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10月26日(土)に行われた後期第1回の授業の様子をお伝えします!

久しぶりに恵比寿スタジオにやってきた子どもたちはワクワクドキドキしている様子。前期とは違う新しいグループに分かれて、少し緊張しながら着席します。いよいよ後期授業の始まりです!

子ども建築塾では、毎年後期の課題で「まち」について考えます。今年は「いただきます島Ⅱ」と銘打ち、名物料理を提供する島を設計する課題に取り組みます。
どんな景色を見ながら、どんな食べ方をしたいか?その料理に必要な食材をつくるためにはどんな施設が必要か?その島に暮らす人々はどんな暮らしをするのか?さまざまな要素を考えながら島をつくっていきます。
また、前期の個人課題と異なり、4人でひとつの島をつくり上げるグループ課題です。グループメンバーとのチームワークがカギになります!

今回の授業では、まず先生方から課題に関するレクチャーを受けました。太田先生は最初に、「前期の課題はソリストの音楽家のように思い切りそれぞれの個性を出すものでしたが、グループ課題はオーケストラです。オーケストラではグループのメンバーの力を合わせます。個性を出しつつも、お互いの音を聴きあうことが大事です」と話されました。

その後、課題の敷地となる島のかたちを5種類の中からくじ引きで決めました。島のかたちは瀬戸内海、しまなみ海道沿いにある実際の島々をモチーフとしています。柴田先生から、「直線的で長いビーチがある島もあれば、入り組んだ静かな入り江がある島もあります。TAと話し合い、どの場所に何を配置するのが適切か考えながら計画しましょう」とアドバイスがありました。

次に、5種類用意された料理候補のうち自分たちの島では何をつくりたいか、各グループ内で話し合って決めました。すると、「私はこれをつくりたい!」「僕はこれ食べたいなぁ」と大盛り上がり。意見が割れたときは、どうしてこの料理が魅力的なのか、材料の生産効率から説得する子や、島に広がる美しい風景を想像しながら説得する子がいました。さまざまな意見を聞くと、どの料理も魅力的に見えて、ついお腹が鳴ってしまいそうでした。

最後に、「いただきます」のシーンのスケッチを描きました。参考画像として太田先生が見せてくださった写真には、イタリアの葡萄畑にテーブルを出して食事を楽しむ風景、オーストラリアで、有名なシドニーオペラハウスと海を眺めながら牡蠣を食べる人々、太田先生が実践されているピクニック活動で芝生の上で食事を楽しむ人々など、さまざまな「いただきます」の風景がありました。

それを踏まえ子どもたちが描いたスケッチにも、島の美しい夕日を眺めながら食事をする様子、たくさんの人々が集まって大皿を囲む様子など、早速魅力的なシーンが生まれていました。子どもたちの「いただきます」のアイデアを起点にどのような風景、建築のかたちがこれから生まれていくのか、とても楽しみです。

次回はマスタープランの計画です。島のどの位置に何があると良いのか、詳しく話し合います。グループ内のいろいろな意見を聞きながら決めていきましょう!

スタッフ 行谷 玲於菜

前半に引き続き、最終発表会後半の様子をお届けします。

Dグループ
Dグループはアイデアが豊富で、スケッチや模型もどんどん進むグループでした。井手先生は「想像したものがかたちや絵で表現しにくいものがたくさんあったけれど、それをどのように表現するか、手を動かしながらやっていたのが印象的だった」とおっしゃっていました。

「風の色」
光と風と色の表現が美しい作品です。都会と自然の間に家があり、家の中で色々な風が混ざり合って新しい暮らしが生まれる様を柔らかくカラフルに光る模型で表現していました。
当初から風の色に着目していた彼は、中間発表では都会と田舎の間で暮らしたい、という考えがあったものの、まだ断片的なスケッチにイメージが留まっていましたが、たくさんの試行錯誤を経てドームと風と色の建物が生まれました。明かりをつけると幻想的になり、伊東先生は「スケッチもいいし模型がすごくきれいでピーター・クックという建築家を思い出させる。」とおっしゃっていました。

