大三島ライフスタイル研究所 めがね椅子リフォームワークショップ(2日目)

2017年11月28日

めがね椅子リフォームワークショップの2日目は、テキスタイルデザイナーの安東陽子さんを講師にお招きし、ショートレクチャーとめがね椅子用のクッションを制作しました。

はじめに、安東さんがテキスタイルデザインを通して、これまでに携わってきた作品を紹介していただきました。

レクチャー後、テーブルを囲みながら、クッションの制作手順を伝え、早速クッションのデザインに取りかかりました。

今回制作したクッションは、帆布のような厚めの生地にアルミ箔を部分的に貼り付けて、オリジナルのパターンをつくりました。それぞれが好きなかたちに切り取ったアルミ箔と特殊シートを布の上に配置し、アイロンで熱をかけて、一定時間を置いて剥がすと和紙のような優しい表情をした布地に仕上がりました。

この日のお昼は、東京から大三島へ移住し、来春にパン屋をオープンする小松洋一さんがつくった「まるまど(旧 小松製パン)」のサンドウィッチとスープをおいしくいただきました。パンはみかん酵母でつくられていて、サンドの中にはイノシシのソーセージが入っていてとってもジューシー。島内外からとても人気のあるパンです。島にいらっしゃった際はぜひ食べてみてください。

お腹が満たされた午後は、みんなで布地の鳩目付けを行いました。一つのクッションにつき約90カ所の穴開けと鳩目付けは、かなり時間がかかってしまい、大変な作業になりました。それでも分校生たちは、大人顔負けの集中力と、全員で協力しながら確実に進めていく前向きな姿勢に感動しました。

鳩目を付け終えたら、最終工程は鳩目に紐を通す作業です。いよいよ完成までラストスパート。苦楽をともにしたと言ってももはや過言ではない、まるで家族のような一体感で、この日も完成まで誰一人諦めず、無事に20脚分のクッションが完成しました。

最後に、公民館の玄関前での記念撮影を行い、講師の藤森さんと安東さんから、「限られた時間の中で、大変な作業でしたが、無事に完成させたことは分校生たちにとっても貴重な経験になったし、良い成果につながったのではないか。ものづくりやデザインは遠い存在ではなく、自分の身の回りにある」と総評をいただきました。私自身も、世界中どこを探しても大三島にしかない、思い出に残るみんなのめがね椅子ができたのではないかと思っています。見た目以上に作業はとても大変でしたが、分校生をはじめ参加者全員が、2日間本当によく頑張ってくれました。ありがとうございました。

残念ながら2日間のワークショップに参加できずに事前準備を手伝ってくれた分校生や、島の方々、そして公民館の皆様も、本当にありがとうございました。島の皆様の温かい人柄に支えてもらいながら、無事に完成することができました。

大三島の人々が今まで大切に使い続けてきた大切な椅子。最近は使う人も少なくなって、誰も座ってもらえない存在になってしまっためがね椅子。このワークショップを通して、みんなでメンテナンスをしながら、長く使い続けていくことの大切さ、そして、実際に自分たちの手でつくってみたり考えたりしながら、ものづくりやデザインの楽しさが伝わればと思っています。ものづくりは思いやり。帰りのバスの中でそう感じながら、これからも大三島のために、若い分校生たちと一緒に、つくったり考えたりしながら、未来に向けてコツコツと続けていければと思いました。

小迫 欣弘