子ども建築塾 後期第2回「どんなまちなみにするか、話し合おう!」

2017年11月22日

こんにちは。寒さがだいぶ目立つようになってきたこの頃。
子ども建築塾後期2回目の授業が行われた11月4日は、太陽の日差しが暖かく、過ごしやすい気候でした。そんなポカポカ日和の中での授業について、みなさまにお伝えしたいと思います。

この日は、敷地調査でどんな発見があったかをグループごとに情報交換する、グループディスカッションをメインに行いました。各グループのテーマに沿って、どのような空間で実現できそうか、どんな雰囲気だったかを付箋に描き出すというものです。前回の授業はあいにくの雨だったため、今回も授業の始めにもう一度グループごとに敷地調査をしました。元気よく坂をかけ登る子、一つの場所をじっくりと見ている子、しゃがみこんで独自の視点で見ている子。子どもたち一人ひとり付箋を手に、TAとコミュニケーションを取りながら一生懸命に観察をしていました。今回は、以前雨でじっくり見ることのできなかった場所にも注目することができて、とても充実していたように思います。

スタジオに戻ってきた子どもたちは、私たちTAに自分のイチオシの発見や提案を教えてくれました。

私のグループでは、「つくる」エリアにちなんで「音楽を聴きながらごはんを食べたい」「坂を生かして水を流してみたり、みんなで流しそうめんをしたい」「田んぼで採れたお米でおにぎりをつくって食べる」「椅子やテーブルなどの家具を作る」など多くの提案が出ました。

他にも、坂が急なこと、桜が目立っているなどの発見も聞くことができました。

それぞれの意見を共有したあとは、いよいよ具体化していきます。スケッチブックを開いて描きこんだり、簡単なスタディ模型をつくったりと、かたちに表してみることにします。

しかし、いざ建築にしようとするのはとても難しいものです。なかなか手が動かない、思いつかない様子の子どもたち。そこで私たちTAは、「ストーリーをつくってみよう」というアドバイスをしました。まずこの敷地に入ったら何をするのか、その先はどうしたいか、自分なりに過ごし方を想像してみるというものです。より具体的に風景を思い浮かべることで、必要な機能やかたちが決まっていきます。特に、今回の敷地ではエリアごとにアクティビティが異なり、敷地の地形と関係性を持ちつつ、機能性も考えなくてはならない難しい課題です。自分のグループの敷地範囲のみを考えるだけでなく、他のグループが何をするのか、どのような空間にするのかにも気にかける必要があります。

みんなでモノをつくり、他のエリアに提供する、というストーリーをつかんだ子どもたちはすらすらとスケッチブックに描き始めました。

また、どんな「モノ」をつくったら良いのか、他のグループの子どもたちに質問する子もいました。椅子やテーブルのほかに、人間関係をつくるというおもしろい意見もあり、私の想像の上をいく意見に脱帽しました。

新しいグループになってから2回目の授業でしたが、みんなで共有した意見や発見を参考に、TAと会話を弾ませながら作業を進めていき、スタジオがにぎやかになるのを感じました。

授業の最後に、伊東先生からは、「この敷地ならではの‘‘坂’’を大事にしてほしい。新しいものをつくろうとするだけでなく、周りの建物を生かしてみてもいいよ」とアドバイスをいただきました。

アストリッド先生は、「ここに住んでいる人々はあまりコミュニケーションを取っていなさそうですね」とお話しされました。みんなが来てくれるよう、にぎやかな空間にすると楽しいのではないかと思います。

そして、桜の木がメインではないことも重要なポイントです。「『桜を見せる建築』ではなく、『桜より目立つ・桜に負けない建築』をつくってね」とアストリッド先生はおっしゃっていました。
TAの私も、桜の存在に引っ張られて機能を考えてしまっていた部分があったので、この言葉にはハッとさせられました。

今回の授業は、情報収集から始まり、大まかなアイデアを出す作業でしたが、次回はさらに具体的なかたちにしていきます。授業に向けてアイデアスケッチが宿題として出されているので、子どもたち一人ひとりがどのような案を考えてくれるのかとても楽しみです。

授業前に、みんなで撮影した点景用写真がどんな仕上がりになったのかにも注目です!

日本女子大学 野口鞠奈