「気分屋な風との旅」
感情を家の形で表現していて、風の気分によって形が変わる家を発表してくれました。大空に浮かんだ様々な気分の家が独創的なスケッチです。このような風任せの生活も楽しそうですね。
「ここまでにたくさんのスタディ模型を作っていて、どんな気分の時にどんな風の形になるか、その試行錯誤が素晴らしい」と坂口先生。伊東先生は「全体の構図がきれいだし、感情を家の形で表現するというのは驚きました」とおっしゃっていました。

「大海原で育つ家」
大迫力のスケッチを発表してくれました。海底の冷たい風と火山の暖かい風が混ざって快適な空間を作っています。自然の大きな力を表現したスケッチが地球の生命力を感じられる力強い作品です。 伊東先生は「岡本太郎の絵のように爆発している感じで勢いやエネルギーを感じる。いつまでもそのエネルギーを失わないで欲しい。」とおっしゃっていました。実は発表してくれた以上のアイデアがあったようですが、それをなんとか頑張って紙面に収めたそうです。

Eグループ
Eグループは、それぞれの好き嫌いがはっきりしており、言葉や絵の表現が幅広いグループでした。それぞれが独自の視点でアイデアを深めていき、好きなことがにじみ出る作品になったようです。

「上空音楽室」
風と音の楽しい世界観を発表してくれました。木が音楽に合わせて虹色になり、複雑に絡み合った木の枝から音楽が聞こえてくるというアイデアは、空間に構造の美しさと生き生きとした印象を与える素敵な模型になっています。
「当初から風と音に着目していて、スケッチの段階では風に音が合わさると色がにじむという独自の表現をしており、それが人の活動に影響していて、人の活動もにじませると言っていたのが印象的。」と坂口先生。風が木に当たることで音が出る楽器のようになっており、伊東先生は「音楽と決めつけないで、どんな音が出るのか想像してみるともっと楽しくなるような気がする。」とおっしゃっていました。

「新幹線の旅で感じる風」
新幹線の旅で感じる風を発表してくれました。新幹線から見える様々な景色をスケッチと大きな模型で表現していて、たくさんの場所に行きたい気持ちが伝わってくるダイナミックな作品です。
「自分の気持ちを模型にしていることが伝わる模型。」と伊東先生。
中間発表時の巻物のスケッチから大人はびっくりしていましたが、模型では独自の素材使いや表現で海や山を通る新幹線ができました。旅の楽しさが伝わってきますね。

「風の通り道」
風の流れや自然の変化を取り入れた家を発表してくれました。人と暮らしを共有し、常に変化している自然を感じて溶け込むような建物となっており、場所ごとの生活を想像する楽しさを感じさせてくれる魅力的な作品です。今年の最年長塾生である中学1年生の彼女ですが、問題提起から始まる思考の過程がとても論理的でした。
「論理的なことと空間のイメージが合っていて、風を感じさせる模型だった。」と伊東先生。また彼女がつくろうとしている空間はまさに“よどみ”だとしたうえで、「自然はいつも流れている。人間は変わらないようでありながら細胞は毎日少しずつ変わっており、流れているものの一つの状態(=よどみ)でしかない。自然の中に溶け込む“よどみ”のようなそういう建築を自分も作りたい。」とおっしゃっていました。

全ての発表の後、伊東賞、坂口賞、井手賞が選ばれました。
坂口賞は、きらきらと輝く深い青い海の模型を発表してくれた「風で変わる海の家」、
井手賞は、常に迷いなく自分の考えを表現し続け、壮大な都市計画にまとめた「風巡る雲の町」、
伊東賞は、しゃぼん玉の儚さや透明感を幻想的に捉えた作品「しゃぼん玉みたいな家」が受賞しました。今回、どの発表も独創性に溢れ、大人には想像できないバラエティに富んだ作品ばかりでしたが、受賞した3作品に共通していたのは、見る人の心を動かす作品だったことだと思います。

