ブログ: 公開講座

12月24日、哲学者で明治大学理工学部准教授の鞍田崇さんをお招きして、本年度第5回目の公開講座が開催されました。鞍田さんは、近年、ローカルスタンダードとインティマシーという観点から思索を重ねておられます。今回の講座では、鞍田さんの思想活動のキーワードの一つ、「民藝」を取り上げていただきました。鞍田さんは、2015年に『民藝のインティマシー―「いとおしさ」をデザインする』(明治大学出版会)の中で、“民藝の中にある「いとおしさ」を育んでいくことこそが、今、これからの社会と暮らしのあり方を考える重要な手がかりになる”ということを提唱されています。また、当塾と鞍田さんとのご縁を取り持つこととなった、就労継続支援B型事業所「ムジナの庭」(主宰・鞍田愛希子さん、伊東豊雄建築設計事務所が手がけた「小金井の家」をo+hが改修して2021年開業)でも、「民藝」の核心に通じる「平凡でいとおしい生活」支援のための活動に関わっていらっしゃいます。

今回の講座では、柳宗悦・岡本太郎・深澤直人さんらの言説を手がかりに鞍田さんが「民藝」の哲学を紐解いた過程について、お話を伺いました。

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11月19日、日本を代表する現代美術のアーティストである写真家の畠山直哉さんをお招きして、第4回目の公開講座が開催されました。畠山さんは、東京を拠点に自然・都市・写真をテーマに作品を制作されています。畠山さんは、伊東建築作品の撮影も多数手がけてこられました。特に、初対面の際に伊東から言われた「すべての建築は完成後も変動していく。未完の建築も完成後の建築も含む大きな流れを断面のように切り取り、全てを現在として撮ってほしい」という言葉が印象に残っているのだそうです。こうして書籍の制作など伊東と幾度もコラボレーションされてきた畠山さんは、2012年には、伊東がコミッショナーを務めたヴェニス国際建築展の日本館展示にも参加されています。

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6月4日、ファッションデザイナーで、NAOKI TAKIZAWA DESIGN INC. の代表を務めておられる滝沢直己さんをお招きし、本年度第3回目の公開講座が開催されました。滝沢さんは、イッセイミヤケのクリエイティブディレクターを経て2007年に独立されたのち、天皇皇后両陛下(現・上皇上皇后両陛下)や秋篠宮皇嗣殿下の衣装デザイン、ユニクロのデザインディレクターなどを歴任してこられました。
今回の講座では、これまで滝沢さんが取り組んでこられたプロジェクトの内容やそこで得られたご経験についてご紹介頂いたのち、「ファッション」とは何か?という本講座テーマに対する滝沢さんの見方をファッション史に沿ってお伺いしました。


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5月21日、劇作家・演出家・役者としてご活躍の野田秀樹さんをお招きして、第2回目の公開講座が開催されました。高校時代に演劇の世界に飛び込まれた野田さんは、1976年大学在学中に「劇団夢の遊眠社」を結成し、演劇ブームの火付け役となります。1992年に文化庁芸術家在外研修員制度で渡英されたのち、1993年にNODA・MAPを設立。これまでに、歌舞伎やオペラの脚本・演出、英語劇など、多彩な活動に取り組んで来られました。
今回の講座では、演劇と“偶然”(=accident, encounter, chance)との親和性について、野田さんご自身のキャリアとそれを支えた数々の“偶然”エピソードに沿って、お伺いしました。

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4月16日、彫刻家の名和晃平さんをお招きし、本年度最初の公開講座が開催されました。名和さんは、彫刻家として様々な素材や技術を駆使した表現を生み出すかたわら、自身の主催するスタジオ「Sandwich Inc.」を拠点に、建築や舞台美術など様々なプロジェクトを手掛けています。

今回の講座では、これまでの名和さんの活動とインスピレーションの源を振り返りつつ、近年の創作活動についてお話を伺いました。 > 続きを読む

2月19日、文筆家・文化芸術プロデューサの浦久俊彦さんをお招きし、本年度最後の公開講座が開催されました。浦久さんは、音楽監督や文化アドバイザーとして音楽文化の振興にご尽力されているほか、音楽塾塾頭として音楽の力をまちづくりに活かす人材育成に取り組んでおられます。また、『138億年の音楽史』(2016年、講談社)『「超」音楽対談 オーケストラに未来はあるか』(2021年、アルテスパブリッシング)をはじめとする諸著作を執筆されており、音楽学・歴史社会学・哲学等の知識に支えられた深い洞察力を駆使し、“音楽”について枠組みに捉われることのない思索を重ねてこられました。

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2021年12月25日、小劇場演劇第1世代の旗手として演劇に関する多方面でご活躍されてきた串田和美さんをお迎えし、本年度5回目の公開講座が開催されました。串田さんは、ご有志の方々と共に1966年に劇団自由劇場(後にオンシアター自由劇場と改名)を結成され、演出を手掛けられた「上海バンスキング」など数々のヒット作を生み出してこられました。さらに、1985年にBunkamuraシアターコクーンの芸術監督に就任して設計段階から同劇場立ち上げに関わられたほか、2003年にはまつもと市民芸術館館長兼芸術監督(2021年4月から総監督)に就任され、文化芸術が賑わいをもたらすまちづくりに尽力してこられました。

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11月27日、グラフィックデザイナーの佐藤卓さんをお招きし、本年度4回目の公開講座が開催されました。「出自を示すためにグラフィックデザイナーと名乗り続けている」とおっしゃる佐藤さんですが、その活動内容は、商品開発・パッケージデザイン・シンボルマークデザイン・アートディレクション・子ども向け教育番組の総合指導・展覧会の企画、開催など、多岐にわたります。これらの多様なデザインのお仕事を通して、佐藤さんは常に「これも実はデザインなのでは?デザインとはなんだろうか?」と自問自答されているそうです。今回の講座では、佐藤さんが携わってこられた多様なプロジェクトにまつわるお話を伺い、参加者の皆さんと共に「『デザイン』ってなんだろう?」というテーマについて考えました。


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11月6日、都市史がご専門の建築史家・陣内秀信さんをお招きし、本年度第3回目の公開講座が開催されました。陣内さんは、長年イタリア都市について研究をされてきました。学生の時に3年間(1973-1976年)、法政大学に勤め始めてから1年間(1991年)、イタリアに滞在して調査研究をなさったほか、パンデミック以前は毎年3回ほど現地を訪問してこられたそうです。さらに、その経験を踏まえた視点で、東京を中心に日本の都市についても研究し思索を重ねてこられました。

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6月12日、生物学者の福岡伸一さんをお招きし、本年度第2回目の公開講座が開催されました。福岡さんは、分子生物学者としての研究活動の傍ら、多数の名著(生物学はもちろん画家フェルメールに関するご著書も!)や多様なメディアでのご発言を通して、サイエンスの魅力をわかりやすく世間に発信されてきました。

今回の講座のテーマは「『生命』って何だろう?」。台湾やガラパゴス諸島での実地調査で福岡さんが体験されたこと・考えられたことを起点に、これまで「生命」の本質を探求してきた科学者たちの営みも踏まえつつ、「生命」とは何か、という問に対する福岡さんのお考えをわかりやすくご説明いただきました。

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