子ども建築塾 後期1回「まちって何だろう?」

2013年10月29日

皆様、こんにちは。東京大学村松研究室修士課程1年の向井天音です。
先日行われた前期「いえ」の発表会がまだ記憶に新しいですが、10月19日からいよいよ後期の授業が始まりました。

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子ども建築塾では、毎年、後期の授業で「まち」という大きな課題に挑戦します。初回となるこの日は、東京大学生産技術研究所の村松伸先生により、今年の敷地となる恵比寿の「まち」の講義を行いました。

この日、スタジオに来た子どもたちは、後期のグループ分けを伝えられ、前期とは違う席に腰かけて、授業の始まりを待ちます。最初はいつもより緊張している子も多かったですが、すぐに新しいグループの友達やTAと打ち解けた様子で話をしていました。

授業が始まると、まずあみだくじをして、5つのグループにそれぞれ「水」「ひと・おばけ」「生き物」「木」「坂」というテーマが割り振られました。後期の授業では、まちの中でそれらのテーマと仲良くするためにはどうしたら良いかを各々が考えていきます。前期の「いえ」の課題のときにも「花」「森」「雲」「鳥」「水」というテーマがありましたが、今回は自分で選んだのではない、与えられたテーマで設計に取り組むことになります。

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グループのテーマが決まったら、次はスライドを見ながら恵比寿のまちがもつ「時間」と「空間」について学びます。まちと会話をしながら設計するために、まずはまちのことをよく知ることから始めます。かつてビール工場や軍需施設を抱えていたまちの歴史の変遷や、地形の豊かさなどを学びながら、子どもたちは村松先生の出す問題に熱心に答えていました。恵比寿スタジオに移転してから4ヶ月以上経ちますが、普段歩くだけでは気づかないような恵比寿の特徴に触れることができたのではないでしょうか。

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恵比寿のことが分かってきたら、今度はまちと仲良くなる方法を考えます。恵比寿のまちの中で、テーマに関したどんなことができたらいいか、アイデアを話し合いながら、イラストを描きました。私がTAを務めるグループのテーマは「生き物」ですが、人と生き物の間にある違いに注目しながら、みんな素敵な案を次々と出していました。

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授業の後半で、それぞれがどんなことを考えたのか発表していくと、各班のテーマに沿った楽しそうなアイデアがたくさん出てきました。

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水のグループでは「虹にぶら下がる」「まちで波乗りをする」。坂のグループでは「坂で泳ぐ」「坂でサバイバルゲーム」。生き物のグループからは「カメの上にお家を作る」「動物の言葉の翻訳所をつくる」。ひと・おばけグループは「おばけと一緒に人を驚かせる」「おばけとキャッチボールする」。木のグループからは「木と音楽を楽しむ」「木の葉っぱで空を飛ぶ」など個性豊かな案に、村松先生も楽しそうな様子で、「まちの中で、実際にそれができる場所を探してみてね」と、次回のまち歩きにつながるアドバイスをくださいました。

最後にスライドで、TAが考えたアイデアを紹介しました。「水の上を走る」「おばけと踊る」など、こちらも面白いアイデアがたくさんありましたが、「みんなが考えた案とどっちがいいかな?」という村松先生の問いには、「こんなの僕の考えたものの真似っこだよ、僕の方がいいよ」と自信満々の塾生もいて、とても頼もしく感じました。みんなの柔らかい頭で考えた楽しい案には敵わないと、TAも同じ気持ちでしたよ!

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後期は、前期とはまた違った大きな課題なので、設計に繋げていくのに難しいところもあるかもしれませんが、今日の講義が恵比寿のまちに親しみをもち、深く考えてゆく足掛かりになるのではないでしょうか。

とはいえ、初回の授業でこれだけたくさんのイメージを膨らませることができるなんて、さすが子ども建築塾の塾生です。これからの案の発展に、大いに期待しています!

次回はグループごとにまちを探検し、現在の恵比寿をじっくり見つめます。今日みんなが考えた素敵な案を、恵比寿のまちのどんなところに当てはめるのが良いのか、一緒に探していきましょう。