今回のテーマは講師陣にとっても難しく、TA、講師が子どもたちと一緒に対話しながら考え、手を動かしながら進んできました。
特にTAのみなさんは子どもたちの個性あふれるアイデアに寄り添い、最後は一緒に模型を作り、発表の補助まで行い、子どもたちが自信を持って自分の作品を紹介できるようにサポートしてくれました。

伊東塾長からは、「難しいテーマだと思っていたけれど、みなさんすごく良かった。いろんなことを考えさせられた。自由な自分の気持ちをそのままスケッチや図面にするということを大人になっても大切にしてほしい。そして、自分の気持ちを伝えるということを大切にしてほしい。」とのお話がありました。

その言葉を聞き、最初の授業で伊東塾長が言われた「いろんな体験をすることが大事」という言葉が思い出されました。

私も半年間子どもたちと一緒に考えていく中で、様々な体験を重ねることが、自分の感性を豊かにし、創造の源となることを実感しています。心の中に芽生えた「こんなものを作りたい」という思いは、スケッチや図面を通じて形を持ち、最終的には自分の言葉で人に伝わります。それが、人の心を動かす力になるのだとあらためて思いました。

発表の後は、講師、TA、保護者も含めた恒例のティーパーティです。
発表が終わって晴れ晴れとした顔の子どもたちとTA、講師たち。ジュースで乾杯し、お菓子を食べながら最後のひとときを楽しみました。

最後に、子どもたち全員に伊東塾長から記念品の三角スケールと講師からのメッセージカードが手渡されました。

半年間の学びを通じて、子どもたちはそれぞれの個性を発揮し、創造力を育んできました。
発表会での晴れやかな笑顔は、彼らの努力の結晶です。
これからも子どもたちが様々な体験を重ね、感性を豊かにし続けることを願っています。全ての子どもたち、TAの皆さん、講師の方々、半年間お疲れ様でした!

『伊東子ども建築塾福岡2024「風と暮らすいえ」』の作品は、2025年の年明けに福岡市内で作品展示会を予定しています。子どもたちの作品を実際に見ていただける貴重な機会になりますので、ぜひ足をお運びください。

「風と暮らすいえ」伊東子ども建築塾 福岡2024作品展示
日時:1/4(土),1/5(日)10時~18時(予定)
会場:アーティストカフェ
   〒810-0043 福岡県福岡市中央区城内2−5 三の丸スクエア内
   https://maps.app.goo.gl/u9BNP4esP28sWCnx7?g_st=com.google.maps.preview.copy

佐藤 茜(ブログ取材担当)















 



 7月27日、2024年度第3回会員公開講座が開催され、世界の台所探検家の岡根谷実里さんをお迎えしました。明晰な口調と、明るく溌剌とした雰囲気が印象的な岡根谷さんは、世界各地の家庭を訪れ、一緒に料理をしながら、その国の文化や歴史、社会背景を伝える活動をしておられます。現在までに30以上の国と地域を訪れ、170を超える台所で料理を共にされてきたとのこと。日本では小中学校での出張授業や講演活動の他、著書『世界の食卓から社会が見える』(大和書房、2023年)など文章執筆、テレビやラジオへの出演など、幅広い活動を展開されています。

 本講座では、フィンランド・ペルー・インドの台所から垣間見える各国の文化と、世界を知る窓としての「食」の可能性について、お話しいただきました。

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8 月 24 日、福岡大学 4 号館多目的ホールで「伊東子ども建築塾福岡 最終発表会」が行われました。

伊東豊雄塾長、講師の先生方、保護者の方々、TA、スタッフなどで会場は満席でした。
広い会場と大勢の人たちを前にしてやや緊張した面持ちの子ども達もいましたが、TA が優しく声を掛けたり、発表の練習をしたりする様子が印象的でした。
4 月から始まった子ども建築塾福岡の今年のテーマは「風と暮らすいえ」。
今回子ども達は、10 回の授業で考えた自分の家を模型や絵を使って、1 人 2 分の持ち時間を使い 18 人の塾生全員が発表しました。
どの作品も魅力に溢れており、最終回のブログは前編・後編に分けて、全作品の発表の模様をグループごとにお届けします。

