第一回建築家養成講座

2011年05月24日

ついに伊東塾1回目の建築家養成講座が行われました。
今回は伊東事務所から古林さんがおこしになられ、釜石市についてのレクチャーを行いました。古林さんが実際に現地に行かれたときの話もしてくださったのですが、一つ興味深い写真と共に興味深い話をしてくださいました。
湾のすぐ近くに7階建ての幅広いマンションが2棟ならんで建っていたそうです。2棟は海を正面に、列になってならんでいました。そこは当然津波の来た場所なのですが、基礎がしっかりしていたのか、建物自体はほとんど無傷でそこに残っていたのですが、壁面の色合いの違いによって津波が何層まで到達したかが写真でも明らかにわかります。しかし色合いの差は、2つの棟によって歴然と異なります。手前の湾側の建物は5層くらいまで波が到達しており、ほんとうに10m近い波がきたことを物語っていますが、後ろの建物は2層〜3層の部分より上は変色しておりません。マンションに外接したベランダの手すりパネルが、それを証明するかのように、波が訪れた高さまでは、はがれ落ちていました。
古林さん曰く手前の建物が後ろの建物の堤防となり、津波の威力が軽減したとのことです。たった一つの建物に遮られるだけで、そこまで脅威が変化するというのは、津波の恐怖心を煽られ続けてきただけに少し意外な気もしました。
津波が想像を絶するほどの脅威であることは事実ですが、自然災害において絶対不動の障害物があることの重要性を再確認したような気がします。しかし、だからといって15m近い防波堤で海と陸を分断することしか方法はないのかというと、それも違う気がします。
東京大学の石川幹子さんが「津波よけ千年松山」という面白いプロジェクトを行っています。瓦礫の中から最新機器を用いて土だけを分離し抜き取って、それを用いて川縁に松林の生えた小高い丘を大量につくっていくというものです。これにより津波の威力は軽減され、かつ景観を破壊せずに(変貌はさせるが)新たな防波堤のシステムを構築できるということです。
このように街を津波から守ることと、都市形態を考慮することが、同時に平行線上で行われる必要があるのだと思わされます。

これから釜石を対象にプロジェクトを進めて行きますがみなさまよろしくお願いいたします。