子ども建築塾 前期3回「中間発表をしよう!」

2014年06月04日

こんにちは。子ども建築塾TAの小森です。ここのところ、夏のような暑さが続いていますね。
今日は5月18日に行われた子ども建築塾 前期3回目の授業の様子をレポートします。今回の授業は「中間発表をしよう!」第1回の授業でそれぞれのテーマ(星/山/波/虹/火)のイメージを言葉にしたり、第2回の授業で自然の現象を疑似体験したりして、膨らませてきたアイデアを発表します。子どもたちはどんな「自然のようないえ」を考えてきたのかな?

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お友達とタイトルを考えよう!

まずは練習のつもりで、描いてきたスケッチをグループのみんなに見せながらアイデアを発表ました。同じテーマで考えてきたのに、みんなそれぞれ違うかたち、違うアイデアで面白い!お友達の作品を見ながら、みんなでタイトルを考えました。「このいえはツリーハウスみたいに登れそう」「虹を楽しめそうないえだね」「水が気持ち良いと思う」「いえの中が虹みたいに光ってきれい」など、話しながらタイトルのアイデアを出し合います。自分では気づいていなかった魅力をお友達が発見してくれることもありました。

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アイデアを伝えよう!

グループでアイデア交換をしながら新しい発見もできたところで、いよいよ発表です。伊東先生や太田先生、みんなの前で一人ずつ考えてきたアイデアを説明します。

重枝

「火のようないえ」

大海明くんは沢山のアイデアをスケッチブックに描いてきてくれました。中でも炎のようにごおごおと伸びたり縮んだりするいえや、炎のようにゆらめく壁面をもついえは、これからどんな展開をみせてくれるのか楽しみです。
見ていて飽きない炎のうねる様子をいえにしたいと話してくれたのは、久我聡くん。

久我

太陽の光で家の中が燈る小さな灯火の中で生活するような暖かい絵を描いてくれた重枝梨乃さんや、火が高く高くのぼっていく様子をいえにしたいと考え、空に伸びていく細長い「火のようないえ」を考えてくれたのは古林梨夏さん。

古林

みんなの絵をよく見ると、細かく炎のゆらめきを表現しようとしていることに気づきます。「建築をつくろうとするとかたくなってしまうのだけど、ゆらゆらした炎のようにかたまらない建築になると面白いね」と伊東先生からアドバイスをもらいました。

「虹のような家」

江口和李さんは虹のイメージを「わたれそう」「くぐれそう」「すべれそう」と話し、たくさんの色の光のアーチに囲まれたいえを考えました。光のアーチの上に登ったり、滑ったり。スケッチブックの針金部分を覗き込んで「この空間、虹みたい!」と早速ヒントをみつけていました。

江口

色とりどりのガラスで囲われた「虹のようないえ」を考えてきてくれたのは野々山泰地くん。「光の中にいる感じがいいね。」と太田先生。「全部ガラスじゃなくて、ル・コルビジェのロンシャンの教会を参考にしてみると良いかもしれないよ。」と伊東先生から写真とともにアドバイスをもらいました。水と光でいろいろなところにできる虹を楽しむいえをイメージしたのは、村上恵夢くん。「建築のかたちをかためないで、虹のように、水でできているようないえになるともっといいね。」と伊東先生からコメントをもらいました。

アーチ型や7色だけにとらわれずに、すーっと消えてしまう虹のはかなさや、だんだんと色が移り変わる様子など、虹のイメージを大切にして、やわらかないえになっていくと良いですね。