A グループ
A グループは“ファンタジー”や“儚さ”など情緒的な作品が多く、また子どもらしい世界観を堂々と大人に見せてくれたグループでした。平瀬先生は「大人は思わず“これは海なの? 空なの?”などと混乱してしまうけれど、そんな大人の常識を突き抜ける発想があった。」とおっしゃっていました。

「桜と暮らすイエ」
桜前線と一緒に移動する気球の家で、気球に乗ってさまざまな地域から来た人と出会うことができるワクワク感がある作品です。また一方で、風がもつ“移ろい”や“儚さ”といったイメージを当初から大切にしており、発表時の「同じ人に来年は会えないかもしれません」という言葉が印象的でした。
その言葉が特に伊東先生の心に響いたようで、「桜が散る様を詠んだ古今和歌集の和歌に通じるはかなさが感じられる。」と絶賛されていました。

「森と海の間にある家」
サンゴ礁の水槽が印象的な模型と素材感のある長いスケッチで表現したのは、「森と海の間にある家」です。風で揺れるサンゴ礁を見ながら家の中でも森と海の風を両方感じることができて、心地良い生活が想像できます。
風はコントロールできないものだという前提のなかで、それでもここは暑い場所・寒い場所と決めつけず、自然の力だけで快適な環境を創り出そうとする姿勢を井手先生が、そしてその立地として“森と海の間“を選んだセンスを伊東先生が高く評価していました。

「しゃぼん玉みたいな家」
スケッチのような模型のような不思議な表現で、しゃぼん玉に色を付けて吹いてできた模様が背景になっており、家の中もキラキラと光って見えてとても綺麗で幻想的な作品です。
今年の最年少塾生ということもあり、授業時は友達や TA のお兄さんお姉さんと楽しくのびのびと取り組んでいたので、その天真爛漫な様子と幻想的な作品とのギャップが印象的でした。
理屈でなく感覚的に風を捉えて、感じたことをそのまま素直に表現できるのは、大人も羨む能力で、伊東先生はこの 2 枚の絵に強く心惹かれている様子でした。

「風で動く家」
風の気分で家が動くので自分の好きには動けないという独創的な「風で動く家」。
空中に浮いた家からは眺望の良さと風との一体感を感じられそうです。
中間発表時からコンセプトは一貫しており、その不自由さを逆手に具体的にどんな暮らしができるのか、講師の先生や TA から様々な意見やアイディアが出ていました。
最終発表でも “風は人間がコントロールできないもので、それに委ねることにこの家の面白さがある”という主張と抽象模型に留め、敢えて具体的な生活風景を出さなかったところをみると、解釈を見る人に委ね、巻き込もうとする彼の術にすっかり大人が惹きこまれたようにすら感じます。

B グループ
B グループは全 10 回の授業を通して、満場一致で、仲が良く賑やかで楽しそうな班でした。発想が豊かでアイディアがつぎつぎに浮かんでくる子も多く、それにお互い影響を受け合いながら、各々の案が深まっていったようです。

「まきものの風」
今回一番長いスケッチで会場の目を惹いたのは、「まきものの風」です。風に乗っていろいろなところに行くことができ、家のかたちが生き物のように変わることで雨や炎や花粉から守ってくれるしくみです。周囲の自然や気候によって家が変化していく様々な表現が面白く、新しい体験がたくさんできそうです。
彼から止めどなく生まれてくるアイディアをどのように作品としてまとめるか、本人もTA も講師の先生も一緒に悩んでいましたが、7 回目の授業の終わりにようやく見つけた“巻物“という表現が見事にはまったようです。
「その巻物のスケッチがとても良いから、後ろの席からも見えるように今すぐにでも線や色を濃くしてごらん、もっと良くなる。」と伊東先生。確かに写真にして載せると、彼の1つ1つのアイディアの魅力が伝わりにくいのが惜しいです。

