子ども建築塾 後期第3回「みんなのアイデアを模型で表現してみよう!」

2018年01月12日

こんにちは。昨年11月18日に行われた子ども建築塾後期第3回の授業の様子をお伝えします。

すっかり木々も紅葉して、秋めいたのも束の間、少し肌寒い季節になりました。当日はあいにくの雨模様。なんだか、子ども建築塾の授業の日は雨の確率が多いような気がします。今回の授業は、「みんなのアイデアを模型で表現してみよう!」。前回までは、敷地調査に行ったり、敷地調査から分かったことをグループで話しあったりしてきましたが、今回からは実際に手を動かして模型をつくることを始めます。

授業のはじめに、宿題で描いてきたスケッチを用いてグループのみんなにアイデアを発表しました。文章で書いてくる子もいれば、平面図や立面図など、図面を描いてくる子も。建築のインテリアにたくさんアイデアを考えてくる子もいれば、まち全体にわたる大きなアイデアを考えてくる子もいました。

同じ敷地にそれぞれが「いえ」を計画した前期の「いえ」の授業と違うのは、後期の授業はみんなで一つの「まち」をつくること。それぞれ持ち寄ったアイデアをよく聞いて、どういう風に自分のアイデアとつながっているのか、どうやったらまち全体がよくなるのかを考えることが重要です。例えば、全員がレストランやカフェをつくっても面白くないし、全員が独りよがりなかたちの建築をつくっても面白くないですよね。

「知らせる」をテーマにした、私たちのグループは、欠席の子が多かったのですが、宿題で描いてくれたスケッチをヒントにどんなことを考えたのかを探り、TAも総出で練習模型をつくってみることにしました。敷地調査で見つけた、坂によって高さが変わる空間に面白さを発見したアイデアや、周りのグループの要素を集めた小さな商店街のアイデア、道の入り口であることを示すような門をつくるアイデアなどがありましたが、どんどん模型にしていくうちに「知らせる」ためには「なんだか気になる」というデザインが必要だという発見が!見えたり、見えなかったりする空間には、人を寄せ付ける効果がありそうです。

他のグループには、「本を読む」というテーマがありました。同じ「本を読む」でも、一人で読むのか、みんなで読むのか、狭いところか、広いところか、という違いがあることに着目して、どんな建築がこのまちに合っているのかを話し合っていました。このグループには、既存の「古民家」と「桜の木」を残すという難しい条件もありますが、古民家の中をリノベーションするようなアイデアも出てきたり、古民家の周りに路地を通してみたり、どんどん模型が立ち上がっていて、楽しいまちになりそうな予感がします。

その他にも、隣りのグループの桜の木に呼応するように道の先にアイストップになるような大きな建築をつくるアイデアや、他の子の計画している建築の隙間を縫うようにトンネルがつないでいくアイデアがあったりと、話し合いのなかで仲間のアイデアをよく聞いて、感化されたり寄り添ったりする姿が見られました。

子ども建築塾に通い始めて半年経ったこともあってか、みんな早く打ち解けて、たくさんの議論が生まれ、とてもにぎやかな授業になりました。練習模型をつくるスピードも早くなり、どんどんアイデアが目に見えるかたちになっていきました。

授業の終わりには、太田先生から二つの忘れないでほしいことをアドバイスいただきました。一つ目は「斜面にあること」。つくった模型を敷地に載せてみると、斜めに倒れてしまうような模型もまだまだたくさんありました。坂という地形を活かして、楽しい建築をつくりたいですね。そして、二つ目は「道があるということ」。今はグループごとに敷地模型を切り分けて作業していますが、みんなが考えている建築は、他のグループの建築とも道でつながっています。グループの中だけで考えるのではなく、積極的に他のグループのアイデアをのぞきに行ったり、話し合ったりする必要がありそうです。太田先生は「昔のまちは、まち並みが揃っていたりするでしょう?まちにはリズムがあって、そういうことを考えることも大事」とおっしゃっていました。この二つは、後期の授業を通して重要なテーマになりそうです。

次回は、早速中間発表です!前期以上に、他の人の発表に耳を傾けることが大事です。私は、昨年の「まち」の授業で伊東先生がおっしゃった「まちづくりはオーケストラ」という言葉を大切にしているのですが、子どもたちにもそうしたことを伝えていきたいと思いました。

早稲田大学4年 江頭 樹