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この日は久しぶりに神谷町スタジオでの授業を行いました。村松伸先生からの宿題である2つの絵を壁に張り出し、それぞれが5分程度で説明し、太田先生、村松先生からの講評をうけました。

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先日の土曜日、子ども建築塾、後期1回目の授業がありました。
21人の子ども達が5グループにわかれ、それぞれに設定されたテーマに沿って街歩きに行きます。テーマはA.境内、B.崖・坂道、C.水・緑、D.路地・空地、E.商店街です。それぞれの班にはボランティアの中からグループリーダーと称して、グループを先導してくれる人がつきます。彼等が提案してくれたルートを子ども達と移動しながら、その途上で、「まち」というものを考えるきっかけになりそうな断片を探し出します。
私は「水・緑」がテーマであるCグループと共に街歩きに繰り出しました。グループリーダーの鈴木ますみさんが見事なルートを提案してくださり、非常に充実した街歩きとなりました。

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新・港村レクチャー

2011年11月01日

10月31日に横浜赤煉瓦倉庫近くの新港ピアで伊東建築塾のレクチャーがありました。新港ピアで行われている「新・港村展」はヨコハマトリエンナーレ2011の特別連携プログラムです。その会場をおかりして、レクチャーは開催されました。大空間に講演者を取り巻くように大きなソファがランダムに配置された光景は、堅苦しい講釈とは違い、穏やかなものでした。

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10月29日、30日の二日間にかけて、神谷町スタジオで「子ども建築塾前期制作展覧会」が行われました。
週末ということもあってか、沢山の思いがけない人たちが訪れてくださいました。
それが仮に子どもの作品であったとしても、こうして公式に発表されたものは、それなりの力強さを持ちます。

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釜石フィールドワーク

2011年10月29日

26、27日にかけて、養成講座の塾生たちと東北へ再び行ってきました。
今回の目的の一つは伊東さんが仙台に設計した「みんなの家」を見に行くこと、二つ目は塾生達が釜石に提案する「みんなの家」の参考にするためのフィールドワークを行うことでした。

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第9回 子ども建築塾

2011年10月29日

先日の10月22日に前期最後の子ども建築塾がありました。
その日は29、30日に控える子ども建築塾の展覧会のための準備をしました。模型を手直しする子はし、展示の為の案の説明文を描きました。文章だけで、説明を構成する子もいれば簡単なスケッチで説明する子、驚くことに設計を簡素なダイアグラムで見事に表現する子もいました。
自分の造った案を論理的に説明することは非常に難しいのですが、それをいとも容易く行うことができたのは、この8回の授業のあいだに、子ども達が建築というものの意義をある程度読み解くことができたからでしょう。
普通、ある建築を子ども達に闇雲に提案させ、それの説明をさせようとしても、おそらくは形態的な特徴だの、「ロケット」がついているといったような付加機能の説明に終止してしまうのではないでしょうか。
それを超えて、これらの案が「どのように住むか」という人間生活への提案ができているのは、子ども達が建築というものを、ただの「箱」ではなく、「機能の集積」として捉えることができている証だと思います。
最後はお楽しみ会と称して、みんなでお菓子を食べながら歓談しました。余裕を持ってかなり多めにお菓子を買ったはずなのに、会の終わる頃には一袋も残ってはいませんでした。

今回でひとまず前期のテーマである「いえ」が終了し、これから後期のテーマ「まち」がスタートします。建築というものが単体としてどのような機能を持つかを知った今、それが街にたいしてどのように影響をあたえるかを学ぶのはそう難しいことではないのかもしれません。

 

帰心の会(伊東豊雄、山本理顕、内藤廣、隈研吾、妹島和世)では、月1回程度被災地を訪れてこれからの建築やまちづくりを考えるシンポジウムやトークセッションを行っている。「みんなの家」という、人々がくつろぎ、語らう場所を被災地に提供したいと考え、“「みんなの家」をつくろう”という呼びかけを国内外に行っている。
このたび「くまもとアートポリス」東北支援による第1号「みんなの家」(設計: くまもとアートポリスコミッショナ-・伊東豊雄、同アドバイザー・桂英昭、末廣香織、曽我部昌史)が、仙台市宮城野区の福田町南一丁目公園に竣工する機を捉え、宮城野区並びに仙台卸商センターの協力を得て、トークセッションを行う。
出演:
帰心の会(伊東豊雄、山本理顕、内藤廣、隈研吾、妹島和世)予定
タイトル:  
東日本大震災から7ヶ月を過ぎて思うこと
定員:
約250名
会場:
仙台卸商センター産業見本市会館
http://www.sunfesta.or.jp/
参加料:
無料(先着順)
日時:
10/25/2011…14:00〜15:30
主催:
帰心の会