「風巡る雲の町」
空中の都市計画を発表してくれたのは雲の町は浮いていて、町の中心の木が風を作り、風の道ができ、風の力で町が動いていくという壮大な計画で、スケッチで表現された細部の空間が生き生きとした生活を想像させてくれます。
「毎回とても楽しそうに授業に取り組んでいる様子が印象的だった。」と井手先生もおっしゃっていましたが、彼は B チームひいては今年の子ども塾のムードメーカーでもありました。グループの中でも特に彼は仲間の作品や発想に、いい意味で影響を受け、そこから学び、自分の作品に取り入れていこうとする意欲が際立っていました。
彼の描いた町は、今年の塾生の「“風”と暮らすいえ」をすべて取り込んでしまいそうなくらいのエネルギーと包容力が感じられます。
伊東先生の「アイディアを考えながら描いていく様がスケッチから伝わってくる。今の大学生はこんなスケッチ描けるかな。」という言葉に TA の大学生もタジタジでした。

「場所と形が自由自在に操れる家」
季節によって快適に過ごせるように家が変形していく気球の家に住み、季節に合わせて空や地下に移動し、家の形まで変わってしまうという自然に根ざした生活の工夫がたくさん考えられた作品です。
坂口先生からは「私もこんな家で夏は涼しく、冬は地下でぬくぬくと快適に暮らしたい。」そして伊東先生には「僕の考えていることと一緒だな。いや僕よりいいかもしれない。」と言わしめるほど、合理的かつ魅力的なアイディアをスケッチと模型で表現してくれました。

「メグるぐるぐる風の家」
「メグるぐるぐる風の家」は、らせんを使って地下の空気を上に送るという建築的にも理にかなったしくみの家です。地下まで伸びた円錐状の家の中でらせんのフォルムが快適な空気を運ぶだけでなく、視覚的にも引き付けます。

彼女は“ぐるぐる巡る”という風のイメージを当初から大事にしつつも、授業の度にどんどんカタチが変わり、直前の授業まで円錐形で今とは全く異なる模型を作っていました。
形はどんどん変わるけれど、変わっていくごとにどんどんコンセプトに近づいてブラッシュアップしていき「とくに最後の最後で、カタチをひっくり返し、ぐっとコンセプトに迫る様はまさしく建築のプロセスそのもの。」と井手先生も感心していました。

C グループ
「このグループは、とくに模型がどれも素晴らしかった。」と伊東先生がおっしゃっていましたが、授業を通して見守っていた井手先生や坂口先生曰く、C グループはとくに前半のグループワークでの議論が活発で論理的なメンバーだったとのこと。
前半のグループ作業を通して風の捉え方について考えが深まっていたことが、後半の模型表現に深みを与えていたのではないでしょうか。

「風で変わる海の家」
きらきらとした深い青が一際目を惹く、幻想的な作品です。風で家の形が変わり、家ごと海の中や上に移動できます。透明な家の中で、海の中で魚を観察したり、大きな音で音楽を聞くことができたりと、家と一緒に楽しい体験がたくさんできそうです。
大人では想像しがたい「海の中を吹く風」と「海の生物と楽しく遊ぶ」というアイディアを中間発表のドローイングから最後まで温め続け、最終発表では、とても美しい模型でその世界観を表現してくれました。
伊東先生が「原稿を読まずに、模型を使って魅力を伝えないともったいないよ。」とおっしゃっていましたが、それほどにスクリーンに映し出された彼女の模型は会場を魅了していました。

「風と遊ぶ世界」
大きな木の幹の家で、外にはぶらんこやハンモックがあり、木の幹の内外に遊べる場所が点在した豊かな空間が広がっています。やさしい風を届けてくれる木に住みたい!という気持ちが感じられる楽しい提案です。
初期に描いたドローイングが魅力的だったので、講師の先生方も最終発表まで絵で表現していいのではと考えていたそうですが、模型を作り、手を動かしながら考えることで、積もった落ち葉で外部にも遊び場を作るなどスケッチの時には描いていなかった新しいアイディアが生まれてきていました。また何より本人が楽しそうに模型を作っている様子が印象的でした。

