子ども建築塾 前期1回「いえってなんだろう?」
みなさま、こんにちは。東京大学大学院 村松研究室 修士2年の神谷彬大です。
今年3年目を迎えた子ども建築塾の最初の授業が、4月20日、神谷町スタジオにてはじまりました。
今年は、どんな子どもたちが、どんな作品をつくってくれるのでしょうか。私たちTAも、授業がはじまる前からとても楽しみにしていました。
住みたい家を発表しよう
まず授業の最初に、自己紹介がてら、それぞれが描いてきた「住みたい家」の絵をグループの中で発表しました。
私たちTAは、子どもたちのスケッチブック一杯に表現された絵の豊かさにとても驚きました。そしてどの子も、自分の発想を自信を持って伝えていることが素晴らしいと思いました。
それだけではなく、初回にも関わらずみんな他の子の作品に対して積極的に質問をすることができています。
「まわりには、家がたくさんあるの?」
「(海の上に浮く家、という案に対して)どこの海につくるの?」
それぞれが違う小学校に通い、違う学年の子も多いため、少し緊張している子もいましたが、お互いの作品に触れる中でこのように少しずつ会話が生まれてきたようです。
少人数のグループ内で発言しやすい雰囲気だったこともあり、緊張していた子にもすぐに笑顔が見え始めました。
共通点を見つけてコミュニケーション
次に、グループのみんなが描いてきた絵の共通点を見つけるというアイスブレイクをしました。共通点を見つけたら、ふせんに書いて大きな紙にどんどん貼っていきます。
先程も、子どもたちは他の子の作品をよく見て質問をすることができていましたが、さらに「自分との共通点」という視点から、他の子の作品をじっくり観察することになります。
もちろん子どもたち同士の会話のきっかけにもなりますし、共通点を見つけて言葉にすることで「じゃあ誰も考えていないことを考えてみよう」といったように、自分が思いもよらなかった考え方を思いつくことにもつながるのではないでしょうか。
短い時間の、それも初回の活動なので、これからの作品に直結するかはわかりませんが、少なくとも子どもたちの発想は拡がり、同じグループの子同士やTAとのコミュニケーションも深まったように思います。
不思議な建築の面白さ
最後は、塾長の伊東豊雄先生のお話を聞きました。
伊東先生は「森のようないえ」「雲のようないえ」「花のようないえ」「水のようないえ」「鳥のようないえ」という5つのイメージに当てはまるような世界中の建築を紹介してくださいました。
特に私の印象に残ったのは、実際に建っている「森(雲、花、水、鳥)のような建築」の例をぱっと見せるごとに、子どもたちから「わあ~」「すごーい!」という歓声があがったことです。
「雲のような家って、いったい何だろう?」という問いかけに、子どもたちはまず色々な発想をふくらませます。そして、その自分の想像を超えるものが実際に世の中にできていることがわかったときの「ほんとうに雲みたい!」という驚き。
もちろんその驚きは大人でも同じでしょう。建築知識の有無に関わらず、「わあ~」という気持ちになる瞬間に、建築を建てたり、見たり、体験したりする面白さのひとつがあると思います。
子どもたちの柔軟な発想がさらに拡がった、充実した初回の2時間でした。これから一年間の子どもたちの成長がとても楽しみです!