棚をいくつも重ねてどのように使えるかかたちで遊んだり、既存の古民家を生かしたカフェをつくっています。どうすれば道から奥に引き込むことができるかということを重視したり、水が上から流れてきていることも意識してほしいと柴田先生からお話がありました。Dグループのエリアに入るところにある本のアーケードは、道や周りの建物の方向とバッティングしないようにつくっていくことが大切です。
最後に、Eグループは「休む、くつろぐ」がテーマです。
子ども達がつくった建物は有機的なものという共通点が見られ、ここで何をしよう、と考えて建築をつくっています。小さいお店が並ぶ商店街や、寝転べる空間がありました。先生からは、「“する”から建築を組み立てていくのはとても良い考え方。“する”ことの楽しさを伝えていってほしい」とお話がありました。水の音を聞きながら、行きたいと思える場所がつくれるともっと良くなりますね。
今回伊東先生からどのグループにも指摘があったのは、模型の“スケール”についてでした。今回は1/30で模型をつくっているはずが、みんな自分の作品に集中しすぎるあまり、すごく大きく表現してしまっていました。お互いの作品や、まち全体を見渡すためにも、スケールを守ることは大切なことだと教えていただきました。
また、アストリッド先生からみんなへ、「ここで住みたいなあ、楽しそうだなあ、と思えるまちをつくること」と約束事が設けられました。また、「今までつくってきた案の方向性は違うからこのみんなのまちに必要ない、せっかくつくってきたのに、と思ったとしてもこれまではムダじゃない。“必要ない”ということは、1回つくって考えた結果、分かってきたこと」と、考えるためにつくるんだということを教えてくださいました。
発表では、模型と実際の敷地のイメージがずれていることが分かり、発表後に再度敷地を見学しに行きました。
スタジオに戻ってから、発表で先生に指摘されたこと、実際の敷地を見直して模型とのずれを修正することを意識しながら模型づくりをしました。
これまでは、個々でみんなそれぞれの建築を考えてきたことが多かった子ども建築塾ですが、今回は「みんなのまち」をみんなでつくっていきます。その意識を子ども達みんながしっかり持って、お互い関わりながらつくっていくことが大切だと感じました。
授業で模型づくりができるのは次回までなので、今日の授業で先生のエスキスを受け、意見交換をして、もう1回自分の建築やグループの建築について全体を見渡して考え直す良い機会になったと思います。1つのエリアをみんなでつくるんだ、という意識を全員が持って、他のグループとのつながりや共通点を見つけることができ、他のグループにつながるアイデアが出てくると、みんなでつくるまちがさらに魅力的になりそうです。
香川大学 工学部安全システム建設工学科 村井颯希