[福岡]2024年度 伊東子ども建築塾 第2回授業

2024年05月21日

4月20日(土)に行われた伊東子ども建築塾 福岡第2回の様子お届けします。

今回の授業では、前回出題された『風を感じてみる、風を調べてみる』という宿題を元に、グル ープに分かれて話し合いと発表を行いました。

この日の福岡は雨模様。交通機関の乱れから、スタートがばらばらになったものの、グループ毎にまずは自己紹介、そして宿題で考えてきた風について、それぞれが伝えあうことからはじまりました。

「どうやって風を感じた?」
「どんな風があった?」
「それはどういうことだと思う?」

TAや講師の先生方からの問いかけに、はじめはやや硬い表情だった子どもたちも少しずつ、思っていることを話してくれるようになりました。漠然としたイメージも具体的な言葉になっていき、TAは付箋にどんどん書き込んでいきます。

【優しい風】【桜の花びらが散る風】【凧あげをしてみた】【強い海風】【風に色がある】【風の色 には温かい色と冷たい色がある】【雨と一緒に飛んでくる風】【シャボン玉を飛ばす風】など、各グループでたくさんの風が出ました。最後はどのグループも模造紙が付箋でいっぱいになっていま した。

意見で出た風を種類ごとにグルーピングし、各グループでどんな風が出たか発表です。発表の順番はじゃんけんで決めます。
(*「」書き部分は、発表者の子どもたちのコメントです)

1番目はCグループ。
風の種類は、【音】【動いて感じること】【におい】【風遊び】【現象】【色】【機械的な風(風車な ど)】【風の種類(台風、海風、砂埃など)】【物(風鈴、うちわ、気球など)】の9つに分けられました。

「面白いと思ったのは【色】。暑いときはオレンジ、寒いときは⻘だと思う」「風の【におい】についても意見がたくさん出て、嫌なにおい、良いにおい、おいしいにおいなどがあった」

風に色があるというのが面白い視点でした。確かに風を絵で描こうと思うとそんな色になるかもしれません。 凧揚げやフリスビー、シャボン玉は、風や空気を利用した自然で身近な遊び方ですね。 他にも嫌なにおい、良いにおい、おいしいにおいなどを感じる、ということで、子どもたちは風のにおい(嗅覚)を通じて自然の中で起こる様々な出来事を感じ取っているようでした。

2番目はBグループ。
風の種類は、【感情的な風】【人工的な風】【人工的でも自然でも起こる風】【自然な風】【その他の風】の5つに分けられました。

「【感情的な風】は、嫌な風。災害が起きる前触れのような風のこと」「気持ちいいときの風は、暑いときに感じる冷たい風とか、寒いときに感じる暖かい風」 「【人工の風】は、人間の呼吸や循環させている風」「【自然の風】は、映画の最後に流れてくる走馬灯のような場面を風で感じることや、横なぐり の雨のように雨と一緒に吹く風」「【人工的でも自然でも起こる風】は、物にあたって風向きが変わったりする風。例えば、砂丘で風によってつくられる波紋のような模様で感じられる風など」「【その他の風】は、宗教的な風」 (これは後で聞いてみると、「モーゼの海割りのように、目に見えない大きな力のようなこと」 とのことでした。)

まず興味深いのは【感情的な風】という考え方です。風が人々の感情や状況を反映するような役割を果たしていると考えるのはとても創造的な視点だと思いました。また、自然の風が映画のシ ーンや雨と一緒に吹く風など、風景や状況とも密接に結びついていると捉えている点も面白いです。 そして最後の【宗教的な風】。風が神秘的な力や存在を象徴するという考え方は、自然の中に潜 む不思議なエネルギーや存在を感じ取っており、風が持つ深い意味や影響力を捉えようとしているように思えます。