 

同日「みんなの家」の内覧会も予定されている。

◎みんなの家内覧会
日時:9:00~17:00
会場:
宮城県仙台市宮城野区福田町南一丁目7-1 福田町南一丁目公園仮設住宅地内
参加方法:
申込不要(内覧会時間内は自由に見学できます)
アクセス:
【バス】仙台駅西口パスプール4番乗り場より
①300系統「新浜・岡田車庫行き」または310系統「東部工場団地行き」便で「狐塚」バス停下車
所要時間は20分~25分(交通事情により異なります)
②330系統「鶴巻小学校行き」便で「福田町四丁目」バス停下車
所要時間は30分程度(交通事情により異なります)
バス時刻表 
http://www.navi.kotsu.city.sendai.jp/dia/route/web/exp.c…
【タクシー】
JR仙石線・陸前高砂駅より約10分

 

先日、後期の子ども塾の下見ということで、半年間通してグループリーダーとして子ども達のサポートをしてくださるボランティアの方々、そして塾スタッフと、後期の講師をしてくださる東京大学の村松伸先生、太田浩史先生と麻布十番の街歩きに行ってきました。私たちは商店街の一本となりの通りにある「パティオ十番」というとても魅力的な広場に集合しました。その一帯はまるで日本の都市とは思えないほどに、独特な雰囲気を持っており、東京らしいせせこましさはあるものの、その開放感は古代ローマのフォルムにも近かったです。
太田先生によるとその広場は石川栄耀という都市計画家によるものだそうです。石川は歌舞伎町の生みの親とも言われ、あの著名な「コマ劇場前広場」も彼の手によるものです。この「パティオ十番」は「コマ劇場前広場」以外では石川が手がけた広場の中で唯一現存するものだそうです。「コマ劇場前広場」は飲屋街として騒々しく、開けているくせに圧迫感があるといいますか、私にとってはあまり居心地のよい空間ではありませんが、「パティオ十番」はそれとは対照的により人間の自然な身体感覚に近いものを持っている気がします。俗っぽく言ってしまえば、「外国人の街、麻布十番」を代表するような風格があるということでしょうか。

私たちは、集合したあと、そのパティオ十番から、大黒坂をのぼり、暗闇坂を下って、これ以上言葉では形容できないようなルートを通って再び商店街へと戻ってきました。その途上には様々な魅力的な建物や空間がありました。東京の街というのは、それが都市の景観的に甘美であるとか、居心地が良いとかいったことは度外視に、魅力的な空間が発生しているような気がします。つまり都市全体としてというよりも、その一部だけを切り取ったときに面白さが見いだせる。極まれに、東京の都市は汚いが、そこに面白さがあり、それこそが魅力なのだと開き直ったようなことを言う人がいます。その猥雑さの中には魅力的なことも多々ありますが、その魅力はやはり都市全体が持つものではなく、そのうちの一部分を切り取ったときに得られるものであり、あくまでも都市の中の特権階級(それは金銭的な格差のことではなく)だけが享受できるものなのだと思います。例えば、麻布十番にはブラタモリというNHKの番組でも特集された「がま池」という池があります。それは明治から残る古い池で、住宅街の中に忽然と現れる不思議な池です。しかし、現在はマンションに囲まれ、ごく一部の人しかその池を眺めることはできません。都市の魅力というのは切り出すという作業の果てにあるものだけでなく、都市そのものが持つべき必要もあるのではないかと、麻布十番の街を見ていて改めて思い知らされたような気がします。

