GAKU「自分の興味をカタチにする」第1回授業

2020年09月18日

皆さん、こんにちは。

9月6日(日)、渋谷PARCOに新設されたGAKUにて、伊東建築塾が担当するクラスの第1回目授業を行いました。

GAKUは今年開校した10代のためのクリエイティブ教育の学び舎です。

伊東建築塾は家具デザイナーの藤森泰司さんを講師にお迎えし、「自分の興味をカタチにする」と題した家具デザインクラスを担当します。

このクラスは、自由に家具を考えながら、最終的には「実物の家具」に仕上げることが目標です!
子ども建築塾では模型やスケッチで建築を表現することが基本となっているため、「実物」を制作できる機会は少なく、自分がデザインしたものが実寸大のかたちとなり、他の人に使ってもらうことはとても貴重な経験かつ新たな試みとなります。
新しい場所で新しいメンバーとの授業、みんな少し緊張しながら授業が始まりました。

初回の今回は、GAKUの教室にてレクチャーをしたあと、移動して家具見学会を行いました。生徒、TA、講師、スタッフ全員簡単に自己紹介をして早速レクチャーに移りました。

レクチャー

最初のレクチャーでは藤森先生が尊敬する、アッキレ・カスティリオーニ氏の作品を見せていただきながら、その家具がどのように使われるのかをクイズ形式で進めていきました。

写真の家具、どのような場所で使われるものかわかりますか?
(寝転がっているお茶目な方はカスティリオーニ氏ご本人です)

正解は、屋外で使用するガーデンチェアです

クモのように伸びた脚が特徴的なこの家具は、庭の草の上で使用しても影ができにくく、植物の成長を邪魔しません。また緑の色も景色に溶け込み、座っているとまるで空中に浮いているようにも見えます。家具の名前はイタリアの造語のようなもので、Allunaggio(アルナッジョ)=月面着陸という意味合いがあり、製作当時1965年の時代流行なども含まれたデザインとなっています。

他にも数点作品をご紹介いただきましたが、一見しただけでは特徴的なかたちが生まれた意図を捉えるのはとても難しく、美しいデザインの裏にはデザイナーの考えや理由があることを学ぶことができました!

子ども建築塾の卒業生が多い生徒のみんなですが、建築よりもよりコンセプチュアルな作品が多い印象の家具デザイン。建築とはまた違う思考回路を必要としそうです!

続いて、宿題にもなっている「写真集め」にちなんだレクチャーを行いました。

日常の中で何気なくやってしまう行動や行為、「あるある!」「これ、よくやっちゃう!」という、無意識すぎて見落としてしまう風景の写真をたくさんご紹介いただきました。日常には多くの発見や、面白いものが実は存在していて、それに気づく能力がデザイナーには大切です。

生徒たちには宿題として、次回授業までに最低10枚の写真を集め、その注目したところや面白いと思ったポイントをメモしてくることが発表されました!

藤森先生のレクチャー後はいよいよ家具見学です!今回向かうのは、「Knollショールーム」と「インターオフィスショールーム」です。渋谷PARCOを後にして、地下鉄でショールーム最寄りの青山一丁目駅まで移動します。

 

家具見学

まずは「Knollショールーム」から見学させていただきました。Knoll(ノル)は、世界的に知られている20世紀モダンデザインを体現する家具メーカーです。ショールームには、ミース・ファン・デル・ローエやエーロ・サーリネン、ハリー・ベルトイアなど、20世紀デザインに多大な影響を与えた建築家やデザイナーの作品が展示されています。

本物の名作家具を体験できるだけでも良い経験ですが、なんとKnoll Japanの副社長でインターオフィスの社長である寺田尚樹氏直々に各ショールームを案内していただきました!

それぞれのショールームに置かれた家具について、成り立ちや素材など実際に触れながら、細かく説明していただきました!

藤森先生のレクチャーでも紹介された、アッキレ・カスティリオーニ氏のフロアランプもショールームにあり、クイズの出題となった大きさやデザインを身をもって学ぶことができました。

さらに自由体験時間を満喫し、まだまだ時間がほしいところでインターオフィスショールームに移動しました。

インターオフィスは世界中の優れたデザインの家具の輸入販売を主軸に、オフィスやパブリックスペース、教育施設、個人邸宅などの設計、インテリアデザインなど、空間に関わる様々なセグメントをトータルに提案し、事業展開している会社です。
ショールームは実際のオフィスをそのまま見学できるようになっています。

時期によってレイアウトや家具が変更されており、今は「新生活様式」に合わせた展示となっていました。

こちらでも寺田さんが一つ一つ丁寧にご説明してくださいました!
コロナによって「仕事」に関する捉え方は激変したように感じます。これからの時代に合わせた家具や働き方について、場所を変えながら・体験しながら教えていただきました!

実際にオフィスで働いたことのない子どもたちですが、わかりやすいご説明のおかげで、イメージが描きやすかったのではないでしょうか。

こちらでも自由見学時間をいただき、最後に「おすすめ家具発表」に進みました。

昇降式の机をおすすめにあげた子は、「普通のオフィスは白くて窓があって、机がきれいに並んでいるイメージ。この机は木だけど、普通の木ではなく優しい感じのする素材で、オフィスではあまり見かけない。1人で集中したいときにも使える。けど机も広く、座っていても上部は視界が抜けていて1人だけど1人じゃない感じがするのが好きなところ」と発表しました。

寺田さんからは、「オフィスに来るのは1人で集中するために来るわけではなく、誰かとコミュニケーションを取るために来る。1人の気持ちなんだけど、ちゃんと誰かとつながっているのが大事」とコメントをいただきました。

他にも収納家具をおすすめにした子は、「通常の収納家具だったら物が増えると汚く見えてしまうのに、この家具は物が増えた方がおしゃれに見える」という意見や、家具のシルエット(衝突防止サイン)がついた黄色いガラスパーティションを紹介してくれる子など、子どもたち一人一人がおすすめの家具やポイントを発表しました。

急に話を振られても臆することなく答えることのできる子どもたちにも驚きましたが、子どもたちの着目点を肯定していただきながら、デザインの意図をしっかりお答えいただいた寺田さんのコメントもとても素晴らしかったです。

たくさん良い経験をさせていただいた上、最後にはカタログやポストカード、スケッチブックまで嬉しいお土産をいただいて見学会は終了となりました。

とても濃い内容でたくさんインプットしなくてはならない初回でしたが、頭だけではなく身体で学ぶこともできたのではないでしょうか。

次回は宿題となっている「写真集め」をみんなで共有し、写真の分類分けを行います。溜めた情報を整理し、自分の興味を掘り下げていく作業です。

どんな写真が集まるのか、次回も楽しみにしています!