こどもけんちく研究会/大橋香奈さん・大橋裕太郎さんによるレクチャー

2013年02月19日

皆様こんにちは。東京大学 村松研究室の向井です。

2月9日のこどもけんちく研究会(通称、かえる研)は、今年度の研究会開始以来、初めてゲスト講師をお招きしての開催となりました。

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レクチャーに来て下さったのは、フィンランドで教育活動の調査・研究を行ってこられた、「ユタカナ」の大橋香奈さん・大橋裕太郎さんです。
おふたりの数ある活動の中で、今回はフィンランドの子どもと若者のための建築学校「Arkki」と協働して行ったプロジェクトの紹介をしてくださいました。

Arkkiとは?

Arkkiとはフィンランド初の子どものための建築学校で、1993年にピヒラ・メスカネンさんを含む3人のメンバーで創設されました。

フィンランドでは1970年代に基礎教育の9年制が開始され、それに伴い削減された芸術教育を補完する形でアートスクールが多数設立されました。また、小学校の授業が午後の早い時間帯に終わりになるなど、日本の小学校よりも下校時間が早いので、こういった塾形式のスクールを利用する子は多いのだそうです。

建築について学ぶ場であるArkkiですが、その目的は建築家の育成ではなく、建築を通して「まち」や「社会」とのかかわりを学ぶことにあります。

子ども建築塾でも、塾生とTAは敷地選びの段階から渋谷のまちを歩き回り、周辺の環境や、人が集まりやすいかなどを一緒に考えて設計しています。まちにおける建築の役割を重視しながら学んでいくという点で、Arkkiの教育理念には共通する部分が多いと感じました。

フィンランドの教育活動について調査を行っていたユタカナのおふたりは、Arkkiのインタビューを行った際にその活動に触れ、是非一緒にプロジェクトをしたい、と始めたのが「C my city!」プロジェクトだったそうです。

C my city!プロジェクトでなにをするの?

Arkkiに通う子どもたちの中で有志を募り、まちの中の自分にとって大切な場所、お気に入りの場所などを、写真や映像に取り、インターネット上の地図にマッピングしていくことで、皆で共有します。拝見させていただいた地図には、人形を使ってまちをナビゲートする映像や、駅の喧騒を録音したもの、写真に解説をつけたものなどをリンクしたピンがちりばめられていました。

参加者の年齢が7歳から20歳までと幅広く、お互いに影響を与え合いながら、ひとりひとり自分に合ったプレゼンテーション方法を見つけていくのだそうです。

子ども建築塾では、20歳代前半のスタッフがTAとしてアシストしながら作品を作っていますが、同じ制作側として課題に取り組むと、子ども達の感じ方、学び方も変わってくるのだろうなあと、想像の膨らむレクチャーでした。

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Arkkiのワークショップを体験!

最後に、Arkkiに入学したての子どもたちが行う「Sweet Architecture」というワークショップの体験をしました。用意していただいたグミとマシュマロを竹串とつま楊枝で繋げ、建物を作ります。今回のお題は「東京スカイツリーの跡地(!)に建つ、もうひとつのスカイツリー」!

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プスプスと竹串を刺して形を作るのは簡単ですが、やたらめったらと繋げても建たなくなってしまいます。かえる研の皆も童心に返り、ときどき材料を食べながら白熱した作業を続けました。

完成後はそれぞれのタイトルとコンセプトの発表会を行いました。簡単な素材ながら、出来上がりは様々で、タワー型や分棟型、さらには宇宙との交信施設を持つものまで!

遊びの様でありながら、自然と構造のことも考えさせられ、終わった後にはお腹も満たされる。子ども建築塾の塾生達にもぜひ体験させてあげたい、楽しく学べるワークショップでした。

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「ユタカナ」ウェブサイト http://yutakana.org/

「C my city!」ウェブサイト http://www.cmycity.net/

大橋香奈さん・大橋裕太郎さんの著書
『フィンランドで見つけた「学びのデザイン」』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4845911701/asapon-22/ref=nosim/