塾生限定講座 「テーマ選択・ディスカッション」

2015年11月12日

5月30日の塾生限定講座では、5月1日から3日まで行われた大三島合宿で得た経験をもとに、今後の課題テーマ選択に向けてディスカッションをしました。
この日は初夏を思わせる快晴の中、恵比寿スタジオの妻入りの開口が大きく開かれていました。それは出雲大社に代表される大社造りを現代用語で解釈したような、厳かですが外部とのつながりを緩やかに保つ、塾生たちの住まいのように見えました。
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©Kai Nakamura

以下の3つのテーマごとに、伊東塾長や講師の柳澤氏、内部講師の方々や塾生からたくさんの闊達な意見がありました。
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①Iターン移住者の暮らしのように、農業をベースにした理想の住まい方を提案する
大三島滞在中に、移住された農家の方々と話す機会がありました。印象的だったのは、同じIターンの方々でも居住地域、世帯構成、年齢等によって様々な価値観があるということです。10年間も大三島に暮らす方でも、まだ全てが受け入れられているという実感には至っていないという話もありました。
しかし少なからず共通しているのは、地域の祭りや自治活動に積極的に関わっていこうという姿勢です。これは都市部の生活を現代とするならば、地域に入るということは、近所付き合いや組がライフスタイルであった近代以前に戻るということかもしれません。
また農業についても、かつて農作物の中心であった除虫菊やたばこから、現在は柑橘類が中心となっています。海外との貿易関係や自然環境の変化に伴い、変容的に作物も考えなければならないのでしょう。

②週末や休暇居住のシェアハウスのモデルを考える
これからの日本に共通する問題として、空き家問題があります。シェアハウスでこの問題が劇的に解決できるのかは分かりませんが、積極的に空き家を利用していくことに負の要因はないでしょう。塾長より、シェアハウスは別荘ではないので、地域との関わりなくして成立しないとの言葉がありました。
立地については、リノベーションなら現存する集落が適し、新築なら少し離れた場所もありえると考えられます。また、リロケーションなども可能性はありますが、狭い集落ならではの世間体という問題もあり、簡単に貸借が成立するかは疑問との意見もありました。

③大三島の「みんなの家」を中心にした大山祇神社参道活性化のための提案を考える
参道には多くの歴史や背景があり、それらをより深く理解するために、参道に関わっている方々とのコミュニケーションやリサーチが必要ではないかとの意見がありました。また、参道活性化のアイディアとして「のれん」や「風鈴」などを共通のアイコンとして用い、軒先を彩る華やかさの演出などの意見も出されました。
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このブログの中だけでは書ききれないですが、その他にも議論を活性化させる多くの意見がありました。それらは今後のレポートで記述されることになるでしょう。
最後に、今回のディスカッションによって、日本という世界から見れば小さな島国の中にも、大小たくさんの島々にそれぞれの文化があり、それらが垣間見え、真剣に考えました。次世代につないでいこうという人々の努力に触れられたこと、さらにその思考の一助になれることに感謝する一日でした。

塾生 真野サトル