子ども建築塾 後期1回「〜とともに」って何だろう?

2014年11月18日

みなさま、こんにちは。東京大学大学院修士2年の神谷彬大です。

11月2日、子ども建築塾2014年度後期の授業がはじまりました。
前期「いえ」の作品は、10月12~13日に「恵比寿文化祭2014」でも展示され、たくさんの人に見ていただきました。それぞれうまくいったことや課題を頭の片隅に置いて、後期は「まち」の授業に取り組みます。

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教室にやってきた子どもたちは、半年前の緊張した様子とは違い、みんな次の課題を心待ちにしているようでした。くじびきで各グループのテーマを決め、いよいよ後期の授業がスタートです。今期のテーマは「植物」「生き物」「まちなみ・建物」「人」「水」。どれも確かにまちの中で見られるものです。これら「とともに」ある建築を「まち」の中で考えるのが、後期の課題です。

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後期から登場するのは、逆立ち博士こと建築史家の村松伸先生。世界中のまちで、研究をしながら逆立ちをし、逆立ちをしながら研究をしています。

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まず村松先生は、子どもたちが夏休みに撮ってきた写真を見ながら後期の課題について説明してくださいました。写真を見ていると、まちには色々なものがあり、それらが「ともに」関係していることがわかります。そして、まちの中で「ともに」あるものや人同士を仲良くさせる「仲介役」になることが、子ども建築塾の塾生を含めた「建築家」の役割なのです。

つまり今回の課題は、“自分のグループのテーマ”と“まちにある何か”を仲良くさせるための建築を工夫して考える、と解釈できます。しかし、例えば「生き物」にもいろいろあるし、まちの何を、どういう建築をつくって仲良くさせるのか、考える要素がたくさんあります。

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もう少し具体的に考えるために、今度はスタッフの川副さんから、今期の敷地である千駄ヶ谷のまちについて教えてもらいます。まちのことをよく知るためには、そのまちの歴史を振り返ることが必要です。
昔の千駄ヶ谷は、いくつかのお寺や神社を中心に原っぱや田畑が広がるばかりの場所でした。千駄ヶ谷という名前の由来も「たくさん(=千駄)の茅(カヤ)がとれる」ということから来ているといいます。しかし、戦争やオリンピックのような大きな出来事をきっかけに、どんどんとまちは変わってきました。以前は川の流れや地形を上手く考えて暮らしていたものが、今では川は埋め立てられ、地形のこともあまり気にせず暮らすようになりました。このような現代では忘れられていることに気づくと、そこから新しい発想が生まれることがあります。

IMG_6431さて、なんとなく課題の趣旨やまちの歴史がわかったところで、それぞれ最初のアイデアをスケッチしてみることにしました。複雑な課題をその場ですぐに考えるのは難しそうでしたが、授業の終わりにはみんな「何と何を仲良くさせるか」について面白そうなアイデアを発表することができました。
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教室の中での発想も十分豊かな子どもたちですが、実際にまちに出てみると、思っていたようなものにあまり出会えなかったり、あるいはもっと面白いものが見つかったりするはずです!例えば「植物」の「記憶/におい/音/かたち/動き」というように、五感を使って観察しなければわからないことに目を向けることで、仲良くさせたい相手との思わぬ共通点が発見できるかもしれません。なかなかアイデアが思いつかないときは、村松博士のように逆立ちをして、違った角度からまちを見てみると、新しい発見があるかも……。次回のまち歩きが楽しみです。