「星のようないえ」

銀河の渦のようなふわふわした「星のようないえ」を考えてきてくれた田村さや子さん。「銀河鉄道の夜のように、いつの間にか別世界にいるような感じが良いね。」と伊東先生。球体で宙に浮かんだいえを描いてくれたのは佐口幸太郎くん。「藤森照信さんのお茶室を超えてるね!」とのコメントに期待が高まります。大海はなさんは、たくさんの「星のようないえ」を考えてきてくれました。中でもお気に入りは、「星は本当は丸くて、その回りに光が取り巻いているからキラキラしたかたちに見える。」と気づいて、光が取り巻く丸いいえを説明してくれました。村橋こはるさんは、水の中に潜った「星のようないえ」のアイデアを考えました。「水の中も宇宙のように未知の世界だというイメージ、わかるなあ!水の中や水面できらっと光る星のようないえになるともっと素敵になると思う。」と田口さんからコメントがありました。

「星のような」と一言で言っても、いろんな星がありますね。「流れ星のようないえ、星座のようないえ、銀河のようないえ、それぞれイメージも違います。どんな星のイメージなのか、もう一度考えてみると良いですね。」と太田先生からアドバイスをもらいました。

「山のようないえ」

岩山のようないえで登って暮らすいえを考えてくれたのは兼清悠祐太くん。「山にはいろんな道があるというところに注目していて面白いね。」と太田先生。山は明るいので、空が大きく見える大きな窓をつけたという手塚無捺さんや、山を歩くときのようにふかふかした床に眠ったりしたい、と3つの大きさの異なる山のようないえを描いてくれた矢作紗枝さん、山のようにたくさんの小さなへやが集まってできたいえを描いてくれた岡崎岩生くん。

岡崎

「今はみんな山に似たかたちのいえを描いているけど、かたちが山になっていなくても良いよ。山はどうしてあんなに生き生きしているんだろう。山がどう自然と関係しているのかを考えたら、ずっと生き生きしたいえになるかもしれないね。」と伊東先生。「山もいろんなかたちがあるよね。矢作さんの山は連なっているところがおもしろい。」と太田先生。木に囲われた感じ、いろんな角度の坂道がつづく、突然明るくなる場所がある、など第1回に出した山のイメージを思い出して、イメージをかたちにしてみると良いですね。

「波のようないえ」

巻貝が波のようなかたちをしていることに気付いた守島伶くんは、巻貝を観察して波のようないえのアイデアを考えました。「良いところに気付いたね!巻貝は大きくなるために渦をまいているんだけど、実は水の流れも渦を巻いて進んでいくんだよ。巻貝のかたちはまさに水の流れを表しているんだね。」と伊東先生。
武富零央さんは、常に動いている雄大な波を屋根にしました。「屋根の部分がとても良いね。うねり続ける波をどんなふうにつくるか考えてみよう。」と伊東先生。

武富

前回の授業で波を下から見上げた体験を建築にしたいと考えた田原陸人くん。
波紋をモチーフに曲線のいえを描いてくれた佐藤萌加さん。「波紋の重なった部分をどうやってつくるか考えてみよう」とアドバイスをもらいました。

佐藤4

「波のように、ふさがらない、終わりのないかたちを建築にすることは難しいことだけれど、是非挑戦してほしいな」と伊東先生。大波のようないえ、波紋が重なり合うようないえ、どんな暮らしになるのか楽しみですね。

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それぞれの視点で「○○のような」について考えたアイデアスケッチは、どれもとてもよく描けていました。また発表も自分の言葉でしっかり考えを伝えることができていました。一見「○○のような」ではなく、そのかたちを真似ているだけのように見えても、考えを聞いて絵をよく見てみると、そこにはたくさんの「○○のような」に応えるアイデアが詰まっていることがわかります。私たちTAもみんなの発見に気付けるように一緒に考えたり、質問したりしていくのでよろしくお願いします!

先生からのアドバイスにもあったように、すぐに建築にしようと焦らず、まずはイメージをスケッチしたり、スタディ模型をつくったりしてみて、「火」「虹」「星」「山」「波」それぞれのイメージに近づけるよう工夫してみると良いですね。次々回の模型制作では、どんな空間が飛びだすのか楽しみです。

次回は、みんなが楽しみにしている住宅見学会。平田晃久さんが設計した住宅「coil」を見学します。