「ぼくと風の旅」
たくさんの綿に乗った色彩豊かでダイナミックな家で、風が快適な場所まで家を運んでくれます。風が部屋の壁を押すことで大きさが変わる仕組みです。自由な風を綿の柔らかさで大胆に表現した躍動感あふれる作品となっています。
彼は「僕が行きたいところに風が連れて行ってくれるのではなくて、風が行きたいところに 連れていってくれる」という点に、当初からこだわって取り組んでいました。
中間発表で語っていた“虹のような形”や“もぐらたたきのように風と遊ぶ”体験が、最終的にこの模型につながったことに坂口先生も驚かれていましたが、後半の授業で講師の先生や TA の助言もあり一気にアイディアが爆発して形になったようです。

「フィルターハウス」
美しいグラデーションの薄い膜が重なった作品で、悪い空気から守ってくれるフィルターは、その上でも自由に遊ぶことができる構造になっています。仕組みはロジカルでありつつ、柔らかく繊細な表現の模型が魅力的でした。
中間発表の時点では、スケッチブックに描かれたダイヤグラムだけだったので、「フィルターの一番奥って本当にいい環境になるかな?」といった意見もありました。しかし、そんな大人の心配をグラデーション状にフィルターを重ねるという手法で、見事に打ち破ってくれました。
伊東先生は「今の建築は、断熱性・気密性ばかりを気にして、内と外が明確に分かれていてつまらない。昔の日本建築のようなグラデ―ショナルな建築って魅力的だよね。僕もそういう建築が作りたいんだよな。」とおっしゃっていました。

以上、前半の発表はここまでです。

ここまでの発表を終始笑顔で見守る伊東先生・坂口先生・井手先生。
前半グループの講評を振り返ってみると「君は模型はいいから、このスケッチをもっと描いてみせてほしかったな」など、個々が最も得意とする表現を見出し、それをもっともっと伸ばそうと声をかける伊東先生と、「スケッチを薦めようとしたけれど、模型にするとそれはそれで、スケッチの時の良さが模型にも現れていて・・・」などと子ども達の可能性を横に拡げることに重きを置く井手先生と坂口先生のアドバイスが対照的でした。

子ども塾の授業では、様々な立場や視点で複数の大人が声掛けをするため、子ども達は時に戸惑うことがあるかもしれませんが、その関わりあいのなかで自分のアイディアや能力を信じ、木の幹と枝葉のように縦に横に伸ばして拡げていって欲しいなと思いました。

発表のつづきは『風と暮らすいえ 最終発表会』後編をお楽しみに。

古野 尚美(ブログ担当)

 6月1日、長年にわたり建築施工の最前線に携わってこられた木谷宗一さんをお迎えして、第3回目の公開講座が開催されました。木谷さんは、1971年から2018年まで竹中工務店に在籍され、工事課長として、数々の建築施工の現場で指揮をとってこられました。また、作業所・技術研究所・技術部門でもご活躍され、これらの豊富な経験を活かし、建築現場におけるものづくりを解説する多くの著書も出版されています。今回の講座では、「建築現場」ってなんだろうというテーマのもと、現代の建築現場の実態や、建築に携わる人々の役割、そして建築技術の進化について、詳細にご解説いただきました。

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9月7日(土)に、前期の最終日となる「楽しい屋上暮らし」発表会を行いました!当日の様子についてお伝えします。

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8月18日(土)に行われた伊東子ども建築塾 福岡第9回の様子お届けします。

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7月20日(土)に行われた伊東子ども建築塾 福岡第8回の様子お届けします。

今回は自分のアイデアや表現を大切に、「つくりながら、描きながら、さらに考えていこう」ということで、TAや講師の先生と相談しつつ、試行錯誤しながら制作を進めました。

まず授業のはじめに、「うつくしいかたち」というタイトルで、九州大学の末廣先生からレクチャーがありました。

「今、模型をつくったり絵をかいたりしているけれど、ものをつくるときにできればうつくしいものをつくって欲しい」とのことでした。

―では、何が美しいのか?