ともかく来期から、子ども達と「麻布十番」の街を散策するわけですが、彼等がこの街をどのように切り取るのか、それが今から楽しみでなりません。

第8回 子ども建築塾

2011年10月11日

10月8日土曜日、第8回目の子ども塾が行われました。
その日は前期をかけて作成した、模型と図面、スケッチを用いて、子ども達による発表会を行いました。

みんなの成果物を一堂に集め、一人一人が順番に発表を行います。いくら高学年とはいえ、小学生が人前で発表することは、私たちには想像もつかないほどのプレッシャーだと思います。
私事ですが、小学生のときに、清掃委員の委員長を担当しており、巨大なホールで全校生徒にむけて発表をさせられたことがあります。そのときは緊張のあまり下ばかりを向いてしゃべっていたので、設置されていたマイクが音を全く検知できないということがありました。後々になって聞いたのですがみんな私の口の動きから、何を言っているか推測しながら見ていたそうです。
今の話は余談でしたが、そんな経験を持つ私からすれば、あれだけの数の大人を前に堂々としゃべっている子ども達には驚かされました。基本的にはとなりにボランティアの学生がつき、順に質問をしていくのですが、人によってはプレゼンターさながら、一人で延々としゃべり続ける子もいます。やはり臆せずにしゃべれるのは、自分が何を考えてその作品を造ったか、子どもにとっても明確であったということの表れなのかもしれません。

みんな魅力的な作品を作り上げていましたが、特に印象的な作品を造った子達に共通していたのは、最初の曖昧とした模型の形が、最終的に予想もつかないような形体へと変貌していたことでしょう。一部の子達は、最初から最後まで一貫してある明確な形があり、それが紆余曲折はあったものの、あまり大きな変貌を遂げずに貫徹しました。しかし、最終的にちょっと人目を引くような形を生んだ模型群はどれも、模型を造っていく過程で多量の変化を経験していたものたちでした。
それは恐らく模型造りのプロセスの途上で、彼等の最終像が変化していったことにあります。当日の発表会で批評役をしたくださった西沢立衛さんも、一つの建築を造るときにスタディ模型をいくつも造るということで知られています。初めにどれだけいいと思った形でも、それを具現化していく過程のなかで新たな発見をし、より良いものへと変貌していきます。
そのプロセスを実際にたどっていた子ども達の作品には、わずかな差ではありますが人目を惹くようなものが宿っているのだと思います。

後期のテーマである「まち」でも、子ども達は自分自身の作品を造ることになります。そのときに少しでも意識的に発展過程をたどれるように誘導してあげることができれば、子ども達も予想しえなかった魅力的な風景を獲得することができるのではないでしょうか。

第7回 子ども建築塾

2011年09月13日

9月10日に第7回「子ども建築塾」がありました。

10日は前回の引き続きとして、模型製作が引き続き行われたのですが、それと平行して、模型が順調に進んだ人は図面を描いてみるという試みを行いました。図面といっても定規等で寸法を的確にわりだすというものではなく、スケッチのような感覚で自由に描きます。例えば上から俯瞰で見た平面図のようなスケッチを描いてきた子は、横から見た断面図などのように、自分がもともと描いてきたスケッチに無い構図を見つけ出し、それを描いてみます。

ただ子ども達の多くは、イメージが立体的に立ち上がる模型のほうが作業をしていて楽しいようで、模型製作の手がとまることはほとんどありませんでした。
子ども達の模型製作を手伝っていて非常に興味深いのは、こちらが何も教えていないのに、自分の作りたいものへと辿り着くための手順を意外にもちゃんと把握していることです。初めに自分が絵にしたイメージがどこまで立体として具現化できるのか、そのための試行錯誤には驚かされるものがあります。中には始めに描いてきたスケッチの実現性の厳しさに、模型を製作しながら案を修正する子もいました。修正する前の案も大変に面白いものでしたので、自由な発想で好きなように作っていけばよかったのかもしれませんが、少なくとも修正できるということはイメージがしっかりと構築されていることの表れでもあります。

模型製作の手順も人により様々で、平面プランを土台に貼付け、そこにスチレンボードで壁を立ち上げていくように作る子もいれば、建物全体を幾つかのボリュームに分割し、それを足し算するように作って子、また宮大工のように土台から順序だてて丁寧に組み上げていく子もいます。模型製作の手順は、彼等が最初に描いたスケッチと対応しており、平面プランを描いている子やパースだけの子、立面図のような絵で表現する子など、絵画の描写方法が模型再制作手順に影響しているのはおもしろいことです。

この先、これらの模型がどのように発展していくかが楽しみです。