ブログ: 公開講座

 7月27日、2024年度第3回会員公開講座が開催され、世界の台所探検家の岡根谷実里さんをお迎えしました。明晰な口調と、明るく溌剌とした雰囲気が印象的な岡根谷さんは、世界各地の家庭を訪れ、一緒に料理をしながら、その国の文化や歴史、社会背景を伝える活動をしておられます。現在までに30以上の国と地域を訪れ、170を超える台所で料理を共にされてきたとのこと。日本では小中学校での出張授業や講演活動の他、著書『世界の食卓から社会が見える』(大和書房、2023年)など文章執筆、テレビやラジオへの出演など、幅広い活動を展開されています。

 本講座では、フィンランド・ペルー・インドの台所から垣間見える各国の文化と、世界を知る窓としての「食」の可能性について、お話しいただきました。

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 6月1日、長年にわたり建築施工の最前線に携わってこられた木谷宗一さんをお迎えして、第3回目の公開講座が開催されました。木谷さんは、1971年から2018年まで竹中工務店に在籍され、工事課長として、数々の建築施工の現場で指揮をとってこられました。また、作業所・技術研究所・技術部門でもご活躍され、これらの豊富な経験を活かし、建築現場におけるものづくりを解説する多くの著書も出版されています。今回の講座では、「建築現場」ってなんだろうというテーマのもと、現代の建築現場の実態や、建築に携わる人々の役割、そして建築技術の進化について、詳細にご解説いただきました。

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4月27日、世界中の珍しい植物を集めて街や人を元気にする活動で知られるプラントハンター・西畠清順さんをお招きし、本年度第1回目の公開講座が開催されました。連休初日にもかかわらず、大人から子どもまで多くの参加者が集まり、皆さんの関心の高さが伺えました。西畠さんは、150年続く植物屋さんに生まれ育ち、現在は植物に関わるありとあらゆる可能性を事業化する会社を経営されています。今回の講座では、「植物って何だろう」というテーマで、植物の歴史や特性、そして人間との関わりについて、参加者との対話を交えながら語っていただきました。

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2月3日、本年度の「~って何だろう」公開講座の締めくくりとして、塾長・伊東豊雄が「建築って何だろう」をテーマに講演を行いました。公開講座で伊東が本テーマを取り上げるのは、今回で3回目。一昨年と昨年に開催された過去2回の講演では、近代主義思想の日本への到来以来、本来日本建築の魅力であったはずの自然との繋がりが希薄になった点、技術で自然を克服しようとする開発ばかりが進められてきた点に対して、問題提起がなされました。一方、今回の講座では、「これまでとは趣向を変え、自分がどういう建築をつくってきたのか、建築設計の原点を話す」とのこと。2023年に芝浦工業大学で開催された展覧会「伊東豊雄の挑戦 1971-1986」展にもインスピレーションを得つつ、建築家としての活動初期の建築観、伊東の設計手法、伊東が目指す建築像について、お話をしました。

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12月9日、明治大学名誉教授の土屋恵一郎さんをお招きして、本年度5回目の公開講座が開催されました。土屋さんは、ご専門の法哲学を研究されてきた傍ら、25歳から能を学んでこられ、芸術選奨専攻委員・芸術祭審査委員などを歴任する能研究家としての一面もお持ちです。1979年に能楽の会「橋の会」を立ち上げ、20年以上にわたり能プロデューサーとしても活躍してこられたほか、NHKのシリーズ番組「100分de名著」で取り上げられた、世阿弥「風姿花伝」の回で講師を務められるなど、能の世界観や世阿弥の教えを広く一般に伝える活動にも尽力されてきました。

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9月2日、長年、都市と建築について思索を重ねてこられた建築家・北山恒さんをお招きして、第4回目の公開講座が開催されました。北山さんは、横浜国立大学や法政大学などで教授を務めてこられたほか、行政アドバイザーとしてもご尽力なさっています。

今回の講座で考えるテーマは、「都市」って何だろう。全体像を捉えることが難しい本テーマに対して、北山さんには、4つの小話題の組み合わせというかたちでご回答いただきました。

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7月8日、韓国を代表するアーティスト、ムン・キョンウォンさんとチョン・ジュンホさんをお招きして、今年度第3回目の公開講座が開催されました。2009年から共同制作を開始されたお二人は、作品を通して、アートが社会的に果たしうる役割を模索してこられました。中でも、お二人の代表プロジェクト「News from Nowhere」は、多様な専門家との共同作業プラットフォームとして構想されており、現代アートの可能性を広げる試みとなっています。

今回の講座では、「News from Nowhere」の立ち上げ経緯やプロジェクト内の作品事例、世界各国で開かれた個展での様子とそこでの発表作品について、詳しくお話を伺いました。

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6月3日、フリーアナウンサーとしてご活躍の有働由美子さんをお招きして、第2回目の公開講座が開催されました。有働さんは、NHKで27年間アナウンサーとしてご活躍され、「おはよう日本」「サンデースポーツ」「ニュース10」「あさイチ」等のキャスター、紅白歌合戦の司会、五輪パラ現地キャスター、アメリカNYの特派員など多様なお仕事を経験されてきました。フリーへの転身後は、アナウンサーとしてだけでなく、文藝春秋での対談連載、ラジオパーソナリティとしての活動、東京大学大学院CIDIRでの研究など、さらに活躍の幅を広げておられます。

今回の講座では、これまでのお仕事の内容や経験、それを通して見えてきた「テレビ」の役割について、お話を伺いました。

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5月20日、サクソフォン奏者の田中拓也さんをお招きし、本年度最初の公開講座が開催されました。田中さんは、東京藝術大学在学中により国内外のコンクールで数多くご入賞され、若手サクソフォーン奏者として一躍注目を集めました。現在は、ソリストとしてオーケストラと共演するほか、全国各地で演奏なさっています。

今回の講座のテーマは「『音楽』って何だろう」。この問いを考えるためには、やはり「音楽」の存在が欠かせません。そこで、本講座初の試みとなる生演奏を交えつつ、会場の皆さんと色々な音楽の聴き方に挑戦してみました。演奏には、NHK朝ドラ「あまちゃん」やNHK大河ドラマ「いだてん」の音楽演奏にもご参加された打楽器奏者の上原なな江さんにもご一緒いただきました。

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2月4日、本年度の「~って何だろう」公開講座の締めくくりとして、塾長・伊東豊雄が「『建築』って何だろう」をテーマに講演を行いました。伊東は、アジアに特有である、自然との密な関係性と、それを基盤に形成されてきた日本の伝統文化を評価してきました。今回の講座では、伊東が自然の対照にあるのものとして位置付ける“幾何学”を取り上げ、“幾何学”とは切っても切り離せない職能を持つアーキテクトとして、また“自然を抽象化することで”芸術表現をかたちづくってきた日本人として、これまでどのような哲学を大切にしつつ活動してきたのかお話をしました。


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