3番目はEグループ。
風の種類は、【風の感覚】【詩的(な風)】【風が運ぶもの】【風の方向】【風の音】【風の名前】【生き物の風】の8つに分けられました。

「特に面白いと思ったのは、【浮く空気、重さ】で、人が風船に息を吹き込むと沈むけれど、ガスを入れると浮くところ」「【生き物の風】というのは、例えば魚は海の中にずっといるけれど、2年間くらい息をしないで生きられる魚もいること」「【風の方向】は、例えばサウナだと上に行くほど風が温かくなること」「【風が運ぶもの】は、きれいな風や埃を運ぶ汚い風があること」「一番面白いと思ったのは、【風が吹けば桶屋が儲かる】、ということわざ」

風の浮力や重さを風船の例えを通して理解しており、生き物の風や風が運ぶものに関する考え方も、自然界の中で風が果たす役割を深く理解しようとしているようでした。 【風が吹けば桶屋が儲かる】ということわざを取り上げた点も面白く、子どもたちは日常生活で聞く言葉を風のコンセプトに結び付け、その意味や影響を考えているようです。これは風が人々の生活や文化にどのように影響を与えるかを理解する上で大切な視点だと思いました。

4番目はDグループ。
風の種類は、【におい】【演出】【強弱】【温度・湿度】【機械系】【色】の6つに分けられました。

「【におい】は、自然のにおいで秋の葉っぱのにおいなどのこと」「【演出】は、例えばキャラクターの変身の時に感じる風のようなもの」「【強弱】は、強いときは台風、弱い風は風鈴とか、心地よく感じる風もある」「【温度・湿度】は、渓谷の冷たい風や火山が噴火したときの岩が飛んでくるときの風を考えた」「【機械系】というのは、例えば温泉にある扇風機の風」「最後は【色】。風には赤や⻘があるけれど、風にはまだわからない色があるとも思う。透明と もちがう」「【湿度】と【におい】は関連しているものもある。湿度・温度・においはほとんどの風に関係している」

「分類してみたものの、それぞれが関係しあっていることが分かった」

今回唯一、マインドマップのように関連する風のグループを線で結んでくれていたDグループは、風の多面性について気付きがあったようです。例えば風のにおいや演出、強弱や温度・湿度など、感覚や状況によって風が違って感じられることを教えてくれました。 そして、風の色のようにまだわからない色があると思う、という言葉に、わからないけれどもっと知りたい!という意欲と好奇心が伝わってきました。

5番目はAグループ。
風の種類は、【機械の風】【感じる風】【風の色】【音】【遊んでいる時の風】【葉っぱ】【季節の風】 【その他】の8つに分けられました。

「【機械の風】は、エアコンの風、風車など」「【感じる風】は、きれいな風や優しい風など」「【風の色】は、水色」「【音】は、ビューンやヒューなどの言葉がある」「【遊んでいる時の風】は、ぶらんこや凧揚げ、シャボン玉などで遊んでいる時に感じる風」「【季節の風】は、台風(夏)や北風(冬)】」「【その他】は、雲や物が飛んでいくときに感じる風」「面白かったのは、【人工の風】。扇風機やうちわとか道具でつくる風があるということ」

遊んでいる時の風や季節の風などの自然の風だけでなく、機械で作り出される人工の風があること、自然の風、人工的な風ともに日常生活や季節に密接に関わっていることに気づいたようです。
また、風は人の感情や体験と結びついていると捉えているようです。

風の色や音という視覚や聴覚の感覚的な側面に焦点を当て、それぞれの風が異なる色や音を持つと考えているところも面白いですね。

各グループの発表後、講師の先生から宿題と次回についての説明がありました。

宿題は①どんな風を書きたいか考えてくる、②かたちや絵にしたら面白そうな風について考えてみる、の2つです。 次回は、たくさん考えた風のアイデアを基に、風のスケッチを書いていきます。

最後に講師の先生から、風の擬人化の例として絵本「北風と太陽」の読み聞かせがありました。 どんな風と暮らすか、風を考えるうえで、風をライバルや友達と考えた方がイメージしやすいのではないか、という意図とのことです。

次回はスケッチがメインです。 たくさん手を動かしながら、自分がどんな風と暮らしたいか、イメージをつかんで欲しいと思い ます。どんな風の絵が出てくるか、楽しみです!

次回もよろしくおねがいいたします。

佐藤 茜 (ブログ取材担当)