自然の形状にはルールがある
「自然界にある形状は人工的な幾何学図形(〇△□)とは異なり、カチカチしたかたちをしておらず、自然物の形状は、その物が成長する過程で従うルールに基づいて形作られています。例えば、木の枝は太陽光を効率的に受けられるよう曲がった形状をしており、出来るだけ均等に葉に光が当たるようになっていて、地面にきれいな影ができます。そして、人はルールがあるものに美しさを感じるそうです。」

生物の形状
「生物の形状も、遺伝子に従ってルールに基づいて形作られています。虫の体の模様や形状、植物の断面図から成長過程がわかります。
(例:植物、動物―ア-ティチョーク、キウイ、サンゴ、巻き貝)」

無生物の形状
「風が吹くから波ができ、波に洗われた石は、水の流れによってかたちづくられています。
砂漠の石は結晶が固まり成長することで特徴的なかたちになります。こうした無生物の形状も、自然の法則に従ってできていて、そこに美しさがあります。」

ちなみに石の画像は糸島の波際で先生が撮影したものだそうです。

火の形状
「ろうそくの炎は、空気の流れを表しています。炎は酸素が反応して二酸化炭素になり、そのときにエネルギーが放出されて光が出ます。炎の形状は、空気の揺らぎに従って変化します。けむりも空気が揺らぎ、そのゆらぎがけむりのかたちになっています。」

最後に先生から、「このように何らかのルールに従ってかたちをつくると、“うつくしいかたち”が生まれる。制作するときにこのような自然のかたちを参考にしてほしい。」とお話がありました。
長年自然と向き合い、美しい建物をつくるために尽力されてきたことがわかります。

つづいては、子どもたちの作業風景の一部をご紹介します。

中間発表では森と海の風が家の中で混ざり合うアイデアを発表してくれた彼女。
前回までは絵で表現していた建物を模型で立体にしていました。
最初は古森先生のスケッチで「こんなイメージかな?」と話しながらイメージを膨らませます。
風が混ざる表現をどのようにつくっていくか、試行錯誤していましたが、ビニールテープを割いて表現することになったようです。
家の中に水槽もつくっていくということで、どのような家になるか楽しみですね。

木の幹の中に家があるこの案は、緑がたくさんあることで悪い風から守ってくれるやさしい風との暮らしを表現しようとしているそうです。
完成形はイメージできているようで、TAと一緒にどのように模型で表現していくか手を動かしながら考え、枝や窓をつくっていきました。
丁寧に作業している姿が印象的でした。

風の気分によってかたちが変わる家、ということで、前回から中間発表でのカラフルな虹と綿のアイデアをどのようにかたちにしていくか考えていた彼。
ゆらゆらふわふわしている状態をどう表現するか悩んでいましたが、坂田先生や井手先生からのアドバイスもあり、雲みたいに浮いているダイナミックな模型になっていきました!
土地自体が浮いている表現にしたい、ということで、床を上げて土地の下に雲をつけることにしたようです。一気に模型が出来上がっていきましたね!

子ども建築塾も残すところあと2回となりました。
子どもたちが個性豊かな風との暮らしをどのように完成させていくのか、とても楽しみです!
次回もよろしくおねがいします。

佐藤 茜(ブログ取材担当)

8月24日(土)に行われた第9回の授業の様子についてお伝えします。

模型制作を終え、今日はいよいよプレゼンテーションを準備する日がやってきました。これまでの模型制作では、自分のスケッチで描いた屋上をかたちにしていきましたが、今回はいままで自分が考えてきたストーリーをまとめます。

つまり「かたちから言葉」として自分が考えた屋上を再度表現する必要があります。スケッチブック1ページずつに、どういう屋上にしたのか、朝起きてから夜寝るまでどういう1日になるのか、スケッチも駆使して描いていきます。

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8月3日(土)に行われた、前期第8回の授業の様子をお届けします!

4月からはじまった子ども建築塾も、あっという間で前期の授業は残すところあと2回となりました。今回は、前期課題「楽しい屋上暮らし」の模型制作の最終回でした。前回に引き続き、理想の屋上のイメージを膨らませつつかたちにしていきます。

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