びわ湖・こどもアートセッションin大津 『びわ湖のほとりで妖怪“とともに”を探そう!‐びわ湖と人の関係を考えよう‐』

2014年01月06日

こんにちは!滋賀県立大学 環境建築デザイン学科4年の北村崇之です。11月24日に滋賀県大津市のびわ湖ホールにて行われた「子ども建築塾」出張版のワークショップTA(ティーチング・アシスタント)をさせていただきました。

ワークショップには小学4年生から小学6年生までの子どもたち13名が集まりました。ワークショップTAには滋賀県立大学から私を含め、13名の学生が参加しました。

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びわ湖ほとりの会場で、まずは講師の田口純子さんによるレクチャーが行われました。

私たち人間の生活とびわ湖の関係からお話がはじまり、今回のワークショップのテーマ『妖怪“とともに”を探そう!」について、「妖怪ってなんでいるのだろう?それはね、私たちの生活と自然との関係には良いこと、悪いことがあって、そのことに対する人間の畏怖や畏敬がかたちになっているんだよ。」という先生のお話。子どもたちも学生も熱心に耳を傾けていました。

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レクチャーが終わると、3つのグループに分かれて、それぞれのグループで自己紹介をしてびわ湖ほとりの探検に出かけます!みんなどんな妖怪を見つけてくるのでしょうか。

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冬も目前の11月末。外に出ると肌寒い風がびわ湖から吹きつけます。しかし、そんなことはまるで気にならない様子の子どもたち。レクチャーのときの大人しさはどこへやら、ワッとそれぞれが妖怪が居そうな場所を探して駆けていきます。

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石垣の間や、水が流れるトンネルの奥など、怪しいな、妖怪が居そうだなというところにはピタッと足を止めて、じっと観察したり、びわ湖に突き出た建物を指さして「あの建物の下に妖怪が居そう!」といってスケッチをしていました。

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そんな中でみんなが気にしていたのが、広場やびわ湖に捨てられたごみたち。捨てられたごみを見ると少しムッとした様子で「ちゃんときれいにしやなお化けでるでー」「じゃあ、僕らもごみ捨てんように気をつけなあかんな」と子どもたちで話し合っていました。

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子どもたちは、スケッチしたり、おしゃべりして文字にしながら、それぞれ妖怪“とともに”の姿を少しずつ自分の中で形づくっているようでした。

1時間のびわ湖探検が終わると、お昼ごはんの時間です。探検で子どもたちと僕たち学生もすっかり打ち解けて、誰が言い出したのか、ごはん休憩の余った時間にみんなで集まって鬼ごっこをしていました。

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お昼から制作開始です!それぞれのテーブルには色えんぴつにクレヨン、絵の具や折り紙。自分の好きな道具を使って紙の上に妖怪を描いていきます。

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「こんな妖怪がいそう!」とさらさら絵を描く子もいれば、悩んで身振り手振り交えて相談しながら一緒に絵を描く子どもの姿も。学生TAはこんなのどうかな?と子どもたちにアドバイスをしますが、実は僕たちTAも一緒に妖怪を描いて発表(!)することになり、子どもたちに負けていられないと必死です。逆に子どもたちからアドバイスをもらうこともありました(笑)。

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制作の時間もあっという間に終わり、発表の時間になりました。ホワイトボードにはそれぞれ姿かたちの異なるユニークな妖怪が貼り出されていきます。

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A班は、外来魚を食べる妖怪やびわ湖にごみを捨てた人間に仕返しをする妖怪、びわ湖の水位を上げる水の妖怪もいました。

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B班は、ごみを食べる藻の妖怪やびわ湖沿いの建物の装飾が化けたような妖怪、びわ湖ほとりに落ちていたごみに妖怪を見出して水彩絵の具できれいに描かれた妖怪もいます。

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C班は、人にそっと寄り添うような妖怪や、びわ湖で聞こえた音を妖怪、折り紙で彩られた妖怪もいました。

子どもたちが見つけた妖怪“とともに”はみんな最初のレクチャーで田口さんが話してくれた通り、人と自然の間に立つような存在でした。時に人間を厳しく戒め、時に人と自然の豊かさの橋渡しをしてくれる妖怪たち。

この課題のテーマを聞いて、最初は難しそうだなと考えていましたが、あまり抵抗することなく妖怪を描いてしまう子どもたちを見ていると、普段から妖怪の存在を感じて受け入れる感性はずっと備わっているのだなあと思いました。

今回のびわ湖でのワークショップは一日で終わりですが、同じような妖怪というテーマで古民家や古いビル、街中では、森の中では、子供たちはどんな妖怪を見つけてくるのかな、と考えるとついワクワクしてしまいます。

今の社会や建築に妖怪を見ることはほとんど無くなってしまいましたが、だからこそ子供たちと妖怪を探すことにはとても意義があるのでは、と感じました。
また今回のようにワークショップTAとして関われる機会があればぜひ参加させていただきたいと思います。ありがとうございました。