子ども建築塾 渋谷のまち 公開発表会

2013年03月15日

皆様こんにちは。東京大学生産技術研究所、村松研究室博士課程の田口純子です。

3月9日、「子ども建築塾 渋谷のまち 公開発表会」が、渋谷区美竹の丘多目的ホールにて行われました。

子ども建築塾開講2年目にして、初めての公開発表会。
伊東豊雄塾長、太田浩史先生、村松伸先生、保護者の方々、TA・スタッフの皆さんのほか、授業に顔を出してくださったゲストの方々、発表会にご協力くださったイベント「shibuya1000」の関係者の方々、そして、発表会に関心をもって来てくださった沢山のお客様で、100席ほどの会場がいっぱいになりました。

6462Photo:Manami Takahashi

さらに、昨年度の子ども建築塾の卒業生と保護者の方の姿も!こうした機会に顔を合わせ、お互いの近況を知ることができるのは、何とも嬉しいものです。

柔らかな緊張に包まれた会場で、伊東塾長の挨拶とともに、発表会は始まりました。

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子ども達は、「生け花ギャラリー」や「子ども建築案内所」といった「まちの建築」の課題を与えられ、後期「まち」の授業10回をかけて、渋谷のまちに自ら敷地を選んで「まちの建築」を設計してきました。

今回の発表会では、模型とプレゼンボードを使って、1人3分で「まちの建築」の提案を発表しました。

子ども達は、神谷町スタジオより広い会場、大勢のお客様、大きなスクリーン、マイクを使っての発表に、ドキドキ・・・。「ばっちり練習してきたから、大丈夫!」と言いながらも、皆どことなく緊張の面持ちで、自分の発表の順番を待っていました。

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「私が設計したのは、びゅんびゅん風と遊ぶ公園です。渋谷のビルの間に吹く強い風を利用して、遊具を設計し、周りの木々には、風を逃がさないような工夫をしました。」

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「ぼくは、青山のこどもの城が無くなってしまうので、その敷地に新しい劇場を考えました。人が集まってきやすい場所にあり、日当たりもよく、皆がぽかぽかする劇場です。」

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「私の課題は、レトロ駄菓子屋です。〈レトロ=古い〉という言葉のイメージから、渋谷の神社を敷地に選びました。豊かな地形に合わせて、建物の屋根に入口をつくりました。」

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小学校高学年の児童を対象とした子ども建築塾にも、3年生の子どもや、一番低学年では1年生の子どももいます。しかし、いざ自分の発表の順番になると、皆緊張を振り払って、会場の皆さんに語りかけるように、堂々と発表を行いました。

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15人の子ども達(1人お休みしてしまった子もいましたが、普段からよく見ているTAの方が代わりに発表しました)、それぞれの発表には、〈自然をさがす/まちのでこぼこ/人の集まる場所/タイムトラベル〉というテーマでまち歩きをして、渋谷のまちの魅力を発見し、「まちの建築」という課題を自分なりに読み解いた結果が、設計の意図としてきちんと込められていました。

また、「まちの建築」を誰にどのように使ってもらいたいか、光や風はどのように入ってくるか、周辺の渋谷のまちとはどのように関わっているか、中に入るとどんなにわくわくする体験が待っているか・・・といった物語や、夢が、3分の発表に入りきらないくらい、子ども達の中に無数に生まれていたことも、よく伝わってきました。

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伊東塾長は、子ども達に質問をしながら丁寧に考えを引き出し、会場にも声をかけます。
「体で考えているんですよね。子ども達は、考えた空間に、全身で入り込んでいます。大人では、なかなか出来ないことです。」

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太田先生、村松先生も、講師席から立って、伊東塾長と3人でテンポの良い講評を繰り広げてくださいました。
村松先生から時々出される、いじわるな質問も、先生方と子どもたちとのやり取りによって見事に切り抜けられ、会場は和やかな雰囲気に包まれました。

全ての発表が終わると、講師の先生方の審査によって、伊東賞2人、太田賞1人、村松賞1人が選ばれ、表彰されました。
伊東賞の子どもには伊東塾長の本、太田賞・村松賞の子どもには特製バッジ、そして、子ども達全員に、卒業証書のバッジと、会場の皆さんに当日書いて頂いたメッセージカードが渡されました。

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また、この日のためにTA・スタッフで製作した、「子ども建築塾 渋谷のまち 探検マップ」も、子ども達、そして会場に来てくださった方全員に配られました。
地図には、まち歩きで子ども達と先生方が見つけた「渋谷のおすすめスポット」と、子ども達が提案した「まちの建築」が掲載され、2012年度子ども建築塾の、記念すべき成果物となりました。

写真 H

地図のほかにも、会場準備から、模型・プレゼンボード運び等の発表補助まで、TAの皆さんの活躍は随所に見られました。
特に、発表の順番を待って顔がこわばっている子ども達に対して、そばに待機していたTAの皆さんが、子ども達の緊張を和らげるために、積極的にコミュニケーションを取っていたのが印象的でした。
こうしたひと時も、この発表会を迎えるまでに、子ども達とTAの皆さんがタッグを組んで、色々と相談しながら課題を乗り越えてきた成果です。

子ども建築塾は、建築について、ただ机に座って授業を受け、設計の訓練をする場では無く、自分の考えていることや、夢に描いていることを、表現する方法を身につける場です。
建築やまちに触れることが、子ども達の長い人生のなかで、身近な環境の見方、考え方、表現の仕方を広げる一つのきっかけになれば、と願う一方で、子ども達の大切な時間をお預かりしていることを、常々実感します。
ご家庭でも、会話や、宿題に取り組む時間の中で、子ども建築塾での経験が反芻され、課題に向かう活力が子ども達に養われていることを思うと、保護者の方々の支えに、感謝の気持ちでいっぱいになります。

また、自らも大学の課題、論文執筆、就職活動等に日々取り組まれ、忙しい毎日を送るなかでも、楽しみながら、丁寧に指導に携わってくださるTAの皆さんが、子ども建築塾には欠かせない存在であることは、これまでのブログからも読み取って頂けたことかと思います。

私も子ども建築塾に関わる一人として、常に挑戦し、こうした皆さんが、やりがいをもって集うことができる場をつくっていきたい。
年度区切りの公開発表会にて、来年度に向かう気持ちを強く抱きました。

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長くなりましたが、2012年度子ども建築塾のブログも、これでおしまいです。
日頃より当ブログをご覧下さり、誠にありがとうございました。
来年度も引き続き、ご愛読のほど、よろしくお